WEB・モバイル2025.11.19

業界特化で築いた専門性と信頼関係。全国のブライダル企業が頼る札幌のWebプロデュース会社

札幌
株式会社ロンドマーク 代表取締役
Takuya Takahashi
高橋 拓也

札幌を拠点に全国50カ所以上のブライダル施設と取引実績を持つ株式会社ロンドマーク。「ブライダル業界は結果が求められる業界」という特性を深く理解し、効果測定と分析を徹底することでクライアントの事業成長に伴走しています。代表の高橋 拓也(たかはし たくや)さんに、起業までの軌跡と業界特化戦略について話を聞きました。

「デザイナーがWebを手がければ、もっと良くなる」。独学でスキルを磨き、Web制作の可能性に開眼

まずは、起業前のキャリアについて教えてください。

私は大学卒業が2000年という完全な就職氷河期世代です。札幌の印刷会社になんとか滑り込みはしたものの、希望していたデザイン部署ではなく、オペレーター業務からのスタートでした。大学ではデザイン学科でしたがシルクスクリーンという版画を学んでいたので、PCはほとんど触れていなかったんです。
当時はちょうどグラフィックデザインがPC中心に移行していった時代。安い給料から費用を捻出してMacを一式購入し、週末と深夜に独学でグラフィックデザインを習得していきました。実績のない状態では転職もできないため、週末は雑誌社などに営業に出向き、無償で仕事を引き受けて修行をしつつ実績を積む日々が続きました。

そこからどのようにしてWeb制作に関わるようになったのでしょうか?

25歳の頃に小さな広告代理店に転職し、グラフィックデザイナーとしてのキャリアが本格化しました。その中でWebサイト制作を受けることになり、一から勉強し、Webサイトを制作。そのWebサイトで劇的な集客効果が出たのが転機です。
従来の雑誌広告などでは効果測定がしづらかったのに対し、Webサイトは資料請求数やユーザーの動きなど、すべてが数値化されて分析できます。この面白さに魅了されてWeb制作へと軸足を移していったんです。また、当時のWeb制作はエンジニアの領域でしたが、デザイナーが手がけることできっとデザイン性に優れた良いものができるだろうというブルーオーシャンの予感がありました。
その後、世間でもWebディレクターという職種が浸透してきたタイミングでWeb制作をより深く学ぶためWeb制作会社に転職し、そこで8年間経験を積んだ後に独立しました。

業界特化で磨いた専門性でブランディングから集客まで一貫サポート

現在の事業内容と会社の特徴について教えてください。

Webサイト制作をフックに、Webプロモーション全般を一貫して提供しています。会社設立当初はグラフィックとWebが半々でしたが、時代の変化とともに変化して現在はWebプロモーション事業が中心となっています。
特徴的なのはブライダル業界のクライアントが多いこと、全国をマーケットとしていることですね。売上の半数近くがブライダル業界で、地域別では北海道が3割、残り7割が北海道外という構成です。
ブライダル関連では式場の立ち上げから携わることが多く、ターゲットの選定や競合調査に始まり、ネーミング、ビジュアル制作まで、幅広くブランディングをサポートしています。単にWebサイトを制作するのではなく、どのような客層にアプローチしたいかを明確にした上で、総合的な戦略を立案するのが私たちの役割です。

ブライダル業界に特化することとなった経緯はどのようなものでしょうか。

起業前、広告代理店時代にデザイナーとして北海道内最大手の株式会社ブライダルハウスTUTU(チュチュ)さまを担当したことが始まりです。役員の方が営業を介さず直接デザイナーとやり取りしたいというスタイルで、全国展開している同社の広告について、デザインだけでなく企画提案まで含めて一手に担うことになりました。

ブライダル業界は集客への投資効果がシビアに問われる分野で、広告を出稿した週末に何組のお客さまが来店するかまで詳細に効果測定されます。企画の内容や媒体選定の責任も重く、高い専門性が求められる環境でした。この経験を通じて業界の特性や顧客行動について深く学ぶことができたんです。
独立後もTUTUさまとは継続しておつき合いさせていただいており、全国での新会場立ち上げにも一緒に取り組んできました。私たちが手がけた会場が軒並み成功を収めたことで「どこの制作会社が担当しているのか」と業界内で評判が広まり、紹介を通じて全国のブライダル企業とのおつき合いが拡大していきました。

他社との差別化となる御社の強みはどこにあると考えますか?

最大の強みは業界特化による専門性です。元ウェディングプランナーなど業界出身者もWebディレクターとして在籍していますし、競合調査やマーケット分析を徹底することでクライアント以上にその業界のことを理解し、必要な結果を出すための提案ができています。
また、札幌という地域性を生かしたコストパフォーマンスの良さも、全国からお仕事をいただけている一因だと思います。現在は制作したWebサイトを通じて業界内のネットワークが広がり、評判を聞いて依頼や紹介をいただくケースがほとんどです。

これまでで特に印象深いお取引先やプロジェクトはありますか?

やはり最初に手がけたブライダルハウスTUTUさまとの長期にわたるパートナーシップが原点ですね。同社の全国展開に伴走し、一緒に成長させていただいたことで今の業態が確立しました。最初の出会いがなければ、現在のような専門性は築けなかったと思います。
また、昨年はブライダル業界に携わる人なら誰もが知る、東京4大結婚式場のひとつのリニューアルプロジェクトを担当させていただきました。これまでの積み重ねが実を結び、一つの目標を達成できたと感じています。

時代の変化に柔軟に対応し、コロナ禍をチャンスに変えた対応力

時代の変化とともにブライダル業界も大きく変化しましたよね。

結婚式のスタイルは大きく変化しています。大きなホテルで大人数というスタイルは減り、今は少人数でのプライベートウェディングやリゾートウェディングなど、多様化が進んでいます。
業界内での競争も激化していて、人口減少でカップル数が減少している中でも、成功している会場は年間2000組といった規模で変わらず運営を続けています。つまり、限られたパイの中でシェアを獲得できている企業とそうでない企業の差が明確になってきているんです。

そのような業界の変化にはどのように対応されてきましたか?

まず、各社が差別化を図るためのブランディング戦略により力を入れるようになったことで、私たちのような専門知識を持つ会社への需要が高まりました。
また、集客手法も大きく変化し、紙媒体中心だった従来の手法から、現在はSNSを中心とした自社サイトからの集客へとシフトしています。私たちはこの流れにいち早く対応し、自社サイト強化とSNS活用を組み合わせた施策で成果を上げてきました。こうした変化への対応が、継続的に仕事をいただけている理由の一つでもあると思います。

コロナ禍の影響も大きかったのではないでしょうか?

コロナ禍ではブライダル案件が完全に停止してしまいました。そこで、それをきっかけにこれまで蓄積してきた知見を生かして住宅分野にチャレンジしました。ブライダル業界は顧客特性の分析や戦略設計が非常に緻密に行われています。そこで学んだ分析手法はもちろん、顧客属性も住宅購入を検討する層と近いので、生かせる部分は多かったですね。
家時間の重要性が高まったことで、住宅メーカーのほか、関連業種として電力会社やガス会社、造園会社などの案件も増加しました。一方の業界で成功した企画をもう一方に応用するといった横展開もしやすくなり、結果的にコロナ禍をビジネス拡大の機会に変えることができました。

次世代への橋渡しと新たな挑戦。全国で戦い続ける覚悟が大切

今後の展望について教えてください。

今は、次の世代への体制移行を視野に入れています。私たちはメンター的な立場でサポートしながら、20代、30代のスタッフが組織運営をリードできる状態を作っていきたいです。また、これまで蓄積した知見を生かした新事業開発にも取り組んでいきたいと考えています。現在はプロモーション会社として他社の商品やサービスを扱っていますが、将来的には自分たちでプロモーションから販売まで手がけられる事業も模索しています。

最後にクリエイターを目指す学生へメッセージをお願いします。

現在、インターンで来ている学生を見ていると、技術的には新しい技術を取り入れたり、実践で対応できる技術を習得されている方もいます。昔は学ぶために高価なツールを購入したり学校へ行ったりしなければならなかったのが、今は無料でさまざまなツールにアクセスでき、学習リソースも豊富な上に、AIという強力なツールも加わって、学習スピードが格段に上がっています。全国の学生の中には既に高いスキルを身につけている人が大勢いることを理解して、自分でしっかりと準備しなければ厳しい時代だと思います。
ただし、変化が早く激しい業界だからこそやりがいがあります。年齢に関係なく、スキルがあれば評価される世界です。新しいことを学ぶのが楽しいと感じる人、興味を持って取り組める人が最も強いですね。技術の進歩を楽しみながら、常にアップデートし続ける姿勢を持ち続けてください。

取材日:2025年9月24日 ライター:小山 佐知子

株式会社ロンドマーク

  • 代表者名:高橋 拓也
  • 設立年月:2013年3月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:グラフィックデザイン、Webマーケティング、コンサルティング
  • 所在地:〒060-0032 札幌市中央区北2条東1丁目3-3 アルファ北2条ビル7階
  • URL:https://www.rondomark.jp/
  • お問い合わせ先:011-215-0220

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