映像理念の「人を描く」に込められた想い。ブライダルムービー制作だからこそ生まれる価値

長崎
株式会社ビデオハウスHVC 取締役
Yukinari Kanatani
金谷 幸成

ブライダルムービー制作事業を行う長崎の株式会社ビデオハウスHVC。取締役の金谷 幸成(かなたに ゆきなり)さんは入社して5年。取締役として「人を描く」ことを大事に映像制作者としてビデオハウスHVCで活動してきました。なぜ、会社として“人”を重要視することになったのか、金谷さんはどういった想いで日々の映像制作に臨んでいるのか、詳しくお聞きしました。

始まりは父が始めた個人事業。引き継いだのは事業と人への想い

株式会社ビデオハウスHVCの設立について教えてください。

元々、代表取締役の久家智浩の父が個人事業主として始めた事業でして、病気で亡くなった際に息子の現代表が引き継いだ形になります。なので、社名である「HVC」というのは未だに謎なんです。
法人化した経緯としては当時、一緒に働いてくれていたメンバーに対しての福利厚生の面で個人事業主よりは恩恵があるよね。ということで法人化しました。

映像理念として掲げられている「人を描く」に込められた想いを教えてください。

先代は副業としてブライダルムービー制作を行っていたんですが、長崎のハウステンボスなどの案件も受けていた人だったんです。「なんでそんな大きいところの案件を受けることができていたんだろう」と考えていたのですが、先代は人柄がとても素敵な方だったということを知りました。そういった理由から“人”というのは外せない要素だよねというところに落ち着きました。
描くという部分については映像ってやっぱり人を撮るので、物を撮るにしても使う人のために作りますし、作った人の想いもあります。すごく抽象的な言葉なので、解釈できる余地はありますが、だからこそ明確な答えは出さずに「あなたなりに描いてください」と社員に伝えるようにしています。

エンドロール制作をやる上で出てきた特殊なスキル

事業内容を教えてください。

事業内容は結婚式の映像制作が一番大きい割合を占めていて、それが全体の90%です。残りはプロモーション事業部というところで企業に関連した映像制作などを行っています。また、前期から写真事業部も立ち上げていまして、フォトウェディングや企業のホームページに掲載するための写真撮影なども始めました。
結婚式の映像制作といっても、いろいろ種類がありまして、披露宴の最中に流れるエンドロール制作や、後日にエンドロールが流れた後に撮影した動画素材などを含めた20分くらいのブライダルムービーなどあります。 それに関連した撮影・編集などのすべてを行っている会社です。

エンドロール制作は当日の動画が多く入っていますが編集はどのようにされていますか?

その場で撮影・編集をしています。だいたい結婚式が始まって終わるまでが3時間半なので、その間には編集を終えなくてはなりません。
BGMについてだけ新郎新婦の希望をいただくので、構成を考えた上で、撮影と編集を交互に行っていく流れになります。CMなどの動画と一番違うのはディレクションが効かないことなんです。何もしなくても勝手に時間は過ぎていくので、何を撮るのかも自分の判断ですし、被写体の方がどんな表情をするのかわからないので、難しさもありながらも、楽しさでもあります。
一般的な映像制作って、エンドユーザーの顔が見えないじゃないですか。僕らは目の前にいるので見えるんですよ。この人たちを「感動」させる動画。心が揺れ動くような動画というところをゴールにして、会場の雰囲気やその人の感情の察知をしないと描くことすらできないんです。そういう意味では、映像制作とは別の特殊なスキルが必要だなと思います。

一瞬から生まれるストーリーを創り出す。それが一番の強み

ビデオハウスHVCの一番の強みを教えてください。

さっきのスキル的なところにつながると思うんですけど、「感動」といっても泣くことだけが感動ではないじゃないですか。笑っていても感動だし、泣いていないから感動していないともいえない。だから、強みはその場で“何を撮るのがこの結婚式を表現するのに一番ふさわしいのだろう”と考えられるクリエイターがいることです。
ビデオハウスHVCにいるクリエイターは、程度は違えど、全員人が好きだと思います。人が嫌いな人は人にカメラを向けることはできないので。その人だからこそ生まれた感情などを察知する、感受性の高い人たちだからこそ、人を感動させられる映像を作れるんじゃないかなとは思いますね。

なぜ映像制作だけでなく写真事業部を始められたんですか?

僕は両方できるのでわかるのですが、映像と写真は似て非なるものでもあります。
映像には尺という概念があるので、見た人の感情の動きはクリエイター側である程度狙うことができるんです。でも、写真って一瞬じゃないですか。ということは見る側に委ねられるんですよね。この笑っている写真から「なんで笑っているのか想像してください」のような。だからこそ、両方できるスタッフというのが理想的で、写真の考えを持った動画クリエイターと動画のことがわかる写真家ってまた全然違うものが撮れるので、そこを目指していきたいという気持ちから始めましたね。

金谷さんご自身のやりがいを教えてください。

結婚式の映像が特になんですが、流れってほとんど一緒じゃないですか。毎回、構成が大きくずれるようなこともないんですけど、新郎新婦の2人や家族の人生の節目に関われることですね。
その人が今までどうやって生きてきたのか。この後どう過ごしていくかを聞くことが好きで、新郎新婦の両親にインタビューすることもあるんです。「どういう思いで育ててきたんですか?」など。それを新郎新婦は映像を通して初めて知ることもあり、そういう人生の節目に映像制作という形で関われることがとてもおもしろいです。
それとは別に、結婚式って普段照れくさくて言えないような「ありがとう」を言える場所だと思っているんです。友達に対しても「あのとき楽しかったよ」「あのときはありがとう」と言えるじゃないですか。あれはカメラがあるからこそ言えるんじゃないかなと。それがたまらない瞬間ですね。

50年後に見ても感動できる映像制作を

多くのクリエイティブが世に出てきているなかでビデオハウスHVCさんが支持される理由とはなんでしょうか?

僕はいつもスタッフに「お洒落を目指すな」と言っているんです。クリエイターが個性を出そうとしすぎると本質からぶれてしまうんですよね。逆に隠そうとしても隠しきれないのが個性じゃないですか。だから、そんなことを考えずに目の前の人を見て、描く。次に「何が来るんだろう?と考えるだけで君のフィルターを通っている。それが自然と個性になっているんだよ」と。
うちは新郎新婦だけではなく、ご家族や参列者の皆様だからこそ生み出される映像を作りたいと思っています。流行り廃りに左右されない、50年後に見返しても感動できる映像制作。それが今、支持されている理由じゃないかなと思いますね。

一緒に働く社員の皆さんに求めていることを教えてください。

探求心は無くさないでほしいですね。クリエイターにとっての欲って一番の力になると思うんです。みんな入社してくる頃は強いそれを持って来るんですけど、僕らは会社なので、作らなきゃいけないものが先行して、持っていなきゃいけない部分まで削れてしまう場面も目にするので、探求心や創意工夫といった欲は持ち続けてほしいなと思います。

取材日:2025年2月24日  ライター:神代 希海

株式会社ビデオハウスHVC

  • 代表者名:久家 智浩
  • 設立年月:2012年5月
  • 資本金:700万円
  • 事業内容:映像制作全般・ブライダルムービー制作・エンドロール制作・フォト撮影編集
  • 所在地:〒859-3618 長崎県東彼杵郡川棚町小串郷824-4
  • URL:https://www.videohouse-hvc.co.jp
  • お問い合わせ先:0956-56-8855

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