ギルド(職人集団)が“面白い”映像で唸らす「その手があったか!」。生み出せる秘密とは?

大阪
株式会社センバツ 代表取締役
Shinji Ueda
上田 真司

大阪府の株式会社センバツは、実写撮影やアニメーション、3DCGなど多岐にわたる動画制作を手がける映像制作会社です。メンバーである4人全員がトップクリエイターとしてのスキルを持ち、それぞれの個性による化学反応で優れたクリエイティブを実現。代表取締役の上田 真司(うえだ しんじ)さんと映像監督のコーサカ 厚志(あつし)さんに、同社のクリエイティブの特徴や強み、展望などを伺いました。

広告制作会社でキャリアをスタート。多彩な表現に挑戦

上田さん

上田さんの立ち上げまでのキャリアを教えてください。

上田さん:新卒で広告制作会社に入社し、クリエイティブを中心に、ブランディング広告の企画やセールスライティング、テレビ番組の構成などを経験しました。その後、営業職も経験しました。

幅広い業務を経験されたのですね。

上田さん:はい。新聞、雑誌、ラジオ、テレビの媒体も4大メディアから電車の中づり広告、パンフレット、ブログ広告、デジタルサイネージ、WebCMなど、さまざまなものを手がけました。

コーサカさんはどういった経緯で映像に関心を持たれたのでしょうか?

コーサカさん:とある会社で営業職として働いていた際、動画制作の魅力にひかれ、独学で動画編集ソフト「Final Cut Pro」「After Effects」「Premiere Pro」をマスターしました。その後、企画から撮影、編集まで、一連の映像制作を手がけるようになりました。

こだわる「センバツ」でしか生まれないクリエイティブ。“疲れた”2人が起業へ

コーサカさん

法人化のきっかけをお聞かせください。

上田さん:勤務していた広告制作会社が「1回倒れてやっと一人前」という社風だったので、非常にハードな環境で仕事をしていました。仕事は面白かったのですが、心身ともに疲弊してしまい、「もっと楽しく仕事をしたい」と、2021年に仕事を通して知り合い、クリエイターとしての才能に惚れ込んでいたコーサカさんを誘ってセンバツを立ち上げました。
コーサカさん:僕も上田さんと似た環境で、前職で疲労困憊(こんぱい)していたのですが、そんな時に上田さんから声を掛けていただき、一緒にセンバツを始めることになりました。

とても印象的な社名ですが、どのような思いが込められているのでしょうか?

上田さん:「センバツ」という社名には、二つの思いを込めています。一つは“常に選抜されたトップクリエイターが集まるギルド(職人集団)でありたい”という思いです。僕が考えるギルドとは、普通の人がスルーしてしまうような小さなこだわりやアイデアに面白さを見出し、追求できる職人が集う場所。優れたクリエイティブは、そんなギルドでしか生まれないと考えています。
もう一つは、依頼をいただくクライアントにとって、千(セン)の抜群(バツグン)を創り出していきたいという思いです。

幅広いクリエイティブ事業を展開。異色キャリアで個性豊かなメンバーが集結!

現在の事業内容について教えてください。

コーサカさん:現在は動画、3DCG、アニメーション、ライブ配信、音楽制作・ナレーション・歌、撮影などの企画・撮影・編集に対応しています。

コーサカさんは「一人でできるもん系映像クリエイター」だそうですが、どういう意味ですか?

コーサカさん:面白そうなものを見つけると、「やってみたい!」とすぐ手を出してしまうんです。気づいたら、事業内容に加えて映像プロデュースや出演、振り付け、イラスト、声優まで担当しているので、そんなあだ名がつきました。

現在は4人という少数精鋭で活動していらっしゃいますが、ほかの2人は異色のキャリアをお持ちだそうですね。

コーサカさん:はい。1人は設計事務所に入社後、バーテンダーとして働きながら映像制作を勉強していました。僕とはセンバツ創業以前からの知り合いで、企画から撮影、編集、ライブ配信、3DCGまでマルチに対応できる人です。現在はディレクション業務を任せています。
もう1人はヘアメイク専門学校からグラフィック科に編入し、前職ではプロダクトデザインに従事していました。現在はイラストレーター兼映像制作として活躍しています。

「その手があったか!」を生み出す秘密とは?こだわりは「ずらした表現を取り入れる」

仕事をするうえで重視していること、こだわっていることについてお聞かせください。

上田さん:制作においては「売上向上」「ブランド浸透」「認知拡大」などクライアントの課題を斜め上からあっさりと解決する、「その手があったか!」というクリエイティブを生み出せる工夫をしています。
AIやビッグデータの活用など、IT技術が導き出す最適解のクリエイティブも生かしつつ、人間味あふれるクリエイティブを目指しています。

具体的には、どのような工夫をされているのですか?

上田さん:プロジェクトごとに社内外のメンバーをユニットのように組み換え、メンバーの個性やこだわりが化学反応を起こすように意識しています。

コーサカさんは、どんな点にこだわっていますか?

コーサカさん:動画制作のセオリー(決まり)は押さえたうえで、少しずらした表現を取り入れることです。面白さは、セオリーから少し逸脱することで生まれると感じているからです。もちろん、クライアントがセオリーどおりの作品を望む時は意向を尊重しますよ。

「なんとなく、こんなことがしたい」にも柔軟かつ最適に対応できるワケ

これまで手がけた中で、特に「センバツらしさ」が表れていると思う作品はありますか?

コーサカさん:化粧品のWeb広告で、企画から撮影、音楽制作、出演俳優のキャスティングまで一貫して担当した案件が、最も「センバツらしさ」が表現できた作品だと思います。限られた予算の中で、クライアントのニーズを的確に捉え、オリジナリティーあふれる映像を制作することができました。

幅広く対応できる、センバツさまの強みを生かせる案件が「らしい」ということですね。

コーサカさん:そうです。「なんとなく、こんなことがしたい」という漠然としたご要望でも、クライアントのビジョンを具現化するための最適なソリューションをご提案できます。動画制作だけでなく、必要であれば、UI/UXデザインやマーケティング戦略など、幅広い視点からアドバイスすることも可能です。
これは、さまざまな強みやこだわりを持つチームメンバーがいればこそ可能な、センバツならではの個性だと思います。

「センバツに頼めば間違いない」と言われる会社へ。オリジナルコンテンツ制作に注力

将来のビジョンや展望についてお聞かせください。

上田さん:当社の目指すところは、すべてのメンバーが映像制作、コピーライティング、イラストレイティングなど、クリエイティブにおける圧倒的な専門分野を持ちつつ、プロジェクトによっては、リーダーにもなれる集団であることです。
「前例がないプロジェクトでも、センバツに頼めば間違いない」と言ってもらえるような会社でありたいと思っています。

これから力を入れていきたいと考えている、具体的な目標はありますか?

コーサカさん:受注案件に加え、オリジナルコンテンツを制作・発信していくことです。現在は、3DCGを使ってキャラクターを生成する自社コンテンツ「Desktop Age」の実用化を目指しています。いずれは生成したキャラクターを使ったショートムービーを制作してみたいなと考えています。
あとは、昨年、映像制作を担当していた「SMILERS(スマイラーズ)」を引き続き盛り上げていくことですね。

「SMILERS」とはどのような活動ですか?

コーサカさん:お笑い芸人の河本準一さんが監督として率いる、芸人さんで構成されたサッカーのオールスターチームです。コンセプトは「今までにない“サッカー×笑い”のエンターテインメントを表現しつつ、勝利と笑いを本気で獲りにいく」というものです。“サッカー×お笑い”で、YouTube界に笑いの渦を巻き起こそうという取り組みです。

クリエイターに必要なのは「上手に調べる能力」?好奇心に素直であれ

最後に、クリエイターへのメッセージやアドバイスをお願いします。

コーサカさん:疑問点を調べる能力と習慣を身につけておくことをお勧めします。若いうちはスキルがない、経験がないと焦ることがあるかもしれませんが、その時に非常に役立つのが、わからない部分を上手に調べる能力です。
僕も独学で、わからない点は都度、調べながら動画ソフトのスキルを身につけました。最初から使いこなせる人はいないのだから、調べる能力と習慣を身につけて、仕事をしながら覚えていけばいいんです。
あとは、自分の「好き」を追求して、夢中になることです。僕の場合は、サッカー好きから「SMILERS」の仕事につながりました。まあ、無理につなげたとも言えますが(笑)。一見、仕事に関係のなさそうなことでも、どこかで仕事に役立つこともあります。最近の若いクリエイターさんは真面目な人が多くて、「仕事の役に立つか、立たないか」という観点で物事を判断する傾向があるようですが、ものづくりにおいて無駄なことはないのだから、さまざまなものに興味を持ってほしいと思います。

取材日:2024年9月11日 ライター:櫻井 靖子

株式会社センバツ

  • 代表者名:上田 真司
  • 設立年月:2021年3月
  • 資本金:1,000,000円
  • 事業内容:映像の撮影、加工、編集、制作及び販売/講座、講演、セミナーの企画、運営及び開催/コミュニティの運営/前各号に付帯関連する一切の事業
  • 所在地:〒550-0014 大阪市西区北堀江1-6-2 サンワールドビル4F
  • URL:http://senbatsu.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://senbatsu.co.jp/#contact

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP