スペース2024.04.10

“建設業者”が庭や家具などもデザイン?顧客の夢叶え20年「無理難題を言われると、燃えます」

新潟
有限会社フォルトーナ 代表
Kazuhiro Takahashi
高橋 和広

注文住宅を中心にリフォーム、庭造りまでを一手に行う新潟の有限会社フォルトーナ。代表・高橋 和広(たかはし かずひろ)さんは、妥協しない家造りが信条で、顧客に合った“理想の家”を追求し、家具まで作ってしまうほど。健康で住みよい家を常に考え、図面を書き続けている高橋さんに創業時のこと、家造りへの想いなどを伺いました。

家造りを介して、みんなが幸せになってほしい。職人気質の大工らと働き、積み上げた経験

会社立ち上げまでの経緯を教えてください。

中学校の時にお世話になった先生からご縁をいただき、先生の旦那さんが経営していた住宅会社に就職しました。しかし、まもなくするとそこが倒産。まだ完成前の物件などをすべて大工さんたちと引き取って、なんとか完成させて、お客さまに引き渡しを行いました。それを機に大工さんたちと一緒に仕事を始めるのですが、彼らは職人気質で現場主義。営業なんてするわけもなく、私が1人で切り盛りすることに。自分の給料を稼ぐのも非常に大変で苦しい時期で、だんだん気持ちもしんどくなっていきました。
そんな矢先、叔父からウチの会社に来ないかという打診を受けて、叔父の会社に入社。しかし、そこも結局、職人以外のプロがいない場所でした。図面を書いて、木材を段取りして、工事の段取りを組み、営業して……。のちのち独立したいと考えていたので、この会社で一から十までとにかく経験しました。そして、満を持して34歳のときに独立しました。今から20年ほど前の2004年のできごとです。

もともと建築業界への関心をお持ちだったのですか?

私が物心つくころには倒産してしまいましたが、父が工務店を営んでいました。その影響もあってか、小学校や中学校の図工の時間などに、図面を書いて椅子などの家具を製作するのが好きでしたね。だから叔父の会社に入社前、大工さんと一緒にやっていたときには細かい仕事が得意な方からいろいろと勉強させていただきました。これがうちの会社の得意とする「造作」につながってくるんです。

社名「フォルトーナ」に込めた想いを聞かせてください。

ラテン語で「幸福」を意味するこの言葉を選んだのは、弊社と関わっていただけるみなさんが幸せになってほしいという想いからです。お客さん、業者の方々、私どもの三方向がみんな幸せになってほしいな、と。

問い続けた10年、見つけた真の「健康住宅」とは?住宅会社だから生み出せる庭の景色

会社立ち上げ当時の新潟の建築業界はどのような感じでしたか?

当時は、「新建材が悪い」「シックハウスがひどい」「アトピーがある」などの対策として自然建材を使用する風潮が高まっていた時期でした。私も当初はその流れに乗っていたのですが、徐々に感じてきたんです。「本当にこれでいいの?」って。そこでそもそも立ち戻ったんです。寒い家にはしたくない。寒くしないためには断熱はもちろん、気密性も高めなければならない。断熱を高めた場合、換気が行き届かないとカビが生えてくる。そんなふうに、これらに徹底的に向き合った結果、家の中で温度差がない、きちんと換気もできている家こそが本当の意味での健康住宅だ、という確信にたどり着いたんです。弊社の今の施工スタイルの基本となる、この結論にいたるまで創業から10年ほどかかりました。

御社の現在の事業内容を聞かせてください。

新築もリフォームもやるし、あることをきっかけに庭のデザインや手入れも担当させていただくようになりました。
草花って最初は小さいじゃないですか。だから、見栄えがするようにと家が完成した当初、たくさん植えるんですよね。でも、当たり前だけど草花は成長する。あっという間に生い茂ってしまうけれど、メンテナンスする時間がない。あったとしても常にやり続けなければならない。そんなお客さんを家のメンテナンスに伺うたびに目にして、庭も含めてやらせていただいたほうがいいと思ったのがきっかけでした。

庭まで請け負うことになってよかったことはありますか?

庭屋さんは家の外からしか庭を見られません。しかし、私たちは家の中から庭を見ることができる。これが最大のメリットだと思います。そもそも庭はそこに住む方々のもの。住む人が楽しく、優しい気分になれるためのものなのに、外から見て作るのでは、そういった景色を生み出すのはなかなか難しいんです。また、そういった景色を作ったとしても、隣のお宅が近くて、窓を開けられないのでは意味がありません。そういった場合にも目隠しを作るなどの対策が取れるのは、弊社が庭を担当しているからこそだと思っています。

家具造りで家のトータルデザインも。選ばれる理由は「無理難題でも実現してくれる」

家造りをするうえで大切にしていることを教えてください。

妥協しないこと。せっかくご縁をいただいてお仕事をさせていただくわけですから、金額の高い低いにかかわらず、定められた条件の中で一番いいものを造ろうと決めています。
図面は私が1人で書いているのですが、「こうなる理由があってこう収めた」と常に説明できる図面を書いています。それでいて、かっこよくて、機能性が高いこと。だから、階段や家具などはかなりの頻度、弊社で造作します。もちろん、これも私がすべて図面を書きます。だから、例えば寝室があったとして、部屋全体の図面を書いたら、今度は壁、今度は壁に備え付ける棚、ベッドヘッドの照明周りにそこからつながる机の図面……。1部屋造るだけでも、何時間図面を書いているか分からないほど、向き合っています。もちろん、実際に現場で合わせてみたら、こうしたほうがいいとアイデアが浮かぶことももちろんありますので、そんなときはまた図面を書きます。とにかく妥協はしたくないんですよね。「これどこで買えるんですか?」って私たちが造作したものについてお客さんが聞いてきてくれたときは、心の中でガッツポーズしていますよ(笑)。

これまで担当された物件の中で印象的なものはどのような物件でしたか?

これが一番というものはありませんが。やはり無理難題を言われると、燃えますよ。「無理難題をどうやって叶えようか」と考える時間がとにかく楽しいですね。きっと数多にある住宅会社の中から弊社を選んでいただけている最大の要因は、そこにあると思っています。
だから、従業員たちにも言っているんです。「うちに来てくれるお客さんはきっと難題でも実現してくれると思って来てくれた。だから応えようぜ」って。

変わらず、顧客との一期一会を大切に。うちのスタイルにハマってくれる後継者、求ム

展望について聞かせてください?

数を多くこなしたいとは思わないので、今までどおり、一期一会を大切にして仕事をしていきたいと思っています。妥協なく全力でやるから、引き渡しのときにポッカリと心に穴が開くというか、寂しさが残るので、あんまり数をこなしていると、心が持たないんですよね(笑)。

今後一緒に仕事をしてみたいのはどんな素養のある人物ですか?

素直な人。まずは弊社のスタイルで仕事をしてみてくれる人ですね。経験があると、どうしても我流に走ってしまう傾向があります。そうではなく、うちの会社のスタイルにハマるよう、素直に耳を傾け、実践してくれる人と一緒に仕事をしたいですね。
職種は、営業でも建築士でも構いません。欲を言えば、後継者もほしいかな。ぜひ、いろいろな方とご縁をいただきたいですね。

取材日:2024年2月22日 ライター:コジマタケヒロ

有限会社フォルトーナ

  • 代表者名:高橋 和広
  • 設立年月:2004年6月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:住宅工務
  • 所在地:〒950-0892 新潟県新潟市東区寺山1丁目18-28
  • URL:https://fortuna-n.co.jp/
  • お問い合わせ先:025-279-4443

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