グラフィック2024.03.19

着眼点は「クリエイティブ×〇〇」。顧客の“?”を“!”に変える手腕に迫る。

福岡
合同会社マジワン 代表
kotarou nagase
永瀬 晃大朗

これからの時代、ダイレクトマーケティングは企業だけでなく利用者にとっても、便利になり欠かせない存在です。今回ご紹介する福岡県の合同会社マジワンの代表・永瀬 晃大朗(ながせ こうたろう)さんは、広告業界での経験を生かしたダイレクトマーケティングに関するコンサルティングなどの、マーケティング事業を展開しています。ダイレクトマーケティング業界に身を置く永瀬さんに、事業展開から今後の業界についてお話を伺いました。

広告でありながら理系感覚、そこに魅力を感じてダイレクトマーケティング業界へ

永瀬さんが広告業界に進んだきっかけを教えてください。

出身は富山県で、名古屋大学工学部を卒業し、卒業後は大学があった愛知県の総合広告代理店に入社しました。どうして工学部から広告業界に?とよく聞かれますが、サークル活動等で映像コンテンツを作っていたこともあり、制作したコンテンツで人を動かすことや新しく生み出すことに興味を持っていたからです。在籍は工学部でしたが、広告業界へ進むことに抵抗はありませんでした。

入社した会社ではどのような仕事をされましたか?

ハウスエージェンシーとしてコンビニやGMSなど小売の販促関連の広告を主に扱っていました。そこではディレクターやプランナーとしてセールスプロモーションのプロジェクトに携わり、この時期にオフラインとデジタルを含めたさまざまなプロジェクトに関わることができ、応用力や仕事の進め方などマルチに学ぶことができました。
そして3年後に、東京のダイレクトマーケティング支援を行う広告代理店、株式会社ファインドスターに転職しました。ちょうどその頃、通信販売事業者向けの広告アカウントセクションが立ち上がったばかりで、立ち上げまもないチームに参画できたのは良い経験だったと思います。
ファインドスターでは通販広告、いわゆるレスポンス広告というチラシや新聞の掲載広告などの制作を担当しました。このレスポンス広告というのはデータを扱うので、クリエイティビティな分野でありながら理系の感覚をバランス良く使えたことが、自分に向いている業種だと実感できました。

当時の仕事について教えてください。

広告制作業務はもちろんですが、クライアントの事業シミュレーションの理想値に近づける提案と、そのための仕組みづくりをしていました。
チームリーダーや部長を経て全体をマネジメントしながら、組織変更にともない最終的にはクリエイティブ局の局長になりました。その頃は、クライアントに対してだけではなく社内の仕組みづくりや、新卒でも活躍できる教育体制づくりの仕事が多かったですね。
そのあと、福岡のクリエイティブチームをまとめる立場として福岡へ赴任しました。しばらくは東京と福岡を行き来していましたが、福岡チームを分社化するタイミングで福岡を選んだというわけです。

やるべきこと、必要とされる場所があればポストには拘らない

なぜ福岡チームを選んだのですか?

東京の体制はある程度は整っていたからです。次の人材が育っている所に私が戻ると、せっかく育ち始めたのでチャンスを奪ってしまうと思い、やるべきことはどちらかと考えて福岡を選びました。その頃の福岡の会社は分社化したばかりで、ある程度は立ち上げに携わっておくべきだと思ったからです。ポストには固執していなかったので、自分が必要ならそこにいて、必要ないなら抜ければいいと考えていました。プロフェッショナルではなく局長などのマネジメント職を選んでいったことも、当時はやるべきだと思ったからです。そういう意味で適材適所を地でやっていると言えますね。

そこから、独立された経緯は?

代理店というのは広告枠を販売するための企画しか作れないという側面が強く、やりたいことができないことがフラストレーションになっていたことは事実です。その積み重ねがあって、独立することとなりました。ちょうどそのタイミングで、福岡のクライアントでもある社長から「うちを手伝ってほしい」と声をかけていただいたのが独立を決めたきっかけです。

会社名に込められた思いを教えてください。

独立した直後はトリックスターという屋号を使っていました。これはシェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に登場する妖精が、突然現れてその場を一変させるいたずらを意味する言葉です。そのシーンがとても好きで、あとからそのシーンのことを「トリックスター」と呼ぶと知り、その響きがしっくりきたのでいつか使いたいと思っていたからです。けれども、18年に法人化することになり、会社にするからにはチームとして仕事を受けることになるので、そのチームがトリックスターを意味するいたずらではいけないと考え、何をするのかを分かりやすくするためにマジックワンド(魔法の杖)から「マジワン」となりました。

「3つの柱」で企業、クリエイターを支える。チームだからこそ「全部任せられる」体制へ

現在の事業内容を教えてください。

マーケティングコンサルタント事業、広告制作事業、インハウスのクリエイター教育支援、この3つの柱で事業を行っています。マジワンの根幹は企業の広告セクションをアウトソーシングすることです。そのためには、正しく評価するアドバイザーやブレイン、そして制作機能と教育、この3つが必要です。この要素がないと効率的にPDCAが回る組織は作れませんし、発展もないと捉えているので、弊社の事業にはこの3つの柱を掲げています。

会社になって変わったことはありますか?

クライアント側から見ればほとんど変わっていないと思います。ですが、敢えて言うなら「個人からチーム」という意識の変化です。以前は自分ができる枠だけの仕事をするようにしていましたが、今は福岡を中心に活躍する個人事業主のパートナーのネットワークを活かして、チームとしてできる仕事を受けるという視点が生まれました。例えば、私は文章が書けてもデザインができないため、得手不得手という基準で仕事を受けていたのが、チームとして受けるという意識になって仕事の幅が広がったという感じです。

御社の強みを教えてください。

新しいことを発想することと、その分析も行える点だと考えています。広告には新しい試みが大事なので常に試行錯誤をする必要があります。そして、その分析を常に行い知見として積み重ねていることが現在の強みです。その強みに甘んじてはいけないという気持ちから、そのノウハウを惜しみなくブログなどに記載して発信しています。
(ブログはこちらから[https://mgwn.jp/lab/])
また、PDCAのどのパーツからでも提案ができることも弊社の強みと言えます。クライアントからは「全部任せられるから楽だね」とよく言われます(笑)。

具体的にはどのように仕事を進めていますか?

企業からの相談は売り上げを伸ばしたいという内容なので、社長や事業部長といった立場の方と話す機会が多いのですが、その方々はこうしたいというイメージはあっても組織構築の知見をあまり持ち合わせていません。そういう時、多くのコンサルタントは理念から作ろうとしますが、私は足りない動きの部分を言葉で具現化します。私は「チームに足りないのはこの部分、こんな人材、こんなアイデアです」と足りない動きを言葉で具現化します。事業シミュレーションなども行ってきたので、その経験から予算を先読みして伝えることもしています。

マジワンは現在永瀬さんお1人ですね。制作体制はどうしていますか?

弊社のスタイルとしては、基本的にクリエイティブディレクターは私1人で、そこにパートナーとしてデザイナーやライターなど必要なスタッフと契約して、制作チームを組んで仕事を進めています。今現在も、制作チーム、リサーチチーム、モデルなどのブッキングチーム、メディア向けPR活動チームなど、いくつものチームが同時進行中です。予算や期間が許すなら商品開発から広告チームまで、すべてをワンストップで行うことが理想です。

仕事をするうえでのネットワークはどのように築きましたか?

今の仕事やチームでつながっている方々の多くは、私が福岡に来てから作り上げたネットワークです。元々は福岡でのチーム立ち上げのために来たこともあって、当時の制作スタッフも、一緒に仕事をするパートナーも、すべて一からリクルーティングしました。そのネットワークを作るために、福岡の人間関係のコミュニケーションに飛び込む必要があると思って、ほぼ毎日飲み屋に行っていました(笑)。なるべく広告代理店の方々が集まるようなお店を探して、毎日通っていると「最近よくいるね」となって仕事につながり今にいたるという感じです。少し変わったところで言うと、臨床試験を行う研究所ともつながっていますよ。

大事なのは、得意なものの掛け合わせが当たる、それがやりがい

クリエイターとしてのやりがいは?

本来クリエイターとしては自分のアイデアを形にすることが一番のやりがいだと思いますが、通販においてはそれが正解にならない部分があると思います。なので、明確なやりがいとは違うと思いますが、おもしろい広告を作るよりも、手がけた広告が当たることにおもしろさを感じています。例えるなら、ちょっと難解だけどおもしろいと言われる広告を作るより、誰でも分かる平均点のような広告を目指していると言えばわかりやすいかもしれません。ですので、アート性を追い求めるクリエイターとは少し違って異色だと思いますが、得意ジャンルを掛け合わせることで能力を最大限発揮できていることにやりがいを感じています。

今後のマーケティング業界はどうなると思いますか?

すべての広告とまでは言いませんが、薬機法や景品表示法における法令の規制から、表現の平準化が進んでいるので、悲観的なことを言えば、今後はクリエイターがいらなくなると思います。AIもどんどん進化しているので、クリエイターという人種はどこまで必要か?という議論が近い将来に必ず出てくるでしょう。それは広告業界やマーケティング業界だけでなく、いろいろな業界にも影響が出てくるのは確かです。なので、マーケティングは、新たなコンセプトや概念をゼロイチで作ることの方が重要になってくると思います。そういう意味では、クリエイターがいらなくなるというマイナス要素も楽しまなくてはいけないですよね。

最後に、これからのクリエイターはどうあるべきでしょうか?

物の視点をしっかり見て、本質は何かを考えて、そこから企画やプランニングをすることにクリエイティブの良さがあるので、スペシャリストだけでなくゼネラリストにも向かう方がおもしろいと思います。それこそ、すべてのことをクリエイティブとして変えていく発想が重要になってきますよね。私自身のことを言えば、「理系×クリエイティブ」の掛け算でダイレクトマーケティングをやってきました。この考えで言うと、今後のいろいろな企業課題はクリエイティビティによって変えていけると思っています。「人材育成×クリエイティブ」「社会課題×クリエイティブ」など「〇〇×クリエイティブ」という発想が必要ですし、すべてのことをクリエイティビティを持って解決できるのではないかと思っています。

 

取材日:2024年2月5日 ライター:井 みどり

合同会社マジワン

  • 代表者名:永瀬 晃大朗
  • 設立年月:2018年7月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:マーケティングコンサルタント事業、広告制作事業、インハウスのクリエイター教育支援
  • 所在地:〒812-0011福岡県福岡市博多区博多駅前2-19-17 トーカン博多第5ビル312号室
  • URL:https://mgwn.jp/
  • お問い合わせ先:092-518-1479、または上記サイトのお問い合わせへ

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