元整備士の論理思考を武器に、お客さまに喜ばれる動画を。「目の前の人のナンバーワン」に

名古屋
合同会社BreAn-create 代表社員
Atsushi Fuwa
不破 淳史

クリエイティビティあふれる動画の撮影や編集に強みを持つ、名古屋の合同会社BreAn-create(ブリアンクリエイト)。代表の不破 淳史(ふわ あつし)さんは、ホンダの自動車整備士やイベントディレクターの仕事を経て動画編集を独学で学び、会社設立を果たしました。自動車整備士で培った論理的思考を武器に、創業1年でさまざまな実績を重ねる不破さんに、起業までのストーリーや会社の強み、今後のビジョンなどをお聞きしました。

ずっと夢だった「自動車整備士」の仕事。立ちはだかった理想と現実のギャップ

子どもの頃の夢を教えていただけますか?

小学生の頃からクルマが好きで、中学時代に「自動車整備士になる」という夢を持ちました。工業高校でバイクも好きになり、クルマとバイク両方の整備を学べるホンダの整備士専門学校に進みました。
4年間のカリキュラムを経て、ホンダのディーラーに就職し、入社してすぐに1級自動車整備士の国家資格も取りました。

子ども時代の夢をしっかりと叶えられて、すごいですね。

夢は叶ったのですが、実は2年ほどで辞めてしまいました。クルマやバイクが大好きだったのですが、仕事として取り組み、利益の確保や時間に追われるうちに“楽しい”という気持ちがどんどん薄れてしまったんです。

友人の紹介でイベントディレクターの仕事に出会う

そうだったのですね。整備士を辞めてからは何をされたのですか?

整備士を辞めてしばらくした頃に、友人からある仕事の誘いがありました。それがイベント関連のディレクション業務でした。
当時は酒類やタバコの新商品が出ると、パチンコ店やクラブなどのさまざまな場所で試飲や配布を行うプロモーションイベントが催されていました。私の業務は、広告代理店から依頼を受けてイベントの開催現場に行き、ディレクターとしてアルバイトなどの現場スタッフをまとめる仕事でした。
仕事内容や業務委託という就業スタイルが私の性格に合っていて、そこから6年ほどフリーのイベントディレクターとして活動しました。

コロナ禍をきっかけに、イベントから動画の道へ。地道に実績を重ねる

イベントディレクターから動画編集にシフトされた経緯をお聞かせください。

コロナ禍が原因です。新型コロナウイルスの流行によって対面型のイベントがどんどん減っていき、最後にはほぼゼロになってしまったんです。
当時ちょうど30代に入る頃、「このままではまずい」と考えてWebの勉強を始めたのですが、ものにするには時間がかかりすぎるため、学びの領域を動画編集にシフトしました。それが起業のターニングポイントになりました。

動画編集に出会ってから、どのように活動されたのでしょうか?

まずは実績を作ることが大事だと思い、ダンスユニットで活動していた友人のYouTube編集を無料で請け負いました。
そのあとはクラウドソーシングサービスの「ランサーズ」や「クラウドワークス」などを使って、動画編集の案件をこなし、地道に実績を重ねていきました。

「法人化しないと、した人の気持ちはわからない」と起業。フリーと法人の違いとは?

そこから法人化にいたった経緯も教えてください。

起業への直接のきっかけは、実は株式会社フェローズとの出会いによるものなんです。営業活動の一環としてフェローズにアプローチをかけると、興味を持ってくれたエージェントの方が映像関連の派遣の仕事を紹介してくれました。はじめは派遣社員として動画撮影や編集の仕事に従事し、1年半後に派遣から業務委託に切り替えていただいたタイミングでBreAn-createを立ち上げました。

フリーランスではなく法人にした理由をお聞かせください。

一つは、派遣社員をしながら若手起業家のための経営塾に参加していた時に、講師の方が言った「法人化しないと、した人の気持ちはわからないよね」という言葉が強く印象に残ったからです。
そしてもう一つの理由は、その頃に結婚をしたことです。「これからは家族を養っていかなければならない」という気持ちも強くあって、腹をくくって法人化にチャレンジしました。

フリーランスと法人の違いはどんなところにありましたか?

フリーランスとして6年以上の経験がありましたが、法人化すると手続きの細かな部分でもその違いや重みを感じますね。
押印一つとっても法人印を用意する必要がありますし、名刺交換の際も「え?法人化されているんですか」と驚かれることもあります。フリーランス時代と比べ、社会的な責任はもちろん信用も上がった気がしています。

動画撮影・編集に軸足を置き、ブライダル撮影にも挑戦。整備士で培われた論理的思考を生かして

事業内容について教えてください。

以前から手がけてきたイベントディレクションの仕事を受けることもありますが、今は動画の撮影・編集に軸足を置いています。最近ではブライダル関連のムービー撮影も手がけています。

御社の強みはどのようなところにありますか?

BreAn-createの大きな強みは「論理的思考」にあります。私の原点である整備士には、クルマやバイクのメカニズムに対する論理的な理解が必須です。部品一つとっても「何をする部品なのか?」や「どうしてこの形なのか?」といった本質を見る目が必要になりますし、エンジン部品が一つ欠けてもクルマやバイクは動きません。長年培ってきた論理的思考はクリエイティブワークにもすごく重要で、お客さまの想いを動画にして的確に形にするためにも必要です。
また、モノづくりが盛んな愛知県の企業への理解や本質をつかむのが早いのも当社の強みだと思っています。

最近手がけられた仕事で印象に残っているものを教えてください。

さきほどお話ししたブライダル関連の撮影ですね。これまで実績を重ねてきた動画編集は、テロップなどを駆使して情報をわかりやすく伝えるという側面が強い仕事でした。一方、ブライダルの撮影は文字情報に頼らず、映像だけで結婚式の世界観や幸せな雰囲気を伝える必要があります。
撮影のたびに難しさを感じる一方で、いいシーンが撮れた時の喜びや、映像だけで表現する奥深さなどを実感する毎日です。

使用機材やソフトウェアにこだわりはありますか?

「お客さまが喜ぶ映像を残す」ことにフォーカスしているので、機材単体のこだわりはありません。目的に合わせてその都度機材をセレクトしていくという感覚で仕事に臨んでいます。
動画編集のパートでは、Adobe社のソフト群をシームレスに活用することを心がけています。

技術とは人間社会に奉仕する一つの手段。目の前にいる人の「ナンバーワン」に

日々の仕事で大切にされていることを教えてください。

すべての仕事って、結局は「お客さまが喜ぶか?」「確かな価値が提供できるか?」「その量がどれだけになるか?」に行き着くと思います。整備士学校時代に知った本田宗一郎さんの「技術とは人間社会に奉仕する一つの手段だ」という言葉に感銘を受けていて、映像の仕事・技術も同じなのだと感じています。
あと、映像の仕事はその映像を見るエンドユーザーと直接仕事をすることはほとんどないため、少なくとも仕事を依頼いただいた目の前の人にはベストを尽くすことを大事にしています。業界ナンバーワンを志すのは難しいかもしれませんが、目の前の方にとってナンバーワンの存在になることはできると信じています。

お客さまから頼っていただけるクリエイティブパートナーへ。中部地方のデジタル推進に力

今後の目標や展望を教えてください。

現在、動画関連のスキルアップとともにウェブ広告をはじめとするマーケティング領域も勉強しています。Webのランディングページも自社で作れるよう準備を進めています。
それらの学びを通じて、中小企業のお客さまがWebマーケティングで勝負する時に映像からWeb広告、ランディングページまでをワンストップで依頼いただける環境を整えます。お客さまから頼っていただけるクリエイティブパートナーになるのが創業からの目標です。
企業としてのスケール感は今後の需要と相談して、自社スタッフを揃えるかパートナーとの協業を進めていくのかを考えます。まずは年商1000万円を目指したいです。

協業するクリエイターに求めることはありますか?

「言語化」する能力を求めています。コミュニケーションがとても大事な仕事なので、思っていることをしっかりと言葉にして伝えられる方のほうが仕事を効率よく回せますし、明確な意思疎通ができたほうが私はその方を好きになりやすいかなと思っています。

中部地方のクリエイティブについて思うことがあれば、お聞かせください。

モノづくり企業が多いことに関係するのかもしれませんが、中部地方のお客さまはデジタル領域への取り組みが弱い気がしています。Webサイトを見ても、ファーストビューのインパクトを生み出す動画を使う企業もまだまだ少ない印象です。ぜひデジタル領域にもう一歩踏み込むお手伝いをしたいです。

今までに固執せず、やり方を変える重要性。「起きている時間はすべて勉強だ」

最後に、世の中のクリエイターに向けたメッセージをお願いします。

「起きている時間はすべて勉強だ」と思ってください。コンビニに入るだけでも、商品レイアウトの考え方や、どのような商品がどんな高さの棚に置かれているかという点もすべて理論の蓄積のうえに決められています。その微妙な違いを自分で考えることがクリエイターにとって大事なのだと思います。
私はフリーランスの活動経験も長いのですが、仕事は思い描いた計画通りに進まないこともしばしばです。そんな時は今までのやり方に固執せず、変えるのがいいと思います。しかしながら、これまでのやり方を変えるには相当な勇気が必要です。でも、それを乗り越えて一歩を踏み出せば、きっと未来が拓けますよ!

取材日:2023年12月20日

合同会社BreAn-create

  • 代表者名:不破 淳史
  • 設立年月:2023年3月
  • 事業内容:動画撮影・編集
  • 所在地:〒454-0912 愛知県名古屋市中川区野田3丁目211番地
  • 電話番号:090-8553-2686
  • お問い合わせ先:

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