WEB・モバイル2024.01.10

「HP作ります」のチラシを自転車で配布。“変化対応”と企業戦略の大切さを胸に検索上位へ

岡山
株式会社みうら 代表取締役
Kazuyoshi Miura
三浦 和賢

単なるホームページ制作だけでなく、成功報酬で企業サイトの検索上位を目指す岡山の株式会社みうら。一瞬にして状況が変わってしまうWeb業界で、失敗したら報酬がゼロになってしまう成功報酬は揺るぎない実績と自信がなければ成り立ちません。創業以来、何度も変化の波を捉えて乗り越えてきた代表取締役の三浦 和賢(みうら かずよし)さんは、その秘訣を「野生動物が餌場を変える位に自然なこと」と飄々と語ります。同社のこれまでの歩みとこれからの取り組みに迫りました。

「顧客の困り事を解決する」。とびこみ営業で掴んだビジネスの本質

株式会社みうらを設立するまでのご自身の経歴を教えてください。

私は島根県浜田市の出身で、高校を出て数社勤めたあと、鳥取県の米子で自動販売機の会社に就職しました。自動販売機を設置してくれそうな店やお家に、一軒一軒飛び込み営業をしました。私の会社は設置するための初期費用はオーナー側の負担です。ライバル会社は無料だったので、当然、反応はよくないワケです。がむしゃらに行ってこちらの熱意を伝えても、空振りの方が多かったですね。
そこで、無理に売り込まずに、飛び込み先の話を徹底的に聞くことにしました。自分から話したら相手の目が死ぬからダメ。相手が喋ったら生き生きとした目になるので、なんだかんだ宿題をくれます。向こうの悩み事や困り事を聞いて、次に会うときには解決策を用意しておきます。それが、3回4回と続けば、相手に信用してもらえて、やっと話を聞いてもらえるようになります。
ホームページ制作も結局は「集客ができない」「検索の上位にいかない」とかお客さまの課題解決ということですから。本質はここから学べたような気がします。「とにかくお客さまの話を聞き、課題を解決する」。これが掴めたおかげで、営業成績もアップして、社内キャンペーンで2回入賞して、26歳には営業所長になっていました。

「すべての仕事は変化対応業」。研修先で知った言葉が今も心に

そのまま順調に成績が伸びたということですか?

いや、それがそう上手くはいかず、会社自体がグローバル企業に買収されるなど、経営環境が何度もガラっと変わりました。
それでも慌てることはなかったのは、会社の研修担当の人から言われた言葉が胸に残っていたからです。「我々の仕事は飲食業ではない。変化対応業である」。これって、今のネット業界にも言えるし、どんな業界でも同じことが言えますよね。「変化にいかに対応するか」がビジネスで一番大切だと考えています。

失敗が教えてくれた自社の本当の強み。個人で食品をネット販売

自動販売機とネット業界ではかけ離れているジャンルだと思いますが、どういう経緯で起業したのでしょうか。

趣味でパソコンをはじめたのは1998年。インターネット創世記ですかね。事業責任者としてあちこちに転勤していまして、ちょうどその頃は岡山に赴任していました。
アフィリエイトの走りですね。2005年の岡山国体があったときに、きび団子や清水白桃をネットで売ってくれないかという話があって、趣味で売ってみたら結構売れたことをきっかけに、ネットショップやアフィリエイトをやれば、「生活していけるかもしれない」と思ったんです。食品を売る個人事業として09年に岡山でスタートしました。
提携先の食品会社は自分でみつけてきて直接交渉しまして、ドロップシッピング方式で販売しました。当初はネット販売もうまくいっていましたが、メーカーが直接販売したり、Amazonや楽天が参入したりして、段々成り立たなくなってきました。

ネットショップにもまた変化が訪れたというワケですね。次は何に挑戦されたんでしょうか。

iPhoneアプリですね。iPhone5や6の時代でアプリを開発したらうまくいくかもしれないと思ったんですが、開発費用は高額だし、作ったあとの保守も大変ですし、売れなかった場合まったく採算が合わないことから約1年半で撤退します。
それから売り上げがまったく立たなくて、結構大変な時期もあったんですよ。結局原点に返り、ホームページ制作で勝負することにしました。「税込29,800円でホームページ作ります」というチラシを自転車で近所に配ってはじめたのが、今につながっています。結果的にiPhoneアプリの失敗のおかげで、自社の本当の強みを再確認することができました。

顧客の真の目的を叶えるホームページを。「ビジネスモデルを作る会社」

事業内容について教えてください。

うちはホームページ制作ですが、実はHTMLとかCSSとかに関してはそんなに詳しくないんです。むしろ「ビジネスモデルを作る会社」だと思っています。
「ほかの制作会社はデザインの話しかしないけど、おたくは全然違うね」と言われます。それは「あなたの会社のこういう部分をネットでアピールすると、こういう売り上げが立ちますよ」という部分、つまり企業戦略的な部分に一番力を入れているからです。
デザインとは別に「成功報酬で検索上位に上げる」という依頼も引き受けています。現状で起きている現象に仮説を立てて、実験を繰り返していくと答えが出てきます。その繰り返しですね。

SEOは既に動画・画像が中心に

ChatGPTなどAIの活用が話題になっていますが、今後はどうなっていくとお考えでしょうか。

まずWebライターの仕事は確実になくなるでしょうね。すでにChatGPTがあれば、SEO(検索エンジン最適化)に強い文章は自動で作れています。SEOも、YouTubeやInstagramに移行しています。検索キーワードを入れた記事を書くよりも、サイトに動画を入れ込んだ方が確実に検索上位にきます。うちが担当したサイトで証明済みです。

「頼まれ仕事こそ強みである」、これさえ分かれば仕事は途切れない

生成AIの出現で、Web業界志望者には「入っても仕事がなくなってしまうのでは?」と不安に思っている人もいると思いますが、そんな人にアドバイスをお願いします。

「やりたい仕事」に固執するのではなく、むしろ「やらされている仕事」に注力するのが一番です。これまでの経験上、今やらされている仕事を、「なんでそれやらされているんだろう?」「なんでこんな仕事ばっかり来るのだろう?」と問いを持つ人が生き残っています。
やらされ仕事って、つまり「必要とされていて、同じことをできる人がいない」ってこと。だからその人に無理にでも頼んでくる訳です。
仕事を発注する側にしてみれば、「その人が何をやりたいのか?」なんて全然関心がないんですね。注文した通りに仕事をしてくれた人に、次も発注しますから。

今後の展望をお聞かせください。

今、一番売り出しているのはInstagramの運用代行です。ほんの4年前までは「Instagramなんかビジネスになるわけない」と否定してしたんですけど、徐々にInstagramに成果が出てきて、今では何千万する家が売れるようになりました。若い人はInstagram内で検索するようになっていますから。
今までの仕事はそのまま伸ばしていきながら、YouTubeのショート動画が、あと3年、5年先にはいいビジネスになっているかなと思っています。

取材日:2023年11月9日 ライター:みなもとひとし

株式会社みうら

  • 代表者名:三浦 和賢
  • 設立年月:2009年2月
  • 資本金:700万円
  • 事業内容:ホームページ制作、SEO、リスティング広告代行、Webコンサルティング
  • 所在地:〒700-0023 岡山市北区駅前町1-8-1 岡山新光ビル5F
  • URL:https://okhp.jp/
  • お問い合わせ先:086-243-5136

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