プロダクト2023.12.06

“こけし”で発信する「かわいい仙台」。「私でもできるかも」で独立、グッドデザイン賞も受賞

仙台
合同会社メリーメリークリスマスランド 代表
Tomoko Izumi
泉 友子

「かわいい仙台」をテーマに、こけしをモチーフとした雑貨などを制作、販売する仙台の合同会社メリーメリークリスマスランド。会社員として出版社で働いていた代表・泉 友子(いずみ ともこ)さんは、ふとしたきっかけで独立し、仙台周辺のまちの魅力を描いた創作こけし「旅こよみ」はグッドデザイン賞を受賞しました。雑貨クリエイターの肩書きも持つ泉さんに、これまでの事業の変遷や今後の展開についてお話を伺いました。

独立のきっかけは「私でもできるかも」。イラストレーターから、雑貨販売のイベントを手掛ける

編集者がキャリアのスタートだったそうですね?

学校を出たあと、仙台でタウン誌を発行する出版社がキャリアのスタートです。そこで、冊子ものなども制作していました。絵が必要になると、外注のイラストレーターさんに頼んでいたのですが、「私でもできるかもしれない」と思い、約4年間勤めた会社を辞めて、フリーのイラストレーターとして独立しました。
とはいえ、ほとんど実績もなかったので、まずは毎日絵を描きためていくことから始めて、絵がある程度たまったらギャラリーを借りて個展を開き、東京の出版社に営業をかけにいくことからスタートさせていきました。そのうちに、東京の出版社でポツポツ使っていただいたり、賞をいただいたりして、地元仙台の会社からも少しずつ仕事をいただけるようになりました。
その頃、仙台で実績ある先輩イラストレーターから声をかけられて、週1回先輩のアトリエに集まってみんなで朝まで絵を描いていましたね。当時は、まだインターネットも普及しておらず、イラストレーターたちの認知度も低かったので、協力して地位向上を図る「東北イラストレイターズクラブ」の立ち上げにも携わりました。

雑貨はいつ頃から手掛けられるようになったでしょうか?

当時、仙台にアートマーケットがなくて、アートを買うという文化がなかったんです。そこでアートをもっと身近に感じてもらいたいと思い、アート作品が描かれたオリジナル雑貨などをつくって、ギャラリーで販売するイベントを、1995年に数人で企画。ちょうどクリスマスの時期だったので、「メリーメリークリスマスランド」と名付けたのが始まりです。
非常に好評をいただき、2年目の開催が決まると「自分の作品も置いてほしい」というクリエイター・作家の方たちがことのほか増えて、規模も拡大しました。さらには、インターネットがまだ出始めの時期だったので、協力してくれるWebデザイナーがECサイトをつくってくれて、通販もやり始めました。
そうなると、3年目には、100人を超えるまでの規模となってしまいました。年々拡大していったイベントだったのですが、手弁当で、とても手に負いきれないということで、10年でこのイベントは止めることにしました。

ショップ運営をしながら、創作こけしで人気を博す。グッドデザイン賞受賞

イベントを止めた後はどのような活動をされていたのですか?

季節イベント「メリーメリークリスマスランド」が好評を博したこともあって、今度は「自分の作品を中心とした常設店舗を持ちたい」と元カラオケ店の一室で「メリーズセレクション」を開店したことが始まりです。
そのあと、メディアテーク裏の古い建物の1Fと2Fに移転し、隣の倉庫をギャラリーに改装して展開していきました。
震災で半壊し、晩翠通りに面したビルの1Fを拠点にレンタルスペース「メリラボ」を併設した「メリーメリークリスマスランド ディア」として、作品展、ワークショップなどで活用していただきました。地元のお客さまはもちろんですが、さまざまな旅行ガイド誌などにも取り上げていただき、「かわいいお土産ならメリメリにある」といった形で、22年にお店を閉めるまで、多くの観光客にも足を運んでいただきましたね。

その間、イラストレーターとしての活動も続けていたのですか?

そうですね。仙台市の動物園や天文台などとのコラボ案件などが出てきて、雑貨メーカーとしての仕事も増えましたが、イラストは描き続けています。
特に、仙台市の「伝統産業高付加価値化支援事業」の一環として創作こけしを手掛けたことが印象深いです。白石市弥治郎地区のこけし工人さんとコラボして、私が絵付け。仙台市内や仙南地域の四季折々の風景をモチーフにした創作こけし「旅こよみ」は非常に大きな反響をいただき、公益財団法人日本デザイン振興会主催のグッドデザイン賞も15年に受賞しました。
これがきっかけとなって、こけし関連の雑貨が人気になり、イベント出展などのお声がけも大変多くなりました。私自身、今でもイラストレーターとしての仕事を辞めたわけでもないので、イラストの依頼があれば受けてはいますが、やはり雑貨制作にかける比重が今は大きいですね。

こけし人気高まるも、コロナ禍で客激減。閉店後は「雑貨メーカー」の確立を狙う

法人化したのはいつ頃、どんな理由からですか?

合同会社として法人化したのは、店舗をやっていた09年です。コラボ案件が増え始めたことで、会社の方が、取引するうえで都合が良いということで、法人化しました。店舗をやっていたときは社員を雇っていた時期もありますし、イベントなどのお声がかかるとすぐに出ていってしまう性分なので、店舗をアルバイトたちに任せっぱなしになっていた時期もありました。ですが、お店も閉めた今は、まさに1人会社状態です。
今後、イベント出展のお手伝いなどで短期的に人を雇うこともあるかもしれませんが、会社規模を大きくすることはまったく考えていません。

お店を閉店されたのはどういった理由からでしょうか?

まずは、コロナ禍以前から時代が変わってきていると感じるようになってきて、物品よりも体験的な価値が上がってきていると感じていました。私自身も各地のイベントでこけしを始めとした雑貨づくりのワークショップに呼んでもらう機会が増えましたし、1日で200人以上の方がワークショップに参加されるケースなどが非常に増えました。そういった時代の流れを感じていたときにコロナ禍が来て、観光客もめっきり少なくなったことが理由の一つです。
一方で、私自身がオリジナル雑貨メーカーとして勝負したいという思いが強くなったこともあります。ショップの運営以上に「自分の作品をつくりたい」「雑貨メーカーとしてやっていきたい」という思いが強くなり、時間や労力を雑貨メーカー機能に集中させたいと思ったことも大きな理由です。

自動販売機でこけしグッズ販売。若者に伝えたい「やりたいと思ったらどんどんやって」

現在、どのようなところで作品を販売されているのですか?

個人のお客さま向けにECサイトでも販売していますが、基本は全国の雑貨店やデパートなどに卸しています。小口に関しては、卸専門のECサイトを利用しており、そこを通して、注文をいただいています。何度もリピート注文いただくケースも多いですね。

自動販売機で作品を販売されているそうですね

まだ店舗があったときにやり始めたものなのですが、観光地にかわいいお土産の自動販売機があったら面白いと思い、松島と遠刈田にオリジナル雑貨の自動販売機を設置しました。最大4,000円までのものが並べられるようになっているので、数百円のものから少し値が張るものまで多様な製品を置いて、いろいろと試しながらやっています。松島は政宗様モチーフのもの、遠刈田はこけし関連のものが売れていますね。

 

オリジナル雑貨の自動販売機

若いクリエイターの方に向けてメッセージをお願いします

今の時代、インターネットもありますから、SNSに1日1枚作品をアップしていくなど、やりたいと思ったらどんどんやっていくべきですね。一度バズれば、一気に広がりますし、仮に日本でダメでも世界は思っている以上に遠くないと思います。しかし、ネットの世界で完結せず、リアルでいろいろな人と会っていくことも非常に重要。運も必要ですが、リアルの世界でさまざまな方とつながっていくことが、本当の運をつかむことにつながるのではないでしょうか。あとは、やはり諦めずにやり続けることですね。

2023年9月19日 ライター:高橋徹

合同会社メリーメリークリスマスランド

  • 代表者名:泉 友子
  • 設立年月:2007年8月
  • 資本金:20万円
  • 事業内容:雑貨制作・販売事業
  • 所在地:〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町3-11-15 8F TAGE-Community内
  • URL:https://www.merimeri.biz/
  • お問い合わせ先:

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