WEB・モバイル2023.11.15

5足のスニーカーから始まった輸入販売会社。約2年間で、たった一人で年商1億円を達成した新進気鋭の若手起業家

大阪
合同会社Sourire 代表取締役社長
Kento Araki
荒木 健人

スニーカーを中心とした商品の輸入販売、ECサイト「nouvelle」の運営を行う合同会社Sourire。
スニーカーショップでのアルバイトで培った経験を生かし、現在は仕入れからネット販売、自社ECサイトの企画・制作まで、社長である荒木さんがすべてお一人で運営されています。
独立することになったきっかけから、たった一人で会社経営される苦労や工夫、そして持前のコミュニケーション力を生かしてスニーカー業界の若手社長として活躍し続けられる理由について、たっぷりとお話をお伺いしました。

スニーカーショップでのアルバイト経験が大きな糧に

立ち上げまでのキャリアを教えてください。

もともとバスケットボールの実業団チーム18歳からの約4年間、コーチをしながらコートの運営などをしていました。そこで、コート運営で独立をしようかなと考えていた時に、出資してくださるという方に出会ったので運営の仕事を辞めたんですが、その方がまさかの詐欺師でして(笑)。やむなく無職になってしまったので、たまたま求人募集していたスニーカーショップでアルバイトを始めました。

それがスニーカーとの最初の出会いだったんですね。

はい、インポートのスニーカーを扱うショップで、4年間ほど働きました。最終的に店長になったので、販売業務から仕入れ、EC運営まで運営に関する業務を幅広く経験することができたんです。この期間にノウハウをすべて学びました。

元々、独立願望はあったんですか?

若い頃からいろいろなバイトを経験したり、気になった場所にはたくさん出向くことが多かったので、会社経営をしている社長さんと知り合いになることが多かったんです。皆さんコミュニケーション力に長けていらっしゃるし、自分も影響を受けて、「いつか独立したい」とずっと思っていました。

仕入れ、販売、ECサイトの制作・運営まで一人でこなす敏腕若手社長

日本で売っていない海外限定のスニーカーモデルなどを中心に販売されているそうですが、仕入れや販売の仕方で工夫されていることを教えてください。

販売するサイトによって、それぞれ仕入れる商品を変えています。
Yahoo! の客層は主婦の方が多いので、今年の夏ですと流行していた厚底サンダルなどの定番商品のほか、機能性サンダルや女性向けの商品を中心に仕入れて販売しています。Amazonは年齢層が比較的高めで、こちらも定番商品を多く扱っています。
対して、自社のECサイトはInstagramをベースにしているので、流行をいち早く察知して、ファッションに敏感な世代に刺さるような商品を仕入れて掲載しています。日本では見たことがないようなデザインのスニーカーの広告が上がってきたら「ちょっと気になるな」と思って買ってもらえる傾向があります。
Yahoo! やAmazonでは、Instagramで流行ったものをわざとワンテンポ遅らせて販売するとちょうどよいタイミングで売れるので、それぞれで使い分けていますね。

マーケティングはどのようにされていますか?

よく雑誌を読みますね。雑誌で取り上げられている商品だと「来年売れるだろうな」と考えて、参考にリサーチをしています。ネット世代の方たちは、ネットで流行っていたり、「周りのみんなが履いているモデルだから自分もほしい」という方が多い印象なので、雑誌に掲載されているタイミングより、少し経ってから売れるイメージです。逆に言うと、流行を先取りし過ぎても一般の方にはあまり売れないんです。でもこの層が一番商品が売れる客層なので、常に意識しています。

ECサイトの運営もされているそうですが、サイト制作自体は依頼して作られたのでしょうか?

いえ、こちらは起業してから独学で作りました。YouTubeを見て勉強したり、制作会社でちょっとしたサイト制作や広告制作のお試しみたいなのを見つけたら、実際に頼んでみて、そこでいろいろと質問して教えてもらったノウハウを生かしたり、あらゆる方法で知識を身につけていきましたね。

商品の撮影や掲載の仕方で工夫されていることはありますか?また、実際に売上に影響はありましたか?

Instagramは20代をターゲットに、海外の写真をイメージして掲載しています。Yahoo! はとにかくわかりやすく、が大事です。最初はオシャレな雰囲気で出していたのですが全然売れなくて、商品名が入った写真をトップに出すなど、商品情報がわかりやすい掲載の仕方に変えたところ売れるようになりました。Amazonはサイトの仕組みに沿った掲載の仕方があって特に自由度高くできるわけではないので、自社とYahoo! 、Instagramを中心に試行錯誤してやっています。
独立した2022年に比べて、工夫を重ねた2023年の売上は約5倍になりました。

すべてお一人でこなされていますが、外部のクリエイターとの繋がりはあるのでしょうか?

クリエイターの方との繋がりはないんですよ。仲良くなって何か一緒にできる方がいらっしゃれば良いなと思っています。インスタグラマーで仲の良い方はいるので、Instagramについて教えてもらったり協力してもらっています。
毎月全国のいろいろな地域でポップアップストアを出店しているので、営業やお声がけをして人脈を増やしているところです。

10万円で5足だけ購入して起業。年商1億円に至るまでの道のり

今までで苦労したことや大変だったことはありましたか?

好きでやっていることなので、基本的にはあまり苦労と思ってやっていないんです。ただ、起業したての頃は特に資金繰りが大変でした。はじめは10万円で5足だけ購入して、そこから少しずつ売上金を増やして100万円に。その頃からNIKEを中心に取り扱うようになりました。
それでもお金を借りずにやっていくのは難しいと感じて、2023年の初旬に金融機関から300万円借り入れをしました。そこで、高額な仕入れをしてしまったんですよ。ちょうど税金の支払いも重なって、当時はかなりきつかったですね。
でもプライドもあるので、カッコ悪いことはしたくない。必死で乗り越えて、今では独立してから約2年間で、年商約1億円にすることができました。

そんなご経験を乗り越えられて、ご自身の中で「変わったな」と思う部分はありますか?

スニーカーショップの店長をしていた頃を思うと、雇われるって楽だなと感じますし、好奇心から起業をしたものの、社長業は甘くないと痛感しています。
ですが、思い切って挑戦したことで自分自身の考え方も変わりましたし、やって良かったと思っています。あとは、政治や世の中の流れに敏感になりました。元々はエンタメ系ばかりだったYouTubeの視聴履歴が、今はほとんど政治やニュースになっています(笑)。

持ち前のコミュニケーション力を発揮し、業界の社長から可愛がられる存在に

他社との差別化ポイントや、御社の強みはどこだとお考えですか?

スニーカー業界の社長はわりと年配の方ばかりなので、弊社のようにSNSを利用したり、TikTokやインスタグラマーを起用した宣伝をしたりしているところは差別化ポイントだと思います。

同業の経営者の方々と年齢層が違うことで苦労することはないですか?

いえ、逆に社長さん方には可愛がってもらっています。この業界は自社だけで販売している会社が少ないのでだいたい取引する業者がかぶっているんですが、仲良くさせてもらっている社長さんから仕入れ先を紹介してもらったりと、とてもお世話になっています。

たくさんの方と知り合いになれても、そこで途切れしまう方も多いのではないかと思いますが、長く関係を続けていくために努力されていることはありますか?

毎週電話をしてコミュケーションを取らせていただくようにしています。同じ業界でやっていくには、そこのルールみたいなものはどの業界にもあるものだと思いますし、自分もまだまだ始めたばかりなので、周りと上手くやっていく力も大事だなと感じています。

周りの人々に支えられ、社長になったからこそ感じられた“感謝の思い”

今後はどのような会社にしていきたいですか?将来のビジョンがあれば教えてください。

元々は店舗も持ちたいと思っていましたが、コロナ禍でネット販売が盛んになったので、このままネット中心でやっていこうと思っています。
加えて今後は、元々関わっていたバスケット関係の事業や配送業など、スニーカー事業以外にも広げていきたいです。
会社立ち上げ当初は不安もたくさんありましたけど、同時にすごくワクワクしたんです。その感覚をもう一度味わいたいですね。
とはいえ、当時は結婚したばかりだったので義両親にも心配をかけましたし、妻からもはじめは「副業にしておけば?」と言われていましたが、突っ走ってきた僕を応援してついてきてくれました。今では、会社のことをも手伝ってくれる心強い味方です。

一番近くで応援してくださった奥さまの存在はとても大きいですね。

はい。妻を始め、家族や友人、同業界の社長さんたちなど、たくさんの方々に支えられてやってこられました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

今後事業拡大をして、従業員を雇われるようになった際は、どのような方と一緒に働きたいですか?

人間くさい人といいますか、人との繋がりを大事にできる方がいいですね。あとは、アイデアをたくさん出し合えて、本当にモノ作りが好きな方とご一緒できると嬉しいです。

最後にメッセージあればどうぞ。

自分が会社の社長になって実際に経験した大変さもわかっているので、人には簡単に「起業しろ」とは言えません。でも、挑戦することはすごく大事ですし、私はやって良かったなと心から思っています。もし今挑戦したいことを持っていらっしゃる方は、思い切ってチャレンジしてみてください。

取材日:2023年10月2日 ライター:大野 由加里

合同会社Sourire

  • 代表者名:荒木 健人
  • 設立年月:2023年3月
  • 資本金:50万円
  • 事業内容:スニーカー・アパレル商品の輸入販売、ECサイト「nouvelle」の企画・制作・運営
  • 所在地:〒561-0817 大阪府豊中市浜1-8-18 神吉マンション227号室
  • URL:https://nouvelle22.com/
  • お問い合わせ先:050-5897-6655

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