職種その他2023.10.04

「保育×クリエイティブ×地域」で子どもやまちの未来を創造。ダンスや音楽で“自分らしさ”育む

仙台
トータルアート株式会社 代表取締役
Shinichi Hirama
平間 真一

(※メイン写真は左から、「小田原ことりのゆめ保育園」園長の平間 順也さん、代表取締役の平間 真一さん、園内ダンス指導者の平間 文朗さん)

「小田原ことりのゆめ保育園」「小田原ことりのゆめ保育園分園」「小田原ことりのうたこども園」の三つの施設を運営する仙台のトータルアート株式会社。保育事業のほか、音楽やバレエといったアートクリエイティブに力を入れるなど、子どもたちの自由な感性を伸ばす保育を行っています。子どもたちと地域住民、職員が一緒に楽しめる音楽祭を年に一度行うなど、地域貢献にも力を入れている代表取締役の平間 真一(ひらま しんいち)さん、「小田原ことりのゆめ保育園」園長の平間 順也(ひらま じゅんや)さん、園内ダンス指導者の平間 文朗(ひらま ふみろう)さんに、具体的な取り組み、目指していることなどを伺いました。

保育士の資格とギターの技術生かし会社を設立

会社設立の経緯を教えてください。

真一代表:「小田原ことりのゆめ保育園」があるこの場所は、もともとクラシックバレエ教室と保育園の前身になる仙台保育室を運営していました。娘が保育士とバレエをやっていたので、家族でできることをしたいと考え、2006年に会社を立ち上げて無認可の保育園を始めました。そのあと、15年から認可保育園に移行しています。

地域交流イベント事業を始めたのは、いつどんなきっかけがあったのでしょうか。

真一代表:「小田原ことりのゆめ保育園」は、企業主導型保育事業で認可外保育施設ですが、認可施設と同程度の国の助成を受けています。そのなかで地域の子どもを受け入れて待機児童の解消に貢献すること、地域交流にも取り組むことが推奨されています。
そういった理由から、4階建ての建物のうち1階から3階は保育園で、4階を地域に開かれた交流の場にしています。具体的には、近所のご年配の方に歌を歌ってもらって、私たちが楽器で伴奏をしています。私がギターを演奏していた経験を生かしました。
ほかにも、コロナ禍以降はあまりできていませんが、親子で参加できるバレトン教室やコンテンポラリーダンスのイベントを開催しています。

親子バレトン教室、音楽祭、ダンスのワークショップなどを開催。「自分らしく伸び伸び表現してもらえたら」

バレトン教室とは。またコンテンポラリーダンスとは、どのようなものでしょうか。

文朗さん:バレトンはバレエを採り入れたトレーニングで、バレエのような身体の使い方を学ぶエクササイズです。身体面と精神面の両面で、自分で歩けるようになったくらいの年齢のお子さんが親子で楽しめる教室です。レッスンが終わったあとは、みんなでお茶を飲みながら子育ての悩みを話し合うなどもしており、そういうお話の場を楽しみに参加される方が多かったと思います。
またコンテンポラリーダンスは、こちらで動きを決めて、子どもたちが見て真似して同じ動きを1年間行います。何かを学んでほしいといった難しいことは考えていません。型にはめるようなアドバイスはしないで、子どもたちが自分らしく伸び伸び表現してもらえたらと思っています。参加する子どもたちは書道や英語教室いったカルチャー教室の一つとしてダンスもしますが、元気いっぱいで楽しんでいます。

そのほかに、地域交流事業として、どのようなことを行っていますか。

真一代表:年に1回、「ことり音楽祭」という音楽会を地域の公共施設のホールで行っています。園内行事の発表会が毎年3月にあるのですが、その音楽や芸術の部分だけを抜き出してやっているのが特徴です。コロナ禍は中止にしていましたが今年で7回目になります。
第一部は保育園の子どもたちが主役で、いろいろな楽器を使って合奏したり、プロの方や保護者、保育者と一緒に歌ったりします。英語の曲も歌いますよ。たとえば、2歳児が踊るのは「となりのトトロ」で、先生たちの練習を見て子どもたちはあっという間に踊れるようになりました。子どもたちが自分で好きな衣装や踊りたい曲を選びました。
第二部ではコンテンポラリーダンスやバレエの披露、ギター演奏、フォークダンスも披露します。音楽会については知り合いや民生委員に声をかけたり、ホームページでもお知らせしたりしています。
文朗さん:また、第一線で活躍されている東京の指導者を招いてダンスを体験するワークショップが大好評でした。今では、私が一年間新潟県でダンスの修業をして、引き継いでいます。紆余曲折ありながらですが、試行錯誤しています。

回を重ねる中で変化、進化した部分はありますか。また、地域や保護者の反響、反応はいかがですか。

順也園長:コロナ禍で出来なかったことも影響しているかもしれませんが、去年の音楽祭はより一層盛り上がり、ステージも客席も一体になって応援しているのを肌で感じました。大きなイベントを経験したことで、職員も子どもたちのサポートなど、イベントに取り組むスキルが向上したと思います。

傍らにあるアートをつくり育てていくこと。クリエイティブを通じて地域貢献

クリエイティブとはどのような存在でしょうか。

真一代表:そんなだいそれたことは特に考えていません。趣味でもないですし、特別な目的があるわけでもありません。“常に近くに存在しているもの”でしょうか。
私の場合は音楽ですが、結果的に聴いていただいた方に喜んでもらえたらうれしいです。子どもたちに何かを感じてもらえたらうれしいですが、私たちが押し付けることはしませんね。
順也園長:自分もサックスを吹くようになり、自分で表現をつくるという部分が楽しいと思います。子どもたちが音楽やダンスを通じてうれしそうな表情をして積極的になっていく姿を見るのも楽しいです。卒園した子どもたちが大人になって保育園で経験した楽器演奏やダンスを楽しんでいるという話を聞くと、受け継がれている、つながっていると感じます。最近、保育園に保育士の体験に来た卒園児がいて、保育園で経験したことが受け継がれているとうれしくなりました。

これから会社として取り組みたいことを教えてください。

真一代表:発表されたばかりですが、仙台市が、子育て支援の充実に向けて新しい外郭団体である一般財団法人「仙台こども財団」を設立することが決まりました。どんな文化活動を採り入れていくかは分かりませんが、何か私たちが協力できるようなことがあればと思っています。

アート(クリエイティブ)を採り入れた教育、保育、地域交流を行っているなかで感じているクリエイティブについて教えてください。

文朗さん:私たちが取り組んでいることは当初からあまり変わりませんが、震災やコロナ禍など社会状況が変化して、行政面でも制度が変わるといったことがあり、それに対応していくことで精一杯だった部分があります。
しかし、園児や保護者、職員が増えて、さまざまな意見を採り入れ対応するなかで、厚みが増していきました。コロナ禍では子どもたちの体験が少ないとも言われましたが、身体を使った表現を続けて、実際の舞台を経験してもらえて良かったと思います。それを経験した子どもたちが大人になって社会にどんな影響を与えていくかといったことはまだ分からないですが、これからもできることを模索しながら地域貢献と保育事業を継続していきたいと思います。

左から、「小田原ことりのゆめ保育園」園長の平間 順也さん、代表取締役の平間 真一さん、園内ダンス指導者の平間 文朗さん

取材日:2023年9月6日 ライター:佐藤由紀子

トータルアート株式会社

  • 代表者名:平間 真一
  • 設立年月:2006年5月
  • 事業内容:保育事業、地域交流イベント事業
  • 所在地:〒983-0803 宮城県仙台市宮城野区小田原2-1-32
  • URL:http://www.totalart.info/
  • お問い合わせ先:TEL 022-292-3482 / FAX 022-292-3483

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