WEB・モバイル2023.02.15

女性用ランジェリーで競合他社を圧巻!楽天サイトで検索上位にヒットする人気商品が生まれるまで

大阪
株式会社ドゥモア 代表取締役
Masayuki Fukunaga
福永 政幸

女性用ランジェリーをはじめとするインナーウェアを販売している、大阪の株式会社ドゥモア。従業員は少数精鋭、全員女性という環境で、セクシー系からスポーツブラまで、自社でデザインした商品を中心に取り扱っています。代表の福永 政幸(ふくなが まさゆき)さんは、前職でソフトウエアエンジニアや営業職を経験し、自営業に奮闘する父の後ろ姿を追いかけるように、同社を立ち上げました。設立から約25年、楽天をはじめとするオンライン販売のみで、好調な売り上げをキープしています。「売り上げが月5万しかなかった」という当初から現在にいたるまでの成功の秘訣、そして求められる人材について、福永さんからたっぷりお話をお伺いしました。

繊維業界に目を付け、小学生の頃からの目標だった「起業」を実現へ

会社を立ち上げられるまでのキャリアを教えてください。

元々はコンピューターの専門学校を出てからエンジニアの仕事をしていました。それからカナダへ留学して帰国後、20代後半で英語を生かしたコンピューターソフトウェア会社の営業職に就きました。
でも「結局は自分のやりたいことをしないと長続きしないぞ」と考えたんですよね。そこで思い出したのが、幼少の頃にずっと見ていた父の姿でした。祖父の代から自営業をしていたので、自分も小学生の頃から「将来は起業がしたい」という思いを持っていたんです。

そこから今の会社の基盤となる繊維業界に足を踏み入れられたそうですが、具体的なきっかけは?

まずはとっかかりやすい繊維関係の仕事が良いと思ったんです。その当時、靴下の3枚セットが1000円ぐらいでいろいろな雑貨屋や靴下屋で販売されていました。でもだんだん需要がなくなって売れなくなっていたんですね。
じゃあ下着はどうかと目を付けました。特に、男性用に比べて業界のパイが大きい女性用は伸びそうだなと思いました。当時僕はワコールやTriumph(トリンプ)といった大手メーカーしか知らなかったんですけど、一流企業なのでなかなか入社が難しそうだし……と思いながら求人雑誌を見ていたら、ショーツやキャミソールの専業メーカーなどがあることを知りました。そこでまずはショーツの専業メーカーで営業職として働くようになりました。

「繊維業界がとっかかりやすい」というのはどういうことなのでしょうか?

まずは原価が安いということ。それから一般のお客さんや販売店舗の方が知らないメーカーってたくさんあるんですよ。僕がワコールやTriumphしか知らなかったように。その下着を自分が卸売することで皆に知られていないものを提案できるんですよね。
あと僕自身の場合は、営業担当として約70~80件の取引先を担当していたのですが、そこでたくさんの同業の方々とのつながりができました。
いろいろな方のお話を聞いているうちに「自分でも起業できるかも」という確信に変わっていき、32歳のときに勤めていたショーツの専業メーカーを辞めて起業。ちょうど同じ頃に現在の妻と結婚しました。

ユニクロ大繁盛時代に卸売で苦戦……。思い切った方向転換が今の基盤に

新しい家族もできたタイミングで起業されたとのことですが、第一歩は厳しいスタートだったとお聞きしました。

最初は卸売から始めたんですけど、会社を辞めて看板がなくなった途端売ることが難しくなって、はじめの1カ月は売り上げが5万円しかありませんでした。下着のほかにパジャマを売ったりもしたんですが、靴下と同様に原価より安売りしないと売れない状態になっていました。

そんな中、下着だけはしっかりとした需要があったそうですが?

はい、下着に目をつけたところは間違ってはいませんでした。コツコツ信頼を得て営業をする中で、売り上げも少しずつ良くなっていきました。ですが、卸はそもそも利益率が低いので、経営はいつまで経っても厳しい状態だったんです。
「卸だけではだめだ」と考えた42、43歳ぐらいの頃、ユニクロさんが大繁盛していました。ユニクロさんって、中国などの海外で製造されて、仲買を通さず直接自社で販売するシステムだったんですよね。それを考えると、卸だけの業態をやめて店舗を出すか、自らメーカーになるか、その二択しかないなと思いました。

新しい形態に変化していくのはメリットがある反面、デメリットもありますよね?

そうですね。卸だと利益率が約2割前後ですが、メーカーになれば約4割、店舗をやれば約5割になります。ただ作るのはリスクがありますし、店舗をやるとしても場所を借りるには大きな経費がかかりますよね。
どちらも難しいのかなと悩んだときに、ネットを思い出したんです。それが今にいたる販売のやり方の始まりです。

「どうしたら売れるのか」。ユーザー目線で女性社員が試行錯誤

現在、実店舗を持たずオンラインのみで自社商品を販売されていますが、最初からうまくいきましたか?

はじめは自社ドメインを取って販売していました。でも、やり方がわかっていなくてまったくダメでした。
まずそもそも僕自身は40代男性で、売るものは若い女性ものですよね。これではいけない!と思って、商品のことがわかる女性を会社に入れることにしました。

新しい人材を取り入れてみてどうでしたか?

辞めていく人ももちろんいらっしゃいましたが、入れ替わりのたびにどんどん良い人材が集まってくれるようになって、最終的には好奇心が旺盛で販売することにとても興味を持ったメンバーが残ってくれましたね。
前職がどうだったかは関係なくて、「どうしたら売れるのか」というのを楽しんで考え、積極的に取り組める方たちですね。そのおかげで今があると思っています。

銭湯で見た「ボロボロの下着」でひらめいた。まとめ買いしてもらう工夫を

自社でデザイン制作し、販売しておられる商品について教えてください。

女性社員から聞いたのですが、銭湯に行ったときにボロボロの下着をつけている人を多く見かけるそうなんですね。そう考えたときに、若い世代よりはある程度下着にお金をかけられる30代以上の世代をターゲット層にしました。
また、下着を2~3枚まとめ買いしてもらえると一番利益率が高いので、1枚の単価は比較的安価な商品を取り扱うことにしました。

セクシー系の下着も多く販売されていらっしゃいますよね。

子ども用の水着を見たときに、発想の転換で、そのまま生地面積の少ない大人用の水着を作ったらどうかと思いついたんです。使用する生地も少ないので安く作れますし、競合がほとんどいないので値段を自由に付けられます。ただし海外の工場の方と試行錯誤を何度も繰り返し、クオリティは完璧を目指して製造していただきました。
一般のお客様のほかに、グラビアアイドルの方や風俗店、あとは美容外科さんに購入いただくことが多いです。豊胸手術のビフォーアフターの写真撮影にちょうど良いのだそうです。
あと、こちらはメーカー品の卸売なんですが、ノンワイヤーのスポーツブラが年代を問わず最も売れています。利益はあまり出ないのですがYouTuberにも当社の商品として紹介されるなど大変人気が高いので販売するようにしていて、その分ほかで利益を出すような仕組みを作っています。

検索エンジンを理解し、自社商品を上位へ。ポイントは「真似」すること

現在の社員さんの人数や業務体制について教えてください。

僕を含めて社員が6名で、アルバイトが8名。社員のうち3名がデザイナー、2名が販売企画の担当です。アルバイトさんには、主に出荷と受注を担当してもらっています。

楽天、Yahoo、Qoo10、自社サイトで販売されていらっしゃいますが、宣伝広報はどのようにされていらっしゃるのでしょうか?

宣伝はほとんどしません。一番売り上げがあるのが楽天サイトなんですけど、PVを上げるために広告を出したりすることもできるんですが、費用がかなりかかります。
そこに頼って利益を注ぎ込むよりも、各サイトの検索エンジンのアルゴリズムを研究して、自社商品が上位にあがってくるように工夫して、より多くのお客様に見てもらえる方法を自分たちで考えることにしました。
検索エンジンに上位表示されれば特別宣伝にお金をかけなくても売れるので、そこが一番大事なところ。上手くいっている他社サイトを研究して、真似から入って、試行錯誤しています。

商品デザインも企画販売もすべて内製化。少数精鋭の強みとは?

たとえばどんな工夫をされていらっしゃるのですか?

レビューをよく見て参考にしたり、画像をパッと見てクリックしたくなるようなサムネイル作りを意識しています。写真撮影や加工、掲載の仕方もすべて内製化して行っています。
社員も僕以外はみんな女性なので、女性目線で商品をどう撮れば魅力的に見えるのか、モデルさんにはどんな風に指示してポーズを取ってもらえればイメージが湧きやすい写真になるだろうかなどを事前にミーティングして、撮影は女性メンバーだけで行います。

少数精鋭で内製化しているからこそ、意思伝達がうまくいっているのかなという印象ですが、いかがでしょうか?

部署に人がたくさんいるとどうしても個性のない集まりになってしまう側面もあると思いますが、少人数なので一人ひとり個性を出してやってもらえているのかなと思います。
弊社はリモートワークを取り入れていなくて、商品の実物を見ながら意見交換するために基本的には対面で話し合う機会を持つようにしています。

売り上げ好調!経営が右肩上がりをキープする秘訣とは

さまざまな試行錯誤や工夫を繰り返してきたことで、売り上げ好調が続いているそうですね!

楽天サイトに参入してから約半年で撤退する店が7割ほどあるのですが、弊社の商品の一つが下着のカテゴリーで、2年連続で年間楽天ベスト30に入ることができました。先ほどお話しましたように、競合他社のサイトを研究して検索エンジンの上位にあがるように工夫して、さらにどこよりも値段を下げて他社に圧倒してきました(笑)。
その代わりに複数枚買ってもらえるようにすることで、利益を確保しています。どのネットショップも、とにかく柱の商品をひとつ作らないと売れないんですよね。弊社の場合は先程お話したノンワイヤーのスポーツブラ。その商品に巡り合えて思い切って販売したというところが、成功の一番のポイントかなと思いますね。

最後に求められる人材について教えていただけますか?

やっぱり個性を発揮できる方ですね。人材を募集するときは、会社に新しい流れを入れたいときです。新人さんで経験が浅くても、個性が豊かであったり知識が豊富であったり、とにかくやる気があれば育てていきたいという思いがあります。
インハウスでやっているので、“売るためのデザイン”ができる方と一緒に、今後もチームとして会社目標に向かっていけたらと思っています。

取材日:2022年12月8日 ライター:大野 由加里

株式会社ドゥモア

  • 代表者名:福永 政幸
  • 設立年月:自営業起業1996年9月1日 法人起業2019年9月26日
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:女性用下着・水着の通信販売
  • 所在地:〒557-0021 大阪府大阪市西成区北開2-3-3(本社)
  • URL:https://www.rakuten.ne.jp/gold/bargain-style/
  • お問い合わせ先:06-4392-8111

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