できない理由を探すのではなく、問題と真剣に向き合って突破していく

札幌
合同会社 north22LLC
Yuji Murahata
村端 優治

印刷、Web、SNS、映像、モーショングラフィックスなど、複数の媒体をワンストップで制作しているデザイン会社「合同会社north22LLC」。加えて、得意のデータ解析で集客サポートも行う代表の村端優治(むらはた ゆうじ)さんに、会社設立までの経歴と仕事への取り組み、今後の展望を聞きました。

奇抜なアイデアで企画・販売実績を重ねていく

埼玉県のWeb制作会社に勤務されていた際の仕事内容について教えてください。

高校卒業後に、東京の大手メーカーの子会社に就職し、数年働いて登用試験を受けて準社員になりました。その頃ちょうどWindows98が出て、PCが一人に一台支給されたのですが、最初はまったく動かせなくて…。まさに指1本からのスタートでした(笑)。
自分でパソコンを購入したのは、Windows2000が出てからです。初めて触れたインターネットがとても面白くて。
「受発注サイトを立ち上げる」という企画を思いつき、あるビジネスマッチング系のサイトにのせたところ、男性向けビジネス雑誌に取り上げられ、全国の会社から問い合わせが来ました。当時は受発注サイトがまだマイナーな存在だったことから、企画の奇抜さや斬新さが評価されたんですね。
声を掛けていただいた会社のなかでも、自宅から近い埼玉県の会社の方に実際に会ったところ「うちに来て一緒にやってみないか」というお話をいただきました。自分自身もWeb制作に興味を抱いていたので、まったくの未経験ながら転職を決意しました。結局、受発注サイトは形にはなりませんでしたが、会社からはWebで紹介できる面白い企画をどんどん出してほしいと言われ、さまざまなアイデア出しから取材、ディレクションまで幅広く行いました。

2011年の独立後は、どのようなお仕事をされたのですか?

実は、2009年から会社の名前を借りて先行する形で事業を始めていたのですが、2011年に開業届けを出し、「POP-KM」という屋号で、 “BTOパソコン”(Build To Order:受注生産)のネット販売を始めました。
ちょうどDVDドライブが出始めた頃で、当時は非常に高価なものでしたが、中古パソコンにDVDやスーパーマルチドライブを搭載させ、4万円台で売り出したところ、飛ぶように売れました。仕入れ資金に関しては、元いた埼玉の会社がバックアップしてくれたので、随分助けられましたね。

2014年に北海道へUターンされたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

実は開業したばかりの頃に大病を患い、余命2日と宣告されたことがあるんです…。そのときは何とか生き延びたのですが、そこから約2年の入院生活を送りました。入院中は時間がありましたので、登場したばかりのスカイプを使って、病室から友人にパソコンの組み立てや発送をお願いしていました。いわゆるテレワークの走りですね(笑)。
その後、体調が快復し退院できました。ただ兄弟から埼玉と北海道、しかも道東は遠過ぎて、もしも死んでもすぐに行けないと言われて。それで、2014年に故郷へ戻ることを決め、会社を札幌へ移しました。

とことん追求する性格で、初心者から知識豊富なプロへ

現在の具体的な仕事内容を教えてください。

印刷やWebデザイン、Web制作、動画や看板の制作などを行っています。さらに、Googleアナリティクスを活用した詳細なアクセスデータ解析による集客支援、IT導入相談なども行っています。

印刷に関する知識・技術はどのように習得したのでしょうか。

Uターンした頃はすでに、世の中でDVDドライブ搭載のパソコンが当たり前になり、売り上げも下降傾向にありました。そこでWeb制作に取り組んだのですが、Webに関する認識が周囲と異なったのか、うまく仕事に繋がりませんでした。そんな時、妻に「制作にこだわらず、パソコンに関わる仕事を探してみたら?」と言われ、Web制作で役に立ったデザイナーのスキルなら、Webだけでなく印刷にも使えそうだと考え、地元のデザイン事務所に就職しました。
それまでWindows一筋だったのが、いきなりMacを使うことになったため、最初は「アドビのイラストレーター、なんじゃそりゃ?」って感じでしたね(笑)。でも、覚えなくては仕事になりませんから、2016年に札幌に拠点を移すまでの約2年間は、実務経験に加え自宅で毎日8時間勉強し、食事と睡眠時間以外はすべてパソコン作業に割いていました。

知識は、ほぼ独学で身に付けられたんですね。

そうですね。日々の勉強によって、絵が描けなくともAdobe Illustratorでオブジェクトを作ることができれば、図形やイラストになると気付いたんです。そうやって分かるようになると楽しくて。
とことん突き詰める性格なので、Adobe Illustratorの次はAdobe Photoshopも習得しました。1つずつゲームをクリアしていく感覚でしたね。楽しんでストイックに取り組んだ結果、今では当時の同僚たちよりもいいものを作れるという自信があります。

使えるツールが増え、仕事の幅も広がっていったと。

仕事内容は多岐に渡っているように見えますが、実は印刷とWebで使用するパーツ類はどれもAdobe Illustratorでできますし、動画に使っているオブジェクトもAdobe Illustratorなんです。
AdobeのPremier Pro(プレミアプロ)とAfter Effects(アフターエフェクト)は動画制作に使うのですが、他のAdobeソフトの知識があったので、ほぼ勉強せずに使うことができました。試しに動画を作ってみたところ簡単にできたので、Adobeのソフトの基礎を身に付けていれば、他にも使えるソフトがたくさんあるのだと分かりました。そこから、持っているソフトをうまく活用することで、いろんな仕事へと繋がっていったんです。

持ち前のフットワークの軽さで次々と顧客を獲得

御社の主なクライアントをお聞かせ願えますか?

札幌市内を中心に数カ所の病院を運営している医療法人と、警備保障会社に加え、2022年からは介護施設運営会社と民泊運営会社が主要取引先です。
その他に飲食店や個人のお客さまもいらっしゃいますし、最近は、建築関連の会社数社のパソコンサポートも行っています。
札幌に移転する以前からいろいろな場所で異業種交流会に参加していたこともあり、道内各地の知り合いからご相談やご紹介をたくさんいただきますね。また2021年には札幌商工会議所に加盟し、、そこで知り合った経営者の方からのご依頼も少しずつ増えています。

御社の強み、セールスポイントについて教えてください。

印刷、Web制作、パソコンサポートを、外注せずに低価格で実現しているのが強みですね。
さらに、Googleアナリティクスでのアクセス解析を得意としており、ホームページのアクセスデータから、誰がいつ、どういうキーワードで流入しているのか、求めているニーズは何かを解析し、今後の広告戦略や販売戦略についてのアドバイスをします。
作業は一人で行いますが、解析に必要な調査は妻に任せています。彼女はリサーチ力が高く、こちらが望んだ以上のものを返してくれますので、仕事上でも欠かせないパートナーです。

正確な分析が顧客獲得に繋がっているんですね。

それもありますが、私たちがクライアントに一番驚かれるのは、フットワークの軽さですかね(笑)。
私自身、人に会うのが好きですし、相手の顔を見て仕事をしたいので、どこにでもすぐに行きます。パソコンサポートについては、もちろんオンラインでの遠隔操作もできますが、お客さまが不安やパニックになっていることが多いので、やはり直接行って対応すると喜ばれます。対面サポートから新たにお客さまをご紹介いただくことも多いですね。

突破方法を考え、動くことが結果に繋がる

コロナ禍においての取り組みについてお聞かせください。

新型コロナウイルス蔓延以降によく言われているのが、消費意欲の低迷です。しかし、飲食店でお酒の販売が解禁になると一気に満席になる状況を見ていると、行きたいけれど行けないというブレーキがかかっているだけで、潜在的なニーズはあるのだと分かります。
この場合のブレーキは“密になること”で、それがクリアになれば、顧客はいるんです。そのいい例がキッチンカーの増加ですよね。
ですから私たちは現在、来たるべきコロナ収束後に費用対効果の高い戦略を提案するために、さまざまな分野における人々の意識や消費、動向について、なぜその結果に至ったのかという理由や根拠を得るための追跡調査をしています。
コロナが完全に収束しなくても、ある程度落ち着けば現状を突破するチャンスはあるはずなので、今はその準備期間ですね。

コロナ収束後に向けた具体的な準備はありますか。

2022年8月8日、合同会社 north22LLCとして法人化しました。全くの偶然なんですが、法人番号が振り当てられたのも弊社に縁の深い22日です。以前から「絶対に法人化します」と宣言していた事もあって、クライアント様から驚きの声は全くありませんでした。チョッと残念でしたけどね(笑)。

一緒に働くスタッフに求めることは何ですか。

できない理由を探すのではなく、どうしたら突破できるかを考える姿勢があるといいですね。例えば、副業が禁止だからやりたいことを諦めるというのではなく、趣味でもいいからやってみれば、新しい道が開けることもあります。自分に言い訳をせずに、まずは取り組んでみてほしいと思います。

今後の人材に求めることやメッセージをお願いします。

周囲の意見よりも、自分が何をやりたいのかが一番重要です。それがはっきり見えているのなら、とりあえず始めてみることですね。何かに取り組めば問題は必ず発生するものですから、そのときはきちんと向き合って一つ一つ解決していけばいいんです。考えるよりもまずは動く。私もそうでしたが、“問題が起きたら動きながら軌道修正していこう”という気持ちで取り組んだ結果、いろんなことができるということを体験していますので、それを若い人たちにも知ってほしいですね。

 ライター:八幡 智子

合同会社 north22LLC(ノースツーツー)

  • 代表者名:村端 優治
  • 設立年月:2022年8月
  • 事業内容:印刷デザイン、Webデザイン、映像制作、キャラクターアニメーション制作、モーショングラフィックス、ITサポートとコンサルティング
  • 電話番号:080-7026-7284
  • FAX:011-838-8639
  • 所在地:〒002-0853 北海道札幌市北区屯田3条2丁目1-17
  • URL:https://design-north22.com/
  • MAIL:
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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