WEB・モバイル2022.09.14

“龍の代弁者”目指し、 ITの世界を拓く 複雑骨折に内定取り消し…求人雑誌で見つけた「SE」という道

名古屋
株式会社DRAGON AGENCY 代表取締役
Masashi Iida
飯田 真資

「パソコンで仕事をするSEなら歩けなくてもできる」。国家公務員として働く予定だった飯田真資(いいだ まさし)さんは今や、アプリ、クラウドサービスなどのソフトウェア開発、ITコンサルティングを行う「株式会社DRAGON AGENCY(ドラゴンエージェンシー)」の代表になりました。ITの力で企業が抱える課題を次々と解決しており、「世界」を牽引するべく、さらに躍進しています。そんな飯田さんはなぜ、IT業界を選び、起業したのか。苦境をどのように乗り越えてきたのか?お話を伺いました。

入社前に複雑骨折で内定取り消し “歩けなくてもできる”SEが暗雲の光に

SEになられたきっかけを教えていただけますか?

東京の大学を卒業して中央省庁への入庁が決まっていたのですが、事故により腰に相当なダメージを負ってしまって……。医師からは「もう歩けないかもしれません」と告げられ、内定も取り消しになったんです。
その後に、求人雑誌で未経験可のSE職を見つけ、パソコンで仕事をするSEなら歩けなくてもできると思い、応募したのがきっかけです。

開発責任者に抜擢されるも辞職を決意 「未来のビジョンに乖離が生まれ…」

いきなりすごいお話ですね。起業までのキャリアも教えていただけますか?

怪我の方は難しい手術が成功し、幸運なことに普通に歩けるようになり、そのまま6年ほど派遣SEとして実績を積みました。その後、開発責任者に抜擢され業務をこなすようになりましたが、だんだんと自分たちで意思決定しながら事業を選択したいという欲が強くなり、そのタイミングで仲間と共にスピンアウトという形で起業しました。
起業した会社では尊敬する先輩が代表を務められ、私は副社長的なポジションで組織はどんどん拡大していきました。3年で社員100名を超える規模に急成長したのですが、急成長の最中、自身の考える未来のビジョンへの拘りが強くなり、会社を去ることにしました。最初の会社、仲間と共に起業した会社、いずれも礎となる素晴らしい経験をさせてもらいました。心から感謝しています。
そのような経緯で、2010年にドラゴンエージェンシーを立ち上げました。36歳の頃です。

起業後は順調に成長していった感じでしょうか?

前職で大きく稼いでいたので起業時には充分な資金があると思っていたのですが、1年を待たずにほとんどを使い切ってしまいました。仕事がないのに雇用してしまったのが原因の一つです。
しかし徐々にアプリ開発の仕事がいただけるようになり、紹介や口コミで案件がどんどん増えていきました。それに伴って社員も少しずつ増やしていくようになりました。

孫正義の言葉、母の涙に一念発起 「100億円企業なら自分でも…」

ピンチはどのように乗り越えられたのでしょうか?

設立4年目に大きな金銭トラブルが発生し、大変な状況になりました。金銭トラブルは私自身の管理不足に原因があると思い悩み、経営者としての自信を失いました。その苦しい状況を母にだけ打ち明けたのですが、その時、高齢の母がはらはらと涙を流しながら「そんなに辛いならもう頑張らなくていい。私たちが屋台を引いてもいいから、辞めなさい」と話している姿を見た時、「自分はなんてことをしてるんだ!」と稲妻が走ったような感覚になり、やるしかないと腹をくくることができたんです。
また同じ頃、孫正義さんの著書に出会い「地球の反対側の小さな女の子を微笑ませることができればそれに勝る幸せはない。」という言葉に、いたく感動しました。孫さんは当時1兆円企業を作り上げていたので、その100分の1、100億円企業なら自分でもできるんじゃないかと目標が生まれました。

IT業界の道しるべつくる“龍”目指し 挑戦続け、幅広く技術を習得

社名「ドラゴンエージェンシー」の由来を教えてください。

龍には“道を示す”存在だという言い伝えがあるのですが、ITの世界において人々に道を示す龍の代弁者になりたいと考えて名付けました。
干支の中で龍だけが架空の存在ですが、本当は実在しており、あまりに力が強すぎるため、人間からは見えなくされて、天と地上の間で道を示す存在となっているという説があります。だから世界中で龍にまつわる伝説や地名、言葉などが残っているんだと。そのような存在の龍の代弁者になれるような会社、ということですね・・・・ただ、この話をすると長くなってしまうので、ふだんは「中日ドラゴンズのファンなんです」とお伝えしています(笑)。
ロゴマークはあえて複雑な絵柄にして、イメージはできるけれど「描け」と言われるとうまく描けないデザインにしました。

多彩な技術を使ってIT開発を行なっておられる理由はありますか?

たしかに成果物だけを見るとアプリやソフトウェア、クラウドサービス、プロダクト、コンサルティングなど多彩に見えますよね。
これは顧客からの相談にITというキーワードで応えていったら、自然とそうなったという感じなんです。要望に対して、私たちができることを必死で実行することで、結果として広範囲の技術を活用したシステムやサービス、プロダクトなどが生まれています。

現在、特に力を入れている領域を教えてください。

これまでは受託開発を中心にビジネスを行なってきましたが、最近は自社発信の製品・サービスにも力を入れています。
例えば電球型ネットワークカメラ「テラスアイ」は、電球ソケットに装着するだけで家族の見守りや店舗、工場の監視など多彩なシーンで利用できます。内蔵カメラの映像を専用のスマートフォンアプリから確認できます。
その他にもオンライン教育用プラットフォーム「e-klasse」やトレーサビリティシステム「WEB TRACE CLOUD」などを展開しています。

気が合う人と仕事を 道照らせる人材づくりにこだわり

人材教育やチームづくりで大切にしている点は?

人材教育の面では、「課題解決に向けて道筋をつけられる人材」の育成に力を入れています。私たちの仕事は、要望に対する課題解決への道を照らし、どのような方法やフォーメーションで実行するかがとても重要です。しかし、それができる人材が業界内に圧倒的に不足しているため、広い視野で経験値を上げていけるよう、幅広い経験ができる環境を整えています。
また、これまでのキャリアを通じて「誰と仕事をするのか?」の重要性を痛感してきたので、互いがギブしあえるチームづくりを大切にしています。営業スタッフにも「気が合わない人の仕事を我慢して続けるより、気が合う人を探す方が大事だと思う」と話しています。
私自身は、その時々に自分が感じていることをできるだけ共有することを心掛けています。

世界を舞台に、ITの道を示せる企業へ!

企業理念として「本物の仕事・本物の技術・本物の会社」を掲げておられる意図を教えてください。

“本物”であることが、ドラゴンエージェンシーの発展につながるからです。会社が発展し規模が大きくなれば、解決できる課題も増えます。
実は2011年に起きた東日本大震災の前に、津波を予兆するシステムの開発プロジェクトに参画していたことがありました。しかし継続的な研究がされなかったことで結果は出ず、それが多くの方の犠牲に繋がってしまったのかもしれないと・・・今でも自責の念にかられます。会社が大きくなりあらゆる面で力を付けていけば、お客さまからの相談の解決はもちろん、社会的に大きな課題の解決も行えるようになると信じています。

これから、どんな会社にしていきたいですか?

目指すところは、世界中でITの道を示せる企業になることです。もちろん上場も視野に入れ、体制を整えていく予定です。 近い目標は名古屋駅直結のオフィスビルに入居することです。新オフィスの妄想を日々膨らませ、イメージCGまで作ってしまいました(笑)。

最後に、世の中のクリエイターにメッセージをお願いします。

クリエイターとして活躍するには、まず自分がクリエイティブな人間であることをちゃんと認識することが重要だと思います。私が思うクリエイティブな人は、ゼロから1を生み出せる力があり、悩みや、やりたいことの源泉を自分で生み出せる人です。クリエイティブな発想ができるのに、本人は自覚していない方が実はたくさんいます。
他者との関わり合いの中で、すでに獲得しているポジションと、これから獲得していきたいポジションをしっかりと把握することで、なりたい姿に近づけると思います!

取材日:2022年7月27日

株式会社DRAGON AGENCY

  • 代表者名:飯田 真資
  • 設立年月:2010年7月
  • 資本金:3,000万円
  • 事業内容:企業ソフトウェア開発・保守、パッケージソフトウェア開発・販売、情報システムに関するコンサルティング
  • 所在地:〒450-0002 名古屋市中村区名駅5丁目23番17号 名駅フォレストビル3F
  • 電話番号:052-569-5230
  • URL:https://www.dragonagency.co.jp
  • 連絡先:https://form.run/@dragonagency-1642047189

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