WEB・モバイル2022.07.20

自ら立候補し20代で社長に。徹底ヒアリングで中小企業の「強み」を引き出すWebサイト制作会社

大阪
株式会社ええやん(旧:OKデザイン株式会社) 代表取締役
Takumi Kawai
川合 匠

大阪に本社を構え、Webサイト制作を手がける株式会社ええやん(旧:OKデザイン株式会社)。手がけるWebサイトはユニークなイラストやキャッチコピーでひときわ目を引きます。制作を支えているのは社内のデザイナー、そして100人以上の社外クリエイターネットワーク。どんな小さなことでも丁寧に対応する真摯な姿勢と、Webサイト制作に関するあらゆることを丸ごと任せられる安心感から、多くの中小企業の支持を集めています。代表取締役を務める川合 匠(かわい たくみ)さんは、20代にして代表に就任した若きリーダー。しかも、自ら社長の座に立候補されたというから驚きです。行動力と突破力で道を拓いてきた川合さんに、今の想いを聞きました。

入社して1年足らずで代表取締役に就任

若くして代表になられた経緯は?

「代表取締役にならせてください」と自分から前社長にお願いし、2022年6月1日に就任しました。実は就任してまだ1ヶ月も経っていないんです。現副社長で大学時代からの友人である室谷と一緒に、事業の幅を広げていきたい、会社を盛り上げていきたい、という気持ちを前社長に伝え、就任を認めていただきました。

自ら代表の座に手を挙げたのですね!それはすごい!

普通はあまりないですよね(笑)。前社長は室谷の親族であり、1年前に入社した時から一体となって事業のことを考えてきた経緯もあると思います。3月ごろに代表交代の話が持ち上がり、2ヶ月ほどで就任となりました。

他の社員の方々もびっくりされたのでは?

特にリモートワーク中のデザイナーさんには突然の報告だったと思います。皆さんびっくりしていましたけど、受け入れてくださいました。やり取りをしているお客さまにも驚かれましたね。僕の肩書きがいきなり「代表取締役」になったんですから(笑)。

迷ったら面白いほうを選ぶ

前職ではシステムエンジニア(SE)をされていたそうですね。

はい、大学卒業して初めて就いた仕事がSEです。 といっても、大学での専攻は経営学で、プログラミングやシステム開発には縁がありませんでした。「Ctrl+C」のショートカットすら知らなかったくらいですから。就職活動でも営業職を志望していたのですが、なかなか内定が取れなくて。そんな時、就活アドバイザーの方に勧められてシステム会社の採用試験を受けてみたんです。希望と全然違う業種ですが、意外と面白いかなって。その会社が医療IT業界だったのも受けたいと思った理由のひとつです。

医療分野には昔から関心があったのですか?

はい、ドラマの影響で中高生のころから興味を持っていました。採用試験を受けた会社は、システムを通して医療に関われると知り、一気に興味が沸きました。
ところが、採用面接を受けて驚きました。いわゆる圧迫面接だったんです。社長の口調が終始強気というか、何を発言しても全て否定される。でも、そこで逆に「こっちも負けられないぞ」って燃えてしまって(笑)。気づけば言い返しまくっていました。

萎縮するのではなく、「負けないぞ」という方向に行ったのですね。

何度否定されても食らいつく粘り強さがよかったのか、怖いもの知らずなところを評価されたのか(笑)、「ぜひうちに来てほしい」と言っていただきました。面接が個性的だったので迷いましたが、未来がわからないほうが面白そうだ、と思って入社を決めました。
手がけていたのは、お客さまとやり取りしてプロジェクトの進行管理やシステムの要件定義をする仕事です。医療業界に関わる仕事にはとてもやりがいを感じていました。何より上司の方々には本当に親切にしていただき、面白い人が多かったので仕事も楽しかったですね。ただ、時を同じくして室谷とも一緒に働きたいなという話をしていました。そうしているうちに、室谷を通してOKデザインから声をかけてもらったんです。
前の職場の上司も、僕が新しい何かに挑戦したいと考えていることに薄々気づいていたようで、転職の意思を伝えたときには「いつかはそう言ってくると思っていた」と言われました。幸いなことに社内で小さな壮行会も開いていただき、皆さんに送り出してもらうようなかたちで退職しました。今でも前職の方々とは飲みに行ったりもしますし、大好きです。

OKデザインに入社されてからはどのようなお仕事を?

OKデザインに入社してからは、Webサイト制作の営業とディレクターを兼ねた仕事を担当していました。転職して扱うものがシステムからWebサイトに変わりましたが、お客さまとやり取りをし、内部で進行管理を行うプロセスはどちらも同じです。デザイナーと連携し、お客さまの魅力を伝えられる方法を考えることにやりがいを感じていました。
入社して9カ月ほどが経ち仕事にも慣れたころ、会社のこれからの姿について、室谷と具体的に話すようになりました。自分たちに決定権を与えてくれたら、もっと自由に、もっと幅広く事業を展開していけるだろうと。そこで「代表取締役にならせてください」と申し出たんです。私が代表、室谷が副社長に就任し、前社長は会長となって引き続き助言してくださることになりました。

徹底したヒアリングで、お客さまならではの魅力を見つける

御社の事業内容を教えてください。

OKデザインの主軸事業はWebサイト制作です。ただWebサイトを作るだけではなく、素材として必要な写真撮影、動画制作、イラスト制作、コピーライティングなど、Web制作に必要な作業をすべてまとめて引き受けられる体制を取っています。カメラマンやイラストレーター、ライターなど、提携しているクリエイターさんは100名以上。お客さまのどんなご要望も形にします。

仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?

丁寧さとお客さまに寄りそう姿勢です。OKデザインの制作案件では中小企業のお客さまが多く、「Webのこと全然わからなくて」という方がほとんどです。そこで、専門用語を使わず、わかりやすい言葉で丁寧にご説明させていただいています。
また、会社や商品の魅力を伝えるためにはどうしたらいいか、デザインの前段も大切にしています。お客さまが魅力的だと思っているポイントと、外から見て魅力的なポイントは違っている場合も往々にしてありますし、ある魅力を伝えるためには違った角度からのアプローチが有効な場合もあります。

具体的な例でいうと?

以前、製造業のお客さまがコーポレートサイトのリニューアルを依頼してくださったことがありました。お客さまがアピールしたいポイントは、超精密加工を実現する技術力でした。これをどうやって表現しようかとヒアリングを重ねていく中で気づいたことがあったんです。単純なことですが、精密を語るにはそれを測るモノサシが必要だということです。糖度計で測ってもないのに「このイチゴ世界一甘いんです!」と謳われても「ほんまか?」となりますよね。イナバ物置のCMなんかはこの辺りが分かりやすくて良かったのかもしれません(笑)。いずれにせよ、加工精度をアピールする為には、それを検査できる環境が整っていることを一番に主張する必要があります。この点、お客さまの会社では検査設備や教育に最も投資を行っているとお聞きして「ここだ!」となったのを覚えています。

お客さまとのお話のなかで、川合さんのアンテナがピッと立つ瞬間があるんですね。

「これこれ!」ってなります。ですから、見つかるまではお客さまに徹底的にヒアリングします。とにかく喋って、お客さまの中のこだわりを引っ張り出すんです。かかる時間は本当にそれぞれで、1回で終わる時もあれば、3回、4回と回数を重ねる時もあります。これだ、と思えるポイントがなかなか見つからない時は大変ですが、最後には必ず見つかります。
限られた予算の中でどこまで形にするか、要望を叶えるか。デザインとのバランスを取るのが難しいこともあります。制作は私たちの自己満足で完結ではなく、最終的に判断するのはお客さまですから、当初提案したものと違う形で納品となる場合もあります。それでも、結果的に満足していただけたらやっぱり「よかったな」と思えますね。

想定できない未来を楽しみたい

今後、チャレンジしたい取り組みはありますか?

今後はクリエイティブコミュニティをさらに広げていきたいと考えています。想像できないような環境で働いていたり、多種多様な考えをもつクリエイターさんと面白いことをやっていきたいですね。そういった方々と協力して、実現可能なアイデアのキャパも増やしていきたいです。これからは個人の可能性が活きる時代ですから、会社の在り方も変える必要があると思っています。職業のジャンルも、もっと広がっていいんじゃないでしょうか。たとえば、髭面専門の結婚コンサルとか、勝手に祝日クリエイターとか(笑)。いろんな人とのつながりから何か新しいものが生まれたら面白いじゃないですか。

「面白いことをしよう」というのが川合さんのキーワードのひとつなのですね。

面白いことをしたい、人を楽しませることをしたい、という意識は昔からあるような気がします。大げさかもしれないですが、みんなの幸福度を高めることを何かできないかなって。
僕たちはWebサイトというデジタルの技術を商品にしていますが、一番大事にしたいのは“アナログ”な部分なんです。AIとかブロックチェーンとか最先端の技術は、それができる専門家たちにまかせておけばいい。もちろんデジタルはフル活用しますが、技術の進化に伴って忘れ去られていくアナログな部分をすくい上げ、面白くしていける存在でいたいな、と思っています。

10年先、ご自身が何をしているか想像できますか?

まったく想像できないです。というか、想像できていたらダメです。もちろん、会社のビジョンはある程度見通しを立てて考えなくてはいけないですが、自分自身の可能性はわからないままでいたい。失敗もたくさんしますが、どんな方向に転んでも「楽しいな」って思い続けられる自分でいたいと思っています。

左:代表取締役 川合さん 右:副代表 室谷さん

取材日:2022年6月13日 ライター:土谷 真咲

株式会社ええやん(旧:OKデザイン株式会社)

  • 代表者名:川合 匠
  • 設立年月:2014年2月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:Webサイト企画制作、Webサイトの更新・運営サービス、その他のインターネット関連事業
  • 所在地:〒530-0043 大阪市北区天満1-3-3天馬ビル2F
  • TEL:06-6809-4190
  • URL:https://ok-design.co.jp/

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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