動画初心者企業にも映像が持つ力を知ってもらい、ビジネス発展に貢献したい

大阪
株式会社ブレファ 映像制作プロデューサー/代表取締役
Kadotani Shigenori
角谷 重典

古くから商人の町として栄えた大阪・堺で、企業のプロモーション映像・動画を専門に手掛ける株式会社ブレファ。少数精鋭ながらもさまざまなクリエイターとの連携により、アニメやCG、VRも駆使した制作や、外国語による字幕やナレーション、ドローン空撮、写真撮影、ライブ配信など幅広く対応し、企業の動画制作内製化の支援も行っています。
代表取締役の角谷 重典(かどたに しげのり)さんは、営業をはじめさまざまな仕事を経て「たまたま」映像制作の世界に入ったという異色の経歴の持ち主。クリエイターとして独自の強みを見出し、時流を逃さずチャンスをつかんできたパワフルさは、私たちもぜひ学びたいところです。

元営業マン、たまたま携わったテレビ番組の制作スタッフの経験が人生の転機に

個人事業としてスタートするまでのキャリアをお聞かせください。

小さな町工場を経営する父を見てきたせいか、子どものころからずっと「自分も何か好きなことを商売にしたい」と思っていました。でも、これだというものが見つからなくて。今のように「起業」という言葉も一般的でない時代で、大学卒業後は流れのままに就職し、まったく違う業界で営業をしていました。
「何かが違う」と内心思いながらも3年は勤めようと必死でしたが、業務に忙殺されるなかで、サラリーマンとして働く5年後、10年後の自分が理想の姿とは異なる形ではっきりと見えてきてしまったんです。今となっては、先にやりたいことを見つけて、お金を貯めて、人脈を増やしてから退職する方が良かったと思いますが、若かった当時は「とにかく一度立ち止まらないとダメだ」という気持ちが勝っていましたね。それでも、惜しまれつつ辞める方がカッコいいと思って根性を出し、いい営業成績を残せた5年目で退職しました。

その後、どんな経緯で映像業界に入ることになったのですか?

この業界はもともと映像や映画、メカが好きで、芸大や専門学校で勉強した人が多いと思いますが、私は会社を辞めた時点でも片足も突っ込んでいませんでした。3年ほどは営業や単発での撮影、オリジナルTシャツ製作販売など、個人や派遣でさまざまな仕事をしながら将来を模索するなか、たまたまテレビ番組の制作の仕事に誘われたのがこの道へ進む一歩になったんです。
最初の頃は補助的な雑務から始まり、様々な業務を経て、思いがけず番組のアシスタントプロデューサー(AP)の業務を任されました。人と話すのがもともと好きで営業経験もあるからか、撮影や編集スタッフに指示を出すことがおもしろく、私にはなぜかピタッとハマッたんです。制作や技術の専門的なことなんて当然わかりません。一言二言話せば相手に技量が見透かされてしまう世界なので、リサーチや勉強を欠かさずに説得力のある指示を心掛けていました。
そこから番組制作会社に移って実務寄りの仕事を覚えたものの、ときは2000年代半ば。将来を考えたらインターネットでの映像や動画に可能性を強く感じるようになりました。インフラが整いパソコンで編集できる時代に変わってきて、機材が比較的安価に手に入りだしたのも追い風となり、個人事業主として自分で動画制作をやろうと決めたんです。

インターネット広告の活用と法人化で、大手企業からも引き合いが

2009年に個人事業を始めた当時は、どんなことが大変でしたか?

チラシを作って「YouTubeで紹介動画を作りませんか?」と近隣の企業やお店を回りましたが、だいぶ断られました。動画で自ら発信するYouTuberの先駆け的なこともしましたが、YouTubeが市民権を得ていなかった当時は反応も鈍くて。今からすれば先見の明はあったんですけれどね。なかなか案件が獲れず資金繰りも大変で、まずは実績を増やそうと、頼まれればジャンルを問わずなんでもかんでも引き受けていました。

その後どうやって顧客を獲得して、法人化に至ったのですか?

自社ホームページを作ってインターネット広告による宣伝に注力しました。広告費はかかりましたが、当時、まだまだ同業者のWebでの広告が少なかったのも功を奏し、行政機関や企業はもちろん、全国各地からも依頼が増えたんです。
リピートでのご依頼や別のお客さまも紹介いただくようになり、個人事業のままでも満足でしたが、「法人化すれば信頼度が上がり大きな案件が扱える」との知人からの強い薦めもあり2016年に合同会社として法人化、2019年には株式会社へ変更しました。すると、いくつかの大手企業から直接話が舞い込んだのです。「うちのような小さな会社に間違えて問い合わせてきたのでは?」と思い、はじめは都度確認しましたね(笑)。

動画を企業自身でも作れるように内製化をサポート

現在は企業のプロモーションに特化して事業を展開されていますね。

当社では企業がビジネスシーンで使う動画・映像に特化し、会社案内や商品・サービス紹介、社員教育、インタビュー撮影、リクルート、eラーニングなどの動画を制作しています。特に初めて動画を導入しようと考える「動画未経験企業」にこそ映像や動画の持つ力を知ってもらい、活用いただくことでビジネスの発展をお手伝いしたいと考えています。
また、イラストやアニメ、CGなどの専門クリエイターのネットワークがあり、ドローン空撮にも対応しています。ターゲットや目的、ご予算やご要望に応じて、実写に限らず幅広い表現手法によるわかりやすい動画制作を得意としており、外国語の字幕やナレーション、出演タレントの手配もワンストップで実現可能です。最近では大規模イベントのライブ配信のご依頼も急増していますね。

同業他社と比べて強みはどこにあると思いますか?

初めて動画を作るときは、費用や手順など不安がたくさんあると思います。当社では動画の制作依頼が初めての方にも専門用語は使わずにわかりやすい説明を心掛け、ターゲットや目的を丁寧にヒアリングしたうえで、売り上げや集客、求人応募など結果が残せる動画制作に取り組んでいます。また、作って終わりではなく、お客さまに合った動画の活用方法も企画段階でご提案しています。
「カッコいい感じで作りたい」「安く抑えたい」と言われることが多いのですが、動画のターゲットや目的によっては、必ずしもお客さまのイメージとは合わない場合があります。事前にイメージや費用感を共有して後に齟齬が出ないよう、お客さまには理想とするサンプル動画を探していただいています。サンプルを見ればだいたいの費用もわかりますからね。

御社では企業による動画制作の内製化も支援されています。制作会社としては珍しい取り組みでは?

ビジネスにおいて動画の必要性は今後も高まる一方、ちょっとした動画を制作するだけでも5~10万円はかかります。「うちで全部やりますよ」と言いたいところですが、企業側でも動画が作れる体制を整えないと非効率でコストも膨れるばかりです。簡単な動画は自社で手掛け、本格的な仕上がりを求めるときはプロに任せるといった、すみ分けが大切だと思いサポートしています。また、商工会議所や企業からの依頼で、スマートフォンを使った動画プロモーションのセミナー講師として登壇もしています。

これまでに手掛けた映像で印象に残っているものは何でしょうか?

優れた製品やサービス、技術力を持つことで「堺技衆」に認証された堺ブランド企業の紹介動画(https://www.youtube.com/channel/UCjSQRTKYIXp97ZJGqjjuz9A)でしょうか。商工会議所の依頼でこれまでに80社以上を取材、制作しています。

また、最近制作した堺市消防局のプロモーション動画は、特にエネルギーを注ぎました。通常に比べて撮影回数が多く、「今からこのシーンだけを撮影したい」と依頼されることも多かったのですが、地元で近いからこそいろんな撮影スタッフの力も借りながら機動的に対応できたと思っています。

堺市消防局のプロモーション動画

 

クリエイター・セールス・プロデューサー。3つの視線を持つ経営者

角谷さんご自身の強みはどこにあると思いますか?

私は3つの目線を兼ね備えた経営者だと思っています。クリエイターの目線、営業的な目線、そしてプロデューサーとしての目線です。決して正統派とは言えないけれども、いろいろなことを経験してしっくりくる自分なりの立ち位置が見出せました。レアなケースだとは思いますが、そこが自分の強みだと考えています。

大手企業も含めて顧客からのリピート発注や紹介も多いそうですが、秘訣はどこにあると思いますか?

「誠実」に尽きると思います。各作業は担当のクリエイターに任せますが、いただく値段以上のクオリティを追求するため決して丸投げにはしません。お客さまから休み前の夕方に何か依頼があっても、土日祝を使って私も対応します。帰宅が遅くなったり、休日に仕事をしたりすることも少なくありませんが、苦に思ったことはありませんね。

一緒に働くクリエイターにどんなことを求めますか?

人柄が大事だと思います。当社は小さな会社ですが、周囲には各ジャンルの専門クリエイターが多数います。昔から共に仕事してきた信頼できる人たちで、細かく説明しなくても理解してもらえる。外注先ではなく「組」のような感覚です。
逆に報酬のことがまず先にくる人とは、なかなか仕事が続かないですね。案件によっては通常より低い価格でお願いせざるを得ないことも時にはありますが、必ず別の機会に何らかの埋め合わせはしたいと思っています。クリエイティブは報酬額が決めづらい仕事ですので、お互いの信頼関係が構築されていないクリエイターとはなかなか一緒に仕事ができないですね。

今後の展望をお聞かせください。

売り上げは拡大させたいですが、社内に人員を増やして会社の規模を大きくするところまでは考えていません。インフラが十分整ったおかげで、大阪にいないクリエイターともスムーズに連携できています。海外在住のナレーターや翻訳家もいますよ。カメラも最近は軽量化しているので、今後女性のカメラマンも活躍できるようにしたいですね。
これまでいろんなクリエイターを見てきましたが、技術面では高いスキルを持っていても、交渉やコミュニケーション、お金の計算などが苦手な人も多いんです。専門外のことは私が引き受けて、クリエイターには得意な技術で力を精一杯発揮してもらえる場を、もっと作ってあげたいと思っています。

さらに、別の事業も展開されるそうですね。

今年の6月に中百舌鳥(なかもず)駅近辺で、セルフフォトスタジオをオープンする予定です。写真館は七五三や結婚式など改まった機会に利用することは多いですが、年賀状や記念日などでも、もっと手軽でリーズナブルに撮影してほしいと考えました。お客さまにはシャッターを切れるリモコンをお渡しするので、プロ仕様のカメラを使用し、プロのライティングで思い思いに写真撮影を楽しんでいただけたら幸いです。

クリエイターの皆さんに向けて、アドバイスをお願いします。

先ほども触れましたが、クリエイターとして案件や収入を増やしたいならば、専門技術だけでなく、クライアントと交渉したりプレゼンしたりするスキルは磨いた方が良いでしょう。自分で会社を立ち上げたいならば、お金や法律、経営の知識も必要です。
とにかく、やったことがなくてもまずは一歩踏み出すことが大切。どこまで自分のスキルが活かせるか、時には頭を打つ経験もしながら成長していってほしいですね。若いうちにいっぱい頭を打ってください。(笑)

取材日:2022年3月22日 ライター:小田原 衣利

株式会社ブレファ

  • 代表者名: 角谷 重典
  • 設立年月:2019年7月
  • 事業内容:映像/動画の企画・制作、ビデオ撮影、ドローン空撮、写真撮影、セミナー講師、映像制作内製化支援
  • 所在地:〒591-8024 大阪府堺市北区黒土町113-9
  • URL:https://brefa.jp/
  • お問い合わせ先:072-350-1730
  • 主な制作実績:
 

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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