ビジネスアニメーションを独学でマスターし動画業界へ。ナレーション需要に着目し「宅録声優」スクール事業を開拓

京都
MS Trading株式会社 代表
Atsushi Murayama
村山 あつし

MS Trading代表の村山あつしさんは、病気療養をきっかけに新しいスキルを学び、現在はビジネスアニメーションを使用した動画マーケティングの事業を展開。また、これまでになかった「宅録声優」オンラインスクールの立ち上げにも取り組まれています。キャリアチェンジに至った経緯と今後の展望をお伺いしました。

 

長期療養を機に、アニメーションを使用した企業向け動画制作を独学で習得

ご自身のこれまでのキャリアを教えてください。

脳卒中の治療デバイスのメーカーで営業をしていました。他にも本社でマーケティングや新入社員のトレーニングに携わったり、ドクターの学会運営のサポートをするなど、多岐にわたる業務で忙しく働いていました。ある日突然学会で倒れ、脳梗塞で療養を余儀なくされました。おかげさまで今はほとんど後遺症はないのですが、長い療養中に今後のことを考える期間があり、自分のこれまでのキャリアを振り返って考えてみたのです。

その期間に、ビジネスアニメーションに出会われたんですね。

はい。動画のなかでも、とくにニッチな分野、アニメーションを使った企業向け動画マーケティングが、これからは面白いのではないかと思いました。すぐに海外のアニメーション編集ソフトのライセンスを購入して、試行錯誤しながらマスターしました。今はweb動画や解説本がたくさんありますが、当時は何もなかったので独学でしたね。少し前から、企業から発注をいただき、事業として動き出しました。

アニメーションに絞ったのはなぜですか?

簡単に言うと、わかりやすいということです。アニメーションで学習したほうが記憶の定着率が高いというデータも出ています。たとえば、企業内eラーニングの教材としてアニメーション動画は最適です。前職の医療業界では法改正がよくあり、そのたびにコンプライアンスが変わり、何度もトレーニングを受けていました。ビジネスアニメーションだとそのような度重なる修正にも柔軟に対応できます。つまり、アニメーションで見たほうが理解度が上がり、企業側の作業効率も高まります。私が今も企業にいたら、取り入れていたと思いますね。

どのようなアニメーション制作の依頼が多いですか?

基本的には、企業の製品やサービスの紹介ですね。ストーリー展開はある程度型が決まっているので、それにあわせてシナリオを書いていきます。ナレーションは声優さんに発注して、セリフを入れた音声をもとにアニメーションを組み立てていきます。
また、アニメーションを使った動画の制作とYouTubeへの投稿をセットで依頼されることもあります。クリエイターさんや、ディレクターさんと契約して、動画の再生数や閲覧効果を図る数値の管理も含めた制作・運用を行っています。
最近は、YouTube等での視聴に適した90秒か2分の動画の依頼が多いですね。短い尺でどれだけ伝えられるかが大事になってきます。


需要もあり、挑戦したい人も多い「宅録声優」。両者の架け橋になる仕事を展開していきたい

動画マーケティングの事業をスタートして少し経ちますが、今後の展望はありますか?

実は、この動画マーケティングのビジネスを始めてから、ちょっとした気づきがありました。それは、声のお仕事の需要が高まっているということ。Web広告やアニメーション、YouTubeでもかなり需要があるものの、声優さんが足りていません。
実は、自宅で録音する声優さんを「宅録声優」といい、副業や自宅でやりたいと手を挙げられる方はとても多いのです。しかしながら、お仕事を依頼できる声優さんはひと握り。基礎があるだけでなく、登場人物をキャラクター別に演じ分ける応用スキルが求められており、フリーランスの方に発注が集中しているのが現状です。
ビジネスの需要もあり、やりたい方も多い。この架け橋になる仕事を展開していきたいと思っています。プロの声優さんのノウハウを取り込みながら、ZOOMでのオンラインレッスンを通して、実技と仕事の取り方の、2つの柱でサポートできるオンラインスクールを立ち上げます。声優としての表現方法が学べるほか、ナレーションやCMのアナウンサーとしても役に立つスキルが身に付きます。
私がリサーチしたところ、「宅録声優」のオンラインスクールはまだどこにもありません。ニーズは全国にありますので、広く募集をかけていきたいですね。

アクト宅録声優アカデミー
https://act-voice.com/clp/start/

「宅録声優」になるには、どういう方が向いていますか?

キャラクターにもよりますが、結構幅が広いです。Web広告の場合、落ち着いた声を好むクライアントさんが多い傾向にありますが、年齢を問わずさまざまな声のタイプの方にも、広告イメージと合えば、仕事のチャンスがあります。
AI音声も最近はだいぶ滑らかになってきていますが、商業利用としてはまだ費用は若干高額です。PRする製品の特性にもよりますが、機械音声にマッチしない製品も多いので、まだまだ声優さんのニーズは高いといえます。

御社の強みを教えてください。

CMやPR案件の動画の発注を受けてから、シナリオを作り動画に落とし込んで、YouTube広告を出すところまでをワンストップでできるのが弊社の強みです。
広告代行業は、一般的に広告料の3割程度の手数料がかかりますが、弊社は追加で手数料をもらうことはせず、CV(コンバージョン)につながるノウハウをお伝えし、クライアント主導で広告運用をしていただきます。クライアントが自分たちで広告運用を行えば、社内にノウハウやスキルが蓄積されることになりますから。
また、アニメーターをたくさん抱えているので、大量発注や急ぎの案件にもスピーデイに対応可能です。あらかじめ用意してある動画のパターンを使ってアニメーション制作を行えば、発注から約1週間で納品できます。

企業は人、つながりを大切にして従業員と一緒に成長できる企業を目指す

仕事でやりがいを感じるのは、どんなときでしょうか?

月末にクリエイターさん達のお給料を計算している時です。プレジャータイムと呼んでいるんですよ。「今月はこの方にこんなに頑張って働いていただいてありがたい」、「この方にはもっとこの分野のお仕事をお願いしたい」とか、自分自身に対しても「この部分ではもっと営業をがんばらないといけない」などと、1か月間を振り返る貴重な時間となっており、月末の密かな楽しみになっています。

企業として、大切にしていることはありますか?

スキルがあり仕事をしたい気持ちはあるけれども、育児や介護など家の事情で、外で仕事ができないという方を中心に、仕事を手伝っていただいています。「雇用が最大の社会貢献」という言葉がありますが、働きたい気持ちのある方に少しでもお仕事をお願いできる企業でありたいと思っています。

クリエイターの皆さんに向けて、アドバイスがあればお願いします。

今は、マルチな人材が求められていると思います。例えば、ブログの立ち上げができるだけでなく、プラスアルファで何かできる人。ある業務をきっかけに、また次のスキルを習得していくことを続けると、ご自身の引き出しが増えていきます。私自身、引き出しを増やし横展開することで、当初は想像していなかった声優オンラインスクールの立ち上げという新たな分野に事業を拡げています。ご自身の可能性をどんどん横展開していくことが、成長につながると思います。

ライター:田中 未来

MS Trading株式会社

  • 代表者名:村山 あつし
  • 設立年月:2011年12月
  • 事業内容:Webコンテンツおよびデジタルコンテンツの企画、制作並びにこれらの受注、情報解析、広告および映像の企画、制作、販売
  • 所在地:〒604-8383 京都府京都市中京区西ノ京小堀池町3-2シンフォニー西ノ京円町506
  • URL:https://biz-anime.com/
  • お問い合わせ先:https://biz-anime.com/contact
  • アクト宅録声優アカデミー:https://act-voice.com/clp/start/

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