DX時代に適した新たなシステムを開発。溢れるアイデアはディレクター経験から

札幌
株式会社ライクネス 代表取締役社長
Yoshito Oi
大居 由人

ブライダルの動画映像制作で業界トップクラスの「株式会社ライクネス」。テレビ局のディレクター経験を持つ代表取締役社長の大居由人(おおい よしと)さんは、発想力の豊かさを強みに、さまざまな映像商品を提案。

さらに近年は、これまでに培った知識や技術を生かしてDX時代に適したシステム開発に取り組むなど、幅広く活躍しています。そんな大居さんの仕事にかける思いや、今後の展開について話を伺いました。

 

 

テレビディレクターの経験を生かし、映像商品の“卸し”をスタート

キャリアのスタートはテレビディレクターなんですよね。その時の経験は今に生きていますか?

20代の時はテレビ番組を手掛ける映像制作会社のディレクターとして、たくさんの企画を立て、多くの人を取材していました。

その時、色々な業界の経営者の方とお会いする機会も多く、じっくりお話を伺う中で、物事の本質を捉えることを学び、視野が広くなったと感じています。

そうしたチャンスを若いときから得てきたことが、今の仕事につながっていると思います。

テレビディレクターから「フリーとして独立」ではなく、「会社を起業」したきっかけを教えてください。

正直なところ、映像業界はかなりの格差社会で、同じ映像制作をしていてもテレビ局員と制作会社の社員では、給料が2倍くらい違うんですよ。

若い頃から映像制作を志し、専門学校などで知識を学んでも、テレビ局への就職は狭き門なので、大半が映像制作会社に勤めることになるんです。「映像を仕事にする=収入が少なくても我慢する」という図式が一般的で…。若い頃は頑張れても、結婚や育児のために高収入を目指し、好きだった映像業界から別の業界へ転職するという同期を何人も見てきました。

そんな現状を変えるには、高学歴でなくても、コミュニケーションが苦手でも映像制作に本気で向き合っていれば稼げる会社が必要だと思ったんです。映像制作が好きで、映像業界で働きたいという若い人たちのためにも、一般的な会社員の平均年収以上に稼げる会社を作ろうと、起業を決意しました。

テレビメディアの広告費が減少する中、映像制作で“稼げる会社”を作るのは、難しいと思いますが、どんな取り組みをしていますか?

この10年の間に、映像業界にはYouTuberやインフルエンサーなどが登場し、広告媒体もインターネットを中心に大きく様変わりしました。

素晴らしい映像を作る個人クリエイターも続々登場する現代社会で、会社組織としてお客さまのメリットを生み出し、自分たちも利益を出すにはどうしたらいいかと考えました。そこで私なりに出した答えが「安心、安価、安定の高クオリティ」です。

多くの人材を抱える映像制作会社のように、営業して1本1本受注し納品していくスタイルではなく、年間を通して売り上げが見込め、事業計画がしっかり立てられるように、商材を作ってクライアントに販売する “映像商品の卸し”をしようと考えたんです。

商品の例を挙げると、披露宴のラストを盛り上げるライブエンドロールの手法を葬儀にも生かし、お通夜で撮影した映像に、親族が書いた手紙をテロップとしてのせて告別式で流し、最後にその手紙も一緒に火葬するというプログラムをパッケージ化しました。

これを映像知識のない販売会社がパッケージ化すると、受託する我々には取捨選択する権限がなく、どうしても高価な価格設定になってしまいます。ですから、きちんとした予算で安定の高クオリティで納品可能なパッケージ商品をたくさん作り、要望に合わせてこちらから提案する“卸し”という形を選びました。

たくさんの商品を抱えるには、それだけアイデアが必要ですよね。

アイデア出しはテレビ時代に培っていて、得意中の得意なんです(笑)。20代の頃は毎日のように企画を考えていましたし、夢の中でアイデアが浮かんで夜中にメモをとることもよくありました。

何か面白いことはないか、こんなことができないかと考えるのが、すっかりクセになっていますね。

 

ブライダル映像での事業化を皮切りに、VRやシステム開発の事業化に乗り出す


ブライダル映像の事業化について教えてください

 独立して最初に取り組んだのがブライダルの映像制作で、最初はとても苦労しました。

もともとテレビ番組を作っていたので、最初はブライダル業界なんて簡単だと考えていたんです。「これでどうだ!」とばかり、ドキュメンタリーの手法を取り入れた商品を作って売りに行ったところ、会場側はすごく面白がってくれましたし、当日も盛り上がりました。

でも、その裏で制作期間が長く、コストがかかってしまい事業化するには難しいと感じました。ブライダルにはブライダルの手法があり、テレビとは違うということに気付いたんです。

そこからは考えを変えて、最も売れ筋である「動画ライブエンドロール」の制作に力を注ぐことにしました。

ライブエンドロール映像のデモムービーを拝見しました。ストーリー性があって感動的な映像でしたね。

ムービーはこちら

ありがとうございます。当日上映のため「限られた時間の中で必ず完成させる」ことが大前提なのですが、どこまで感動的に仕上げられるかを常に研究しながら、スタッフ同士でも、日々意見を出し合い切磋琢磨しています。編集しながら感動しちゃって泣くこともありますよ(笑)それくらい楽しい仕事です。年間1000本近く制作していても、まだ泣けるって、結婚式は本当に素晴らしいです。

実際に結婚式に参加された方からも、「泣けた」「自分の結婚式でもお願いしたい」といったお声をいただき、依頼も増えているんです。

コロナ禍においてブライダル業界も大変な打撃を受けているようですが、そんな中で新しいアイデアを考えることはありましたか?

昨年はコロナの影響によりブライダル事業の収益が激減しました。しかし、その分時間が空いたので、新しい事業に乗り出しました。それが「オンライン事業」です。インターネットライブ配信や、Web会議ツール開発、リモートで式場見学ができるVR制作を始めました。

コロナ禍で施設見学ができない状況でも、360度の動画や写真を駆使して、実際に会場見学に訪れているような臨場感を生み出すことができました。新規のお客様の案内に、大変活用しやすいと会場から喜ばれています。

 

DX時代に即した「オンライン接客ツール」をリリース

 



体験させてもらいましたが、これはとても便利ですね!

それは一番嬉しい感想です(笑)コロナ禍をきっかけにオンライン会議が常識となり、自分も体験する中で「もっと簡単にできないかな?」と思いついたアイデアから、「オンライン接客ツール」を開発しリリースしました。

機能について詳しく教えてもらえますか?

これは、Webサイトにボタンを設置するだけで簡単に「リモート相談窓口」を開設できるDX化に適したシステムです。ユーザビリティに特化しておりお客様はHPに設置したボタンからワンクリックで、すぐにオペレーターとつながり、ブラウザ起動のためインストールも不要で、予約もいりません。

お客さまを待たせることなくオンラインでご案内・ご相談ができるようになり、業務のスムーズ化、顧客獲得につながります。

オンラインに作るもう一つの入口という意味も込めて、「2nd Door」と名付けました。

具体的な活用事例を教えてください。

例えば、店舗での無人受付です。パソコンやタブレットを店舗に設置し受付画面を開いておけば、本社での対応が可能となり、店舗でお客さまを待つ必要がなくなります。

家電売り場に設置すれば、店員さんが忙しいときにお客様を待たせることなく、オンラインで案内が可能です。

ほかにも、資料を画面共有しながらの対面商談や住宅の内覧会、展示会、個人レッスンなど、さまざまなシーンで活用できます。

完成までトライアンドエラーを繰り返しましたが、ようやく自信を持って発表できる段階まで辿り着きました。あとは売るだけです。これがまた大変ですが(笑)

うまく活用することで、業種ごとに抱える悩みを解決できると期待していますので、専門家にアドバイスいただきながら、さまざまな業種に特化したシステムへと発展させていきたいと思っています。

 

仲間たちと考え・取り組んだ事業の、今後の成長が楽しみ

取引先は道内企業が多いようですが、北海道への思いや、今後どう関わっていきたいかを教えてください。

なぜ東京に事務所を構えないのかとよく聞かれますが、北海道には大切な仲間がたくさんいますし、取引先との関係を考えると離れる気にはなれません。インターネット社会においては、仕事をする場所を選びませんしね。

創業当時に比べ、アイデアの精度やスピード感も上がりましたので、この先も北海道で活躍する方々と協力し合い、全国で求められるサービスや世界に通用するシステムを生み出し、発信していきたいです。

一緒に働くスタッフに、どのようなことを求めますか?

自分のいいところを1つだけでいいので、言えるような自信をつけてあげたいですね。そして同僚や取引先、家族、友人すべてに感謝でき、会社の方向性を信じて動ける人がいいですね。

僕としては、「ワクワクできること、一生懸命できること、感謝すること」を感じられる職場にしたいと思っています。それぞれの個性を大切にして、たとえ退職や転職をして違う会社にいっても通用するような社会人に成長して欲しいです。

今後クリエイティブの世界を目指す人材に、アドバイスをお願いします。

私はクリエイティブの世界にいながら商売人よりなので、あまり参考にならないかと思います(笑)

ただ「本気」になれる会社や仕事であれば、人生がより楽しくなるのではないかと思います。

今後の展望、将来のビジョンなどをお教えください。

オンライン商談という枠で、商品が網羅できたので、あとはこれらがどの業種にマッチするか絞り込み、全国に向けて売り出していきたいと思っています。

自分のアイデアをいくつ事業化できるかが自分でも楽しみで、仲間たちと考え・取り組んだ事業が大きく育っていくのを見られたら幸せかなと。

それと社員の独立や起業もサポートしていきたいです。
興味を持った仕事に本気で向き合い、大勢の人に喜ばれる仕事を作る楽しさを
みんなにも体験して欲しいですね。

取材日:2021年10月6日 ライター:八幡 智子

株式会社ライクネス

  • 代表者:大居 由人
  • 設立年月:2015年9月
  • 事業内容:映像制作業、システム開発業
  • 所在地:〒064-0620 札幌市中央区大通西22丁目1-23 ル・クラシック22Bld.2階
  • 電話 :011-215-0013
  • URL:https://www.likeness.biz/
  • お問い合わせ先:上記の「お問い合わせ」へ

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