名古屋エリアの販促No.1企業を目指し躍進する株式会社スズキモダン
名古屋を拠点に、企業の頼れるパートナーとして企画からデザイン、効果測定までを行うデザイン事務所株式会社スズキモダン。以前に仕事をしたことがある本記事の筆者は、同社の高い美意識と、マーケティング戦略に基づいたロジカルな仕事の進め方には目を見張るものがあると思っていました。
今回取材の機会に恵まれ、ユニークなスキルを持ったデザイナーやディレクター陣をまとめる、代表の鈴木友章(すずき ともあき)さんに、スズキモダン起業までのいきさつや会社の強み、チャレンジ、広告業界への思いなどを伺いました。
広い世界に飛び出したいという気持ちで、広告業界へ
学生時代の夢を教えてください。
家庭科の教師をしていた母の影響もあって、学生当時は教育者の道を志していました。中学時代に海外からホームステイの留学生を受け入れたことで英語に興味を持ち、外国語大学へ。念願の教員免許も取得しました。しかし教育実習を通じて、自分には向いていないなと。(笑)その後の模索で“活躍の場を限定しない”仕事がしたい気持ちが募り、就職活動を始めました。
そこで広告業界を選んだのはなぜでしょうか?
もともと映画が好きだったので最初は映画関連の会社を調べまくりました。そこから選択肢がCM制作会社にまで広がり、さらに広告会社にも興味を持ちました。広い案件を扱う広告会社に入れば映画製作委員会で映画の仕事にも携われそうだし、CMも作ることができる。やりたいことがなんでもできそうだと感じたんです。
就職してから独立にいたるまでのいきさつを教えてください。
新卒で入った広告会社には企画営業職として2年半在籍しました。とにかく忙しく、夢見ていた映画やCMの仕事に携わることはできませんでしたが、学びが多く刺激的な毎日だったのは間違いありません。特に「広告物を作る」プロセスに熱中し、営業の立場ながらキャッチフレーズやデザイン構成までを自身で組み立てていくなかで、原稿完成まで自分の手で担えるグラフィックデザイナーに興味を持ちデザイン会社へ転職しました。
そこでデザイナーとして2年、次に名古屋の大手コンビニやドラッグストアチェーン、スポーツ用品販売チェーンの戦略を担う販促会社のデザイナー兼ディレクターとして2年の経験を積んで、27歳でフリーになりました。デザイン会社では実務を吸収し、販促会社では外部ブレーンとの協業、ディレクションのスキルやマーケティングの最前線を学ぶことができましたね。また、ものやサービスが売れる仕組みを追求するきっかけになりました。
独立してから今までの道のりも教えてください。
独立した年には、結婚・出産という大きなイベントもありました。独立後の数年は苦戦して銀行の残高が3,000円を切ることもありましたが、3年目くらいに現在もお付き合いが続くビッグクライアントとの出会いがあり状況がいい方向に変わりました。
フリーから法人になり物量が増えていくと、責任も大きくなり1人では会社が回らなくなったので仲間を募っていった結果、仕事として携われる範囲が徐々に広がっていきました。そしてここ数年で「自らが考えた企画を、自らのデザインと共に提案する」という独立当初に掲げた目標が実現できる組織になったと感じています。
ビジネスの85%がクライアントとの直接取引
会社名「スズキモダン」に込めた想いは?
英語のモダン(modern)という言葉には「現代的」という意味があるのですが、たとえば今この瞬間の「モダン」という言葉は令和時代の現代的なものを指しますし、未来のとある時点で「モダン」と言えば、その時代のその瞬間を示します。「モダン」はいつの時代も「今」を示すはずなのに、時の流れとともにアップデートされていく言葉で、その感覚がとても好きで名付けました。その時代にマッチした最適解で仕事を進めていきたい、という思いが込められています。
事業内容と会社としての強みを教えてください。
グラフィックデザインを中心にビジネスを行っていますので、デザインが機能的で美しいことは当然です。加えて、なぜこのデザインなのかの理由や根拠、そしてデザイン会社としては珍しくマーケティング戦略の提案を必ず加えています。
プランニングから施策の実行、効果測定までを行い、数字から逃げないことで名古屋エリアの販促ナンバーワン企業として頼られる存在になり、そうあり続けることを目指しています。
弊社の強みはビジネスの85%以上が直接取引という点です。クライアントとデザイナーが同じテーブルで意見交換をしながら、熱量あるものづくりがしたいという思いから、クライアントとの直接取引を大切にしてきました。
おかげで多くの企業と長年にわたる良好なパートナー関係が続いています。私たちが役に立っていることをクライアントが実感してくれなければこの関係は続かないと思うので、満足いただける価値を提供できていると感じています。
案件ごとにデザイナーとディレクターがチームを組んで課題解決に向き合い、ディレクター陣による充実した分析シートも作成しています。そしてデザイン提出時には、言葉にした企画意図のメッセージをつけ加えることを忘れません。これはデザイナーの責任を表すものであると同時に、クライアントの担当者さまが社内承認を受けやすくするための配慮でもあります。
広告制作以外にも多彩なチャレンジをされていると伺いました。
ビジネスの20%の時間とお金は、自分たちの手が届く領域を広げるためのチャレンジに使うことにしています。避難所生活に役立つ50の機能をパッケージにした支援キット「HUG+KUM(ハグクム)」を自社開発してカンヌライオンズに出品し、社員全員でフランスまで行って世界最先端の広告を体感しました。
また地域の広告業界を応援する思いで、コピーライターズクラブ名古屋の年鑑制作を担う活動をしてきました。東区白壁の事務所の一角は、地域のフリーランスクリエイターのレンタルスペースとしても開放しています。
そして今は岐阜県多治見市にある山本木工所さんとの共同出資で、無垢のヒノキ材を使ったキャンプ用品を開発し、クラウドファンディングを行っています。山本さんの精巧な木工技術によって、メスティン(キャンプ調理に使う飯ごう)にピッタリ収まるサイズに加工された、檜の一枚板でできた木器(山本木工的野営具 ひのきのうつわ)は、芸術作品のような美しさがあります。
波紋が広がる動きをしよう!
仕事を進めるうえで大切にしていることは?
スタッフとよく話をしているのは「波紋が広がる動きをしよう」というテーマ。それぞれのスタッフが各案件で経験値を高め、積極的に人と会うなど波紋が広がるようなアクションをしていけば、私たちが関われること、役立てることが自然と増えていきます。
また、好きな人や好きな分野の仕事に携わることを大切にしています。好きな相手や物事のためなら自発的に動けますし、何より楽しい。好きな所に飛び込んでいけば、ビジネスとして成立する関わり方はその後からでも見つけられます。私が広告会社出身であることに関係があるかもしれないですが、課題解決志向が強く、考えて、考えて、考えることを大切にしています。考えの浅い企画や表面的なデザインには中身がない気がして、魅力を感じません。
クライアントに対してどのような存在になりたいですか?
理想は、商品やサービスのことを一番知っているクライアント自身が、自らの広告・宣伝活動のすべてを行うことだと思っていますが、実際には難しいですよね。
広告を専門としている私たちの役割は、多くの企業の宣伝サポートを通じて身につけた経験やノウハウを、次に必要とするお客さまに最適解で提供することだと思います。綺麗なデザインを納めれば喜んでもらえたのは昔の話。現在は、マーケティング視点の施策提案と明快なデザイン、そして何よりクライアントが目指す目標値に対してのコミットが求められていると感じます。期待は大きいです。
クライアントの利益や成長を考えずに自分たちだけの利益を考える組織にならないよう、誠実な仕事を続けていきたいですね。自分たちが身につけた経験やノウハウを、それを必要とする人に届けたいという思いで、「やさしい販促本」という40頁のお役立ち資料を、自社サイトからダウンロードできるようにしました。100名規模の企業の宣伝部向けとしていますが、商品やサービスの販売戦略に関わるビジネスパーソンすべてに有用な情報だと思います。
この先、どんな会社にしていきたいですか?
会社としての今の状態や方向性はすごくいいと感じています。スキルに個性と特長があるスタッフの集合知でできている会社です。創業当初は5〜6名くらいの少数精鋭の集団が理想だと感じ、採用時には机に星のマークを指で描いて、それぞれの角を担う人材を求めていると話をしてきました。それぞれができることを広げていけば、会社としてやれることも広がっていくイメージでした。
しかし、その規模を達成した今は、さらにメンバーを増やして、もっと世の中の役立ちたい、という気持ちが芽生えています。もともと広い世界に飛び出したくて広告業界に入りましたし、まだまだ経験したいこともたくさんあります。きっとよくばりな性格なんですね(笑)。
取材日:2021年9月8日
株式会社スズキモダン
- 代表者名:鈴木友章
- 設立年月:2013年5月
- 資本金:5,000万円
- 事業内容:グラフィック・パッケージ・プロダクトなどのデザイン企画・制作、イベント・ブースの企画・制作、制作物の印刷・製本、「HUG+KUM」の企画・販売など
- 所在地:白壁事務所 〒461-0011 愛知県名古屋市東区白壁2-1-30 4F
- 電話番号:052-253-5534
- URL:https://s-modern.com
- お問い合わせ先:https://s-modern.com/contact/