職種その他2021.04.21

風向きを読み取りながら、柔軟に会社の形を変えていくポロワッカ

札幌
株式会社ポロワッカ 代表取締役
Kenji Singu
新宮 賢治

福祉・不動産・クリエイティブと、多彩な分野に挑戦して成果を上げている「株式会社ポロワッカ」。直感に従い、世のなかの動きに柔軟に対応しながら、会社の形を変化させてきた代表取締役の新宮 賢治(しんぐう けんじ)さんに、事業に取り組む姿勢についてお話を伺いました。

 

転職スパイラルを断ち切るため、自身で会社を設立

会社設立以前の経歴について教えてください。

東京の 大学卒業後にそのまま商社へ就職し、審査部門に在籍していました。そこでは、あらゆる国の状況を調べる「カントリーリスク」の分析や与信管理など、経営層の判断に影響を与える情報収集を行っていました。

東京は楽しく刺激の多い街でしたが、頭のどこかで“長く生活する場所ではない”と思っていたんでしょうね。結局2年ほど勤めたのち、札幌に戻ることを決めました。Uターン後は、ゲーム会社やIT関連会社などに勤務し、さまざまな経験を積みました。

起業したきっかけを教えてください。

会社勤めを続けるなかで、次第にそのスタイルが自分に合わなくなってきたんです。たとえ転職をしても、また転職をするのではないかと考えたとき、だったら起業をしてしまえば、辞める選択肢がなくなると思い、会社を設立しました。

起業後、最初に取り組んだのは、札幌市内のシェアオフィスの一角を借りること。それから 、さて次に何をしようかと(笑)。起業が第一の目的でしたので、どんな仕事をしようかと、毎日オフィスにこもっては模索していましたね。

その結果たどり着いたのが、シニア事業だったんですね。

そうですね。ちょうど「サービス付き高齢者住宅」の新制度がスタートした頃で、札幌でもどんどん高齢者住宅が建ち始め、これからも増えていくだろうと見込まれていましたので、そこに注目したんです。

住まいというのは生活の基盤ですので、選ぶ際には誰でも慎重になります。さらに高齢者住宅の増加、つまり選択肢が増えると住まい選びへの悩みも増えます。

そこで相談役やコーディネート役になろうと、(札幌)市内の白石区に事務所を借りて、高齢者を対象にした住み替えサポート事業をスタートさせました。

社名の「ポロワッカ」とはどういう意味ですか?

地域に密着した仕事をしたいと思ったので、ポロは札幌の「幌」にかけました。これは、アイヌ語で「大きい」を意味します。ワッカは輪ですね。大きな人の輪を作るお手伝いをしたいという思いを込めて「ポロワッカ」と名付けました。

高齢者の住み替え相談から不動産業へと広がりを見せる

住み替え相談の顧客はどのように獲得していったのですか?

高齢者住み替えガイドとして検索Webサイトの「暮らそっか https://www.sakouju-guide.com/ 」を立ち上げました。まず当時は住み替えガイドサービスが今ほどありませんでした。ありがたいことに新聞やラジオで取り上げていただき、それが話題になって、サイトを見たご家族やケアマネージャーからの問い合わせが増えていったんです。

そこからどのように不動産業につながったのですか?

住み替えのご相談にのっていると、マンションや一軒家など、ご自宅を売却したいというご相談が多く寄せられるんです。ただ高齢者のなかには、ご自宅にいろんな人が出入りするのを嫌がる方も多く、まず私がご依頼を受けます。そして連携先の会社に委託していました。

そのうち、仲介ができれば、お客さまのご要望によりスピーディーに対応でき、さらには収益にもつながると思うようになったんです。ただ、そのための人を雇う資金がありませんでしたので、それなら自分でやろうと思い、必死で3カ月間勉強して、2015年に宅地建物取引士の資格を取得しました。

資格取得が顧客獲得や業務のスピードアップ・収益の増加につながりましたか?

そうですね。不動産仲介の仕事はかなりスムーズに進むようになりましたね。さらに事務所を白石区から、札幌の高級エリアである中央区の円山に移し、現在は宅建士の資格を持つスタッフが増えたのもあり、より多くの方にご対応できるようになっています。

住み替えサポートをしてきたノウハウを生かし、さらに幅広い年代のお客さまのお役に立てるよう、高齢者に特化した不動産から、一般住宅の売買や賃貸の仲介をする不動産業へと変化しつつあります。

 

手厚い対応でWeb広告事業でも信頼を勝ち取る

Web広告運用事業へと展開するきっかけについて教えてください。

きっかけはスタッフの提案です。Web広告に関する知識や、やりたい意欲を持って提案してきましたので、それがきちんとビジネスにつながるなら挑戦してみればいいと思い、2019年に事業としてスタートさせました。

勝算があったんですね。

どうでしょう(笑)。私はどちらかというと、データよりも直感を信じるタイプなので…。論理的に考えるのは苦手で、今まで直感を信じて会社の方向性を決めてきましたから、おそらくいけると思ったんでしょうね。

Web広告はどのように顧客を獲得しているんですか?

こちらから営業するよりは、お取引先からのご紹介が多いですね。社内では“手厚く親身な対応”を徹底しております。そこが評価されたのか、ご依頼の数は伸び、お取引先のジャンルも広がっています。Web広告の運用代行サービスから始めて、なかにはWebサイト制作へと発展するものも少なくないですね。

手厚い対応とは、具体的にどのようなことですか?

まずWeb広告を打つことによって、見る側がどういうデザインやレイアウトに反応しているか、どの年代に響いたかといったデータを拾い、その結果をフィードバックします。そこから、高い費用対効果を考えて次のアクションを判断し、ご提案をしていきます。

ただし、ご相談いただいた段階で、Web広告での効果が期待できないと判断した場合は、その旨を伝え、よりその商材が生きる別のアプローチの仕方をご提案するなど、お客さまの求めることをきちんと形にし、ご満足する成果を出せるよう取り組みます。

 

 

会社の強みを生かし、障がい者向けの事業を展開

Web広告事業と同じ年、障がい者グループホーム「イコロホーム」も始められましたよね?

現在は、ダイバーシティ(多様性)やインクルーシブ(支えあう)といった考え方のもと、さまざまな背景を持った人たちを巻き込んでいく社会が求められています。私自身、国籍や学歴は問いませんし、障がいもマイナスにはならないと思っていますので、そういった価値観を体現するような事業を会社として進めたいと思っていました。

グループホーム「イコロホーム」( https://porowakka.co.jp/welfare )は家を提供し、その人が自立した生活をするためにソフト面のサポートをするものです。ハード面の不動産業は既に手掛けていますので、会社としての強みも生かせると思い、取り組むことにしました。

円山地区でのサービス提供にこだわったのには、何か理由がありますか?

円山地区は札幌市のなかでも住環境が充実しているため、障がいを持つ方にとっても暮らしやすいのではないかと考えました。

昨年、これまでの事業所をそのまま福祉部門とし、不動産部門とクリエイティブ部門を近くの新事業所に移しましたが、引き続き事業所と施設をこの円山エリアに集約することで、何かあったときにすぐに対応できるとともに、より質のいいサービスが提供できると考えています。

全く異なる事業を統括するのは大変ではないですか?

私は飽きっぽいので、何かに特化する方がストレスです。それよりは、ジャンルの異なるものを同時進行する方が自分の性分に合っていますね。

自分の役割は、うまく運営するために、各々のセグメントにスペシャリストを配置して、その人が能力を発揮するための環境を整え、サポートし、やる気がでるように励ますことです。

そのためにも、普段からスタッフ1人ひとりとの対話を心掛け、きちんと意見や考えを聞き、理解するようにしています。

それぞれの事業において、新型コロナウイルスの影響はいかがでしたか?

コロナによって、世の中はリアルからオンラインにシフトしましたよね。社会的にもWeb広告やWebサイトのニーズが高まりを見せ、それに伴って発注数やお取引先も増えました。

グループホームはコロナ以前に動いていましたので、順調に部屋が埋まり、棟数も増えていきました。これがもしも1つの事業だけでしたらダメになっていたかもしれませんが、おかげさまで会社としては大きなマイナスはありませんでした。

 

世の中の流れに柔軟に対応し、責任を持って仕事に取り組む

一緒に働くスタッフにはどのようなことを求めますか?

ひとことで言うと「当事者意識を持つ」ですね。何かが起きたとき、まさかのときに人のせいにせず、自分に何が足りなかったか、もっと適切な対応ができていたのではないかときちんと省みて、それを次に生かせるスタッフがいいですね。

人のせいにしてしまうと、結局失敗から何も学べません。失敗が次に生きると組織全体も成長し、発展していけるイメージが持てますので、何事にも責任を持って取り組んでほしいと、常々伝えています。

今後のビジョンについて教えてください。

明確なビジョンと問われると、実はないんですよ。周りからは「枠に収まらない」「よく分からない会社」と言われていて、私自身もそう思っています(笑)。

でも、それがうちの会社のスタイルなので、それを強みにやっていこうかなと。2021年春時点の状況で感じているのは、いつなんどき、意図せずに環境が変化しても、風が吹いてくる方角を読み取って、社員の意見にも耳を傾けながら柔軟に会社の形を変えていく。それが、生き残っていくための最善の方法じゃないかということです。

これまでも、その柔軟性が会社を成長させてきたんですね。

私は“柔軟”こそが大切だと思います。思いがけない相談を受け、やったことがないけれど挑戦してみて、なんとかやり切れたとき、「これは他のクライアントにも流用できるかもしれない」「世の中にこういうニーズがあるんだ」という“気付き”が生まれます。

今までの経験を振り返ってみても、風向きを読みつつ柔軟に、やれることをやって成果を出していけば、自然と次へつながっていくのだと思っていますし、これからもその姿勢で進んでいきたいと思います。

 

取材日:2021年3月5日ライター:八幡 智子

会社名株式会社ポロワッカ

  • 代表者名:新宮 賢治
  • 設立年月:2013年2月14日
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:クリエイティブ事業、不動産事業、福祉事業
  • 所在地:〒064-0912 札幌市中央区南2条西24丁目2-17河村ビル1F
  • URL:https://porowakka.co.jp/
  • お問い合わせ先:電話番号/FAX011-624-0660/011-624-0661

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