イマジネイティブ・ムービーズの確信。どんなに時代が進歩しても、大切なのは「企画力」と「気遣い力」

新潟
株式会社イマジネイティブ・ムービーズ 代表取締役
Yuya Uchida
内田 雄也
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2013年4月に設立以来、テレビCMを中心とした新潟では珍しい映像制作会社。

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社内の編集室。自社で企画~納品までワンストップでの映像制作が可能です

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社内の撮影スタジオ。できる限り自分たちでできることは完結させています

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演出や撮影シーンに合わせた機材選びや現場づくりも、いいものをつくる大事な仕事。

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少数精鋭だからこそチームワークが大事!

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全員でアイデアを出し合う企画力が強み!

独立を目指して若い時を修行と位置付けたり、今や下積みなしでデビューするクリエイターもいるくらい、クリエイティブの世界では「独立」は身近な働き方の一つです。

しかし、新潟の株式会社イマジネイティブ・ムービーズの内田雄也(うちだ ゆうや)代表取締役は、ずっと企業クリエイターとしてCM制作や特殊映像の制作を作り続けるつもりだった中、2013年、なんと50歳の時に独立を決めました。

映像業界歴約35年。大きく変わっていく業界の常識と、歳を重ねても変わらないCM制作への情熱。それらを携え活躍し続けてきたからこそ導き出される言葉には、クリエイターが心に刻みたくなる活躍のヒントがたくさんありました。

 

「最新の機材で面白いものを作り続けたい!」50歳にして独立

内田代表は、映像業界にいつ頃から興味を持たれたのですか?

高校の文化祭で2回映画を撮って、その時に監督を務めたのが映像制作に関わった最初の経験です。初めて作った2年生の時の作品が酷かったんです(笑)。どうしてそんなに酷くなったのかを知りたいと思い、それから映画やドラマの撮り方を研究するようになり、3年生の時はもっといいものを作ることができました。その過程が面白かったんですね。高校卒業後は東京の理系の大学に進学して、2年後に教員を目指して新潟の大学に編入しました。大学でも映研サークルに入って、映像制作会社でアルバイトもしたりと、常に映像に関わっていました。

映像制作のどういったところに面白さを感じられたのでしょうか?

技術が分かっていく面白さ、そして普段は行けないようなところに行ったり、見られないものを見たりして、画面の裏側を知ることが面白かったです。その経験の積み重ねと教員採用試験がうまくいかなかったこともあって、新潟の映像制作会社に就職することにしました。

映像業界で食べていくことを決められたんですね。就職してからのキャリアアップはスムーズでしたか?

僕は今59歳で、新卒の当時は1980年代、まだ映像制作はデジタルではなく、フィルムを回していた時代です。だから撮影現場にいても、カメラマン以外どんな風に撮れているのか分からず、後日オンエアーを見た時に「あれはこう撮っていたんだ!」と理解できて、カメラって、現場って面白いなとのめり込んで行きました。

その後、CMづくりに興味が湧いて転職しました。この2社目の時にテープをダビングして編集する「リニア編集」から、デジタルを使った「ノンリニ編集」(ノンリニア編集)へと移行する、業界の大きな転換期を迎えます。できることが一度に増えて、もう眼から鱗でしたね。元々が理系で機械が好きだったこともあり、もう「これがやりたい!」ってなりました(笑)。

勤めていた制作会社で、ノンリニがすぐにできるようになったんですか?

それは、かないませんでした。ただ1社目に勤めていた会社が、新たに1億円する最新のノンリニ編集機を導入するということで復帰しました。ここで10年くらいゼロからCM制作の部門を育てて、そこから会社が合併してさらに7年勤めてから独立しました。

キャリアを伺っていると、あまり、内田代表の中で独立願望はなかったように感じます。

全く独立するつもりはありませんでした。そんな中、前職に勤務していた時にノンリニ登場時くらいの、大きな業界革命が起きるんです。それがビデオカメラではなくスチールカメラで映像が撮れる、キャノンのカメラ「5D」の登場です。撮影機器と技術の進歩、そして編集機器の進歩もめまぐるしくて、それならば好きな機械を買って現場で好きなことをし続けていきたいなと思って(笑)、2013年、50歳の時に独立しました。

 

どんなに技術が進んでも、CM制作の要は「気遣い」と「企画力」

現在のお仕事について、教えてください。

CM制作の企画から撮影、映像と音の編集、完パケしてプリントまで全部でできる「ワンストッププロダクション」であり、企画力と制作力の高さが、イマジネイティブ・ムービーズの最大の強みです。

私一人で全てできるし、他にスタッフが三人いますが、それぞれ強みが違っていて、プロデュースやディレクションなど役割は重なる部分や異なる部分があるものの、「企画」は全員でやっています。最低一人3案は出すことが基本ですね。面白い系やストーリーがしっかりあるものなど、それぞれ個性が出ていて面白いですよ。ブラッシュアップして全てクライアントに提案すると、意外なものがウケることもありますね。

映像制作全般ではなく、CM制作に特化しているのはなぜでしょうか。

伝えたい情報を15秒、30秒という短い時間の中に、ギュッと密度を高く編集できるところが好きなんです。短い映像でクスッと笑ってもらって、ちゃんと企業のメッセージが伝わるCMなんて最高じゃないですか?それに、面白いCMを企画して、それをどうやったら撮れるか思いを巡らせる作業が特に好きで、その企画を実現するために機械を買うのも好き(笑)。

そうやって積み上げていって仕上がったものがクライアントに喜ばれて、「CMを流すと売れる」と言われるとやっぱり嬉しいです。

作ることと機材がお好きなんですね。しかし同時に独立して特に会社にすると「経営」という面も避けては通れません。そういったスキルはどのように身につけられましたか?

新潟の映像業界は、正直予算が限られており、プロデューサーとディレクターの両方を務めなければいけないことがほとんどです。プロデューサーの仕事は経営者と似ていて、一つの仕事に対してどうやって人を巻き込みながらミッション達成に持っていくか考え行動するので、そこでの経験が生きているのでしょう。

映像制作する上で「新潟」という環境はどのように感じていらっしゃいますか?

長く付き合える外注のスタッフさんがいるので、頼もしいですね。現場もすごくいい雰囲気になるので、制作しやすい環境です。新潟はプロデューサーとディレクターを兼務するといいました。そうすると現場をまわるプロデューサーとしては、たくさんの人をまとめるための気遣いが大事になってきます。

以前この「風雲!会社伝」でインタビューされていた「Creative LAB.」の中村君はプロデューサーに徹してくれる人です。とても仕事をやりやすくしてくれるので、うちのスタッフも彼のような気遣いができるようになっていって欲しいですね。

今59歳だそうですね。長年クリエイティブの最前線で活躍し続けられる中で、モチベーションが落ちたり、心境の変化はありませんか?

「機械が好き」という気持ちは全然変わりませんね。新しい機械が出ると気になってチェックするし、若いディレクターの編集を見ていると、面白くて勉強になります。ビデオグラファーなど若いクリエイターがたくさん出てきて、かっこいいビジュアルだなと感心したり、その感性は脅威かなとも思いますが、そこに企画があるか?というところは気になります。しっかりと企画を練った映像を作れるところはうちの強みだし、そこはどんな時代になっても必要とされるところだと思います。

長年CM業界の変遷を見てこられた中でも、そこは普遍なんですね。

明らかに技術力や機械のスペックは上がっていますが、根本の「企画」の部分は、やっぱり変わっていないと思います。

 

WebとテレビCMは役割が違う。だからこそ、広く人に届くCMを作り続ける。

内田代表が力を入れているテレビCMは、成長を続けるインターネット広告に対して、右肩下がりであるのが現実です。これからの時代を生き抜いていく上で、Webとの関わりをどのように考えられていますか?

Webムービーのニーズが増えると思う反面、少なくとも僕が生きているうちはテレビもテレビCMもなくならないでしょう。もちろん見る年齢層は変わってきますが。CMはテレビをつけていれば勝手に目に飛び込んできますが、Webムービーは、自分から見に行く人にしか届きません。

役割がそもそも違うんです。広いマス向けのCMと、リアルターゲット向けのWebムービーでそれぞれ特化していくと思うし、その中で、やっぱりCMを作り続けていきたいですね。

実は去年新型コロナウイルス感染症のこともあって、先を見据えてWebと連動したサービスの導入を検討したことがありました。でも、それをうちがやるとCMを作る時間がなくなる。やっぱりCMを作りたいのが一番なので、思いとどまってよかったなと今は思っています。

時代の変化という意味では、「ローカルで働く」ということにも注目が集まっています。地方でクリエイティブを志す若手クリエイターに、新潟を拠点に30年以上第一線で活躍されてきた経験からアドバイスをお願いします。

これからの若手をどうやって潰してやろうか(笑)!?という冗談はさておき、技術も情報も格差がなくなり、東京ではなく地方でできるようになってはきたと思います。たださっきもお答えしたように、東京だったら分業になるプロデューサーとディレクターを兼務するなど、やらないといけないことが地方は多いのかもしれません。そういったところを楽しめたり、魅力だと感じられると、活躍の場は広がっていくと思います。

内田代表がお話しされるニュアンスから、イマジネイティブ・ムービーズには、ファミリーのような和気あいあいとした空気が伝わってきます。雰囲気作りは意識的にされていますか?

全くしていません(笑)!信頼しているので、基本的に自由で就業時間も縛ってはいません。スタッフには未経験の新卒の子もいます。経験はあるに越したことはありませんが、それはいくらでも後から磨けます。技術力も大切ですが、それよりも「気を遣えるか」が重要で、現場をスムーズに進行させる部分で大きく関わってくるし、そういうスタッフがいると会社の雰囲気にも自然といい効果が生まれると思います。

最後にお聞きします。イマジネイティブ・ムービーズで一緒に働きたい人には、どんなことを求めますか?

「何がしたいのか」が明確に持っている人がいいですね。目的意識や、これだけは譲れないという頑固さが一番大事だと思います。

取材日:2021年2月24日 ライター:丸山 智子

 

株式会社イマジネイティブ・ムービーズ

  • 代表者名:内田 雄也
  • 設立年月:2013年4月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:コマーシャル・Webムービーなど映像作品の企画・制作・撮影・演出・編集
  • 所在地:〒950-0087 新潟市中央区東大通1-7-8 アイ・エム第1ビル6F
  • URL:http://www.imovies.jp/
  • お問い合わせ先:025-383-8911 /  post@imovies.jp

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