デジタル3D映画に注目!

Vol.53
株式会社ワーナー・マイカル 広報部 久世弘美さん
ご存じですか? 映画業界は今年、2009年を、「3D映画元年」として、かなり力を入れています。日本でも『センター・オブ・ジ・アース』3Dや『モンスターVSエイリアン』が公開され、ヒット。秋以降には日本映画からも『戦慄迷宮3D』がリリースされ、12月にはいよいよジェームス・キャメロンの『アバター』が公開される。

「3Dなんて、こけ脅しでしょう」と冷めた視線の、そこのあなた。デジタル3Dは、昔あった赤青のメガネをかけるやつや、これまでのアナログ3Dとはちょっと違いますよ。むやみやたらに映画業界が元年を宣言しているわけではないと、わかってきた取材でした。
今回は、全国に60劇場を展開し、うち40劇場51スクリーンに3D上映システムを導入している株式会社ワーナー・マイカル(以下、ワーナー・マイカル)に取材協力いただきました。ワーナー・マイカルの3D劇場では、現在は3D劇場でアニメ『ボルト』公開中、9月19日からは『くもりときどきミートボール3D』、10月3日から、あの名作絵本「きかんしゃやえもん」(「とびだす!3D東映アニメまつり」<4本立て>)も3Dで劇場公開予定です。
■株式会社ワーナー・マイカルHP
http://www.warnermycal.com/

アメリカでは、アニメ作品は3D化が必須になりつつある。
日本にも、同様の動向が。

まずは、基礎知識。デジタル3Dとはなんぞや、である。人間は、離れた左右の目がそれぞれにものを見て、左右の視野角の差で立体感を感じている。そこにヒントを得て、右目だけに右目用の映像を、左目だけに左目用の映像を送って観客に映像を立体として認識してもらう原理はずっと昔から知られている。あの、赤と青のメガネをかける映画がそれ。アナグリフと呼ばれる。 デジタル3Dは現在、偏光式、シャッター式、分光式の3方式が実用化されているが、どれもがアナグリフに比べ観客の目への負担が少なく、作品全編を3D化できるようになっている。この春に日本で公開された『モンスターVSエイリアン』は、アメリカで、3D劇場公開数が2D劇場の半分以下だったにも関わらず全収益の半分以上を稼いだ。デジタル3D作品は映写環境がなければやすやすと2Dで公開できるのが特徴で、現行はDVD化の際には2Dで焼き付けられることになる。アメリカではすでにアニメ作品は3Dでつくられるケースが増えていて、観客の選択も確実に3Dに向いている。この傾向は、日本にも生まれつつあるようだ。

1秒間に144フレームの映像。方式の違いによって、
専用メガネの仕組みや大きさが変ってくる。

そんな中、2009年に全国に3D劇場を計51スクリーンにまで拡大し、デジタル3Dの時代に先がけているのがワーナー・マイカル。劇場に足を運んでしか味わえないエンターテインメントとして観客の間に3D映画が定着することを予見してのことだ。 ワーナー・マイカルの採用しているリアルD社の「円偏光方式」を参考に、3D劇場に必要な設備を見てみる。必要なのはまず、専用のDLPシネマプロジェクター。プロジェクターの前に円偏光フィルターを置き、円偏光をかけた映像を毎秒144フレームの映像をスクリーンに投影する。プロジェクターに映像信号を送るデジタルシネマサーバーも3D対応の専用機が必要。そして、投影されるスクリーンも専用のシルバースクリーンだ。設備投資には、ほぼ1500万円かかるという。

デジタル3D映画用のメガネ

デジタル3D映画用のメガネ

【広報部/久世弘美さんのお話】 この方式の長所は、観客にかけていただくメガネがシンプルで軽量であることです。他方式のものには装着感が強く、なかなかなじめないお客様もいると聞いています。また、このメガネは安価なため、記念に持って帰っていただける点も人気の一端を担っていると思います。

3D映画元年は、
映画界全体の新次元の幕開けになるかもしれない。

たぶん、もの凄く説得力があるのは、ジェームス・キャメロンの動向だろう。『タイタニック』で空前の大成功を収めた大監督は、ほどなくして「次の作品は3Dだ」と宣言。最初は期待もしていたが、その後約10年見事に沈黙して、いつしか忘れかけていた。筆者などは、実質引退状態かと思い込んでいたほどだ。そのキャメロンが、有言実行の徒であることを証明して見せ、この12月に全世界同時公開する『アバター』に期待が膨らまないわけがない。聞くところによれば、3D技術の開発に徹底的にこだわったためにこの年数を要したらしい。デジタル3D元年の幕引きが、映画界の新次元の幕開けになりそうな予感なのである。

【番組企画部/小林直也さんのお話】
以前の3D映画は、よく、「子供だまし」や「こけ脅し」と言われたものです。しかし、デジタル3Dは、色合いも自然で観客が視野を合わせる作業に苦労がないため、全編3D化できますし、演出の可能性も限りなく大きい。当社がデジタル3Dに期待を寄せるのは、そのためです。専用の撮影技術、撮影機材の開発もアメリカや日本でかなり進んでいますし、デジタル時代ですからたとえばまったく普通の2D撮影作品を編集で3D化することも可能です。2010年以降、3D作品はもっともっと増えるでしょう。
いずれにしろ、当面、3D映画は劇場でなくては味わえない楽しみですから、多くの方に足を運んでもらえると期待しています。

小林さんはまた、「音が出るようになり、色がつき、いよいよ立体感が表現できるようになった。3Dは、映画の歴史的な進歩のひとつと言えるでしょう」ともおっしゃいました。なるほど、そんな気がする。映像演出をめざすみなさん、これからは演出の重要なファクターのひとつに3Dが加わってきそうですね。

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