パラダイムシフト

Vol.160
CMプロデューサー
番長プロデューサーの世直しコラム
櫻木 光

 

ごく稀に竹の花が咲く時がある。

竹の花?竹に花なんかあったっけ?と思いました。

そりゃあそうです。竹の花は120年に一回だけ咲く。と言われています。

120年はオーバーだとしてもそれくらい稀なことらしいです。

 

自然の現象にもよくわかってない事がたくさんあります。

不思議なことに竹の花が咲くと、その後、その竹林全部がいっせいに枯れてしまうそうです。

花が咲くきっかけはまだ解明されていないそうですが、

なんらかの外敵の攻撃を受けたり、気候変動などがきっかけだと言われています。

 

一つの竹林は、実は一つの根っこでつながっているそうです。

だから竹の花がいっせいに咲いた後の枯死の仕方は、

古い竹も新しい竹もこれまた全部いっせいに枯れてしまう。丸ごと全滅するわけですね。

その後、完全に新しく生まれた竹がニョキニョキ生えてくるそうです。

元の竹林に戻るのに10〜15年かかるんだそうですが。

 

中途半端な再生ではなく、全部死んで、全部生まれてくる。

ある意味壮絶です。昔の人は不吉な兆候と見ていたでしょう。

 

 

パラダイムシフトという言葉があります。

 

パラダイムとは一般用語としての使い方は「規範」や「範例」を意味する単語ですが

大きく解釈された「パラダイム」は

「認識のしかた」や「考え方」「常識」「支配的な解釈」「旧態依然とした考え方」

などの意味合いで使われている。と書いてあります。

つまり、それまでの一般的な考え方、と言うことなんですね。

それが何かをキッカケにがらっとシフトする時がある。

 

ある時、古い一般的な常識によって問題を解決していると、どうも解決できない問題や外敵が出てくる。

そしてそれを解決すべく研究や対策が進むと、その古い常識は違うんじゃないか?という新しい考え方が出てくる。

そして新しい考え方が問題を解決し始めると、それが新しい常識となっていく、というか、がらっと変わる。

それがパラダイムシフト。

地動説から天動説みたいな話。最近だとアナログからデジタルとか。

日本で言うと明治維新とか太平洋戦争の後とか。

 

人間は歴史上それを繰り返してきたんですね。

 

竹の花が咲く。花が咲くと実がなり、タネができる。

竹は生えてから時間が経つと、繁栄に行き詰まり、タネだけ残して全部死んでしまう。

で、新しい世代に種の生き残りをかけて全てを託すんですね。

なんて潔いパラダイムシフトなんだろう。と思いました。

 

なんでそんなこと考えてるのかっていうと

新型コロナウィルスとその一連の動向は、 人類がパラダイムシフトを起こすのに充分な外敵なんじゃないかと思うからです。

今のところ打つ手が無いんだもん。

 

けっこう、おっさんと言われる歳まで生きてきましたが、こんなことは初めてです。

ディフェンスをするしか無い。攻撃の手段がない。殴られっぱなし。

映画や小説や海外ドラマでは見てきましたが、本当にこんなになるとは思いませんでした。

これを書いてる今日は緊急事態宣言前夜です。真っ最中。

これからもいろんなことが起きるでしょう。

 

アナログからデジタルに生活の様式が変わっても、特に仕事の仕方の概要は変わっていません。

変えた方がいい利点は数多くあるのに変えないできました。マシンが違うだけ。

まだ不完全なとこも含めて、うまく使いこなせていないのかもしれません。

AI AIって偉そうに、こういうときにはまだ役に立てねえか。ワクチンの作り方を言ってみろ。

 

家から出るなと言われて、テレビ電話で仕事をするようになった。背景はボカしますよ。

家にずっといるのに慣れてない。会社に行かないとなんだか安心しない。

だけど、どう見ても家で仕事できちゃうなあとも思う。

仕事はそれだけではないから面白かったり辛かったりするんだけど、純粋に業務だけなら家でスマホでできる。

引きこもりと言われた人たちが一番生き残る術を持っているのかもしれない。

 

政治は言うまでもなく、どうしたらいいのかわからないみたい。

こういう時も利権が絡み、思いつきみたいな施策を発表しては失笑を買う。

人命と健康を優先せずに右往左往して、旧パラダイムのオリンピックや年度末決算にしがみつき判断が後手後手。

何をやっても否定され、揚げ足を取られ、もうボロボロ。

かわいそうに、タイミングが悪すぎですね。平時ならいばっちゃって強いんでしょう。

経験したことないから想像力も足りない。

 

ついでに言うと政治家がいばっていられるのは、国民から集めた税金の再配分をする権利を持っているからでしょ?

それがこんなに嘘ばっかりついて、段取りが悪く、

再配分が下手で元々お前らの金じゃないのに、非常事態にこんなにケチだと誰も敬わないですよね。

学校の勉強がよくできても、若い頃に悪いことも喧嘩も、貧乏も恋愛もしたことのない奴らが、危機に直面してトンチンカン。

誰も未体験の難しい局面ですけどね。

 

自分も含めて、長い間、何も起きなかったから、ボケーっとしたやつばかり。

だけど、一応国のオペレーションを職業にした奴らがそりゃねえだろうってことばかり繰り返す。

 

テレビの放送の内容なども、視聴者の方がネットのおかげで情報が多いし、人の感情にも触れているので、

建前と、言っていいこと悪いことの規制の多い電波の放送は、

時代にとっくに置いていかれているのが痛々しいくらいでもある。

ワイドショー。コメンテーター。

CMなんて平和なときにしか機能しないからもっと疎外感を覚える。

 

そうやって政治も経済も医療も教育も広告も放送も、旧パラダイムのままでちゃんと進化の準備していなかったことがバレちゃった。

何も変わってこなかった。

こんな全世界で同じ脅威に立たされると、ほんとに日本のシステムの老朽化は目立ちます。

 

そういう打つ手のない新しい敵に直面した時、又は圧倒的な自然の前に自分たちの無力さを思い知る時、

今までのやり方ではダメなんだなあと感じる。

 

今まで大事にしてきた価値が崩壊してどうでも良くなって、人生観から変わってしまう。

僕、地位が高いんです。金持ってます。いい車に乗ってます。いい服着てます。いい時計してます。

命の危険が迫って、医療が崩壊すると言っているときには全く無意味ですね。

次は宇宙人が攻めてくるかもしれません。

 

僕らはニョキニョキと生え放題だった古い竹林だったのかもしれません。

その時がきてしまったのか?昭和平成はパラダイムシフトされちゃうのか。

 

だけど、黙って枯れるわけにはいきません。

ウィルスなんかに負けるのはシャクだからです。

そのためには、この危機をちゃんと踏ん張って乗り越えて

ウイルス後の社会、パラダイムシフトの後の社会をちゃんと想像して、どう変わらなきゃいけないか、

事実を受け入れて進化しなきゃなあと思うのです。

 

僕なんかもうすぐ枯れるけど、ちゃんと若い世代の肥やしにならないとなあ。

大事なことはコロナ野郎に教えられた次第です。それが大事。

大きくいい方に変わるキッカケになるんじゃないかとは思います。

プロフィール
CMプロデューサー
櫻木 光
プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP