深掘りシンガポール ~クリエイターエコノミー~

Vol.16
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
Junya Oishi
大石 隼矢

Fellows Creative Staff Singapore PTE. LTD.代表の大石隼矢(おおいしじゅんや)です。

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
第16回目のコラムは、2022年個人的注目ワード、『クリエイターエコノミー』について書いていきます。クリエイターエージェントを名乗っている身としては、知らないでは済まされないと思っているので、このコラムを書きながら自分自身の知識をアップデートしていきます!

クリエイターエコノミー(Creator Economy) とは?
クリエイターによる収益化が行われる経済圏

統一された「クリエイターエコノミーはこれだ」という定義を見つけるのは簡単ではありませんでしたが、当コラムを執筆するにあたり参考にした7つの記事を読んだ結果、クリエイターエコノミーとは2種類の登場人物が構成するものだとわかりました。1つはクリエイター個人、もう1つはその個人の活動をサポートする企業です。
ここで言うクリエイターとは、映像クリエイター、グラフィックデザイナー、ゲームプランナー、等のコンテンツクリエイターやミュージシャン、陶芸家、建築家。また、SNSインフルエンサー、ユーチューバーも含まれています。
一方の企業というのは、そういったクリエイターの活動を支援するツールやプラットフォーム自体を作り提供する側。YouTubeやInstagramに代表されるようなソーシャルメディアやゲーム実況で利用されることの多いTwitchMildomなどの配信サービス、Webサイト制作や動画編集、画像加工などのためにクリエイターが利用するツールを提供する企業が含まれます。
大きく分けてこの2者のグループの掛け合わせで生成された経済圏をクリエイターエコノミーと呼んでいるのだと理解しました。

■日本のクリエイターエコノミーの興り
コンテンツを産み出す人の垣根が消失

クリエイターエコノミーを紐解いていくと、古くはブログの時代に遡ります。私と近い年代の方々では覚えている方も多いと思いますが、個人でブログを書いてインターネット上にアップすることが流行した時期がありましたよね。アメブロやmixiなど。自分が思ったことや感じたことを書いて、見ず知らずの他人に読んでもらうことで影響力(インフルエンス)を得ていたブロガーと呼ばれる人たちもその時期にかなり多かった記憶があります。
2005年にはYouTubeが登場しました。初期のYouTubeでは素人による「おもしろ」動画が多くアップされていて、登場した当初は物珍しく私も観ていましたが、すぐに興味を失った記憶があります。
2010年にInstagramが登場する頃には、個人がソーシャルメディアのアカウントを持つことが概ね一般的になりFacebookやTwitterなどを含め著名人・有名人の公式アカウントも増えてきました。
現在ではYouTube自体のユーザーインターフェースも初期から比べると大幅にグレードアップしていますが、ユーチューバーというワードが注目されるようになったきっかけは2013年にユーチューバーのマネジメント事務所UUUMが誕生した前後からだったと思います。
それまでソーシャルメディアは、個人的な趣味や嗜好を写真や動画という形式でオンライン上にアップして友人同士で楽しむというスタイルでしたが、ユーチューバーが創作した動画で広告収入を得たり、インスタグラマーと呼ばれる大きな影響力を持つユーザーが次から次へと現れたりと、注目度も急速にアップしました。
際立った才能を持つ素人(個人)の勃興だけでなく、それを手助けしているプラットフォームの多様化が掛け合わさり、誰でも創作活動ができ、そこから収入を得ることも可能な時代に突入したように思います。これまでは一人の消費者や視聴者でしかなかった人でも、生産者や販売者になれる可能性が飛躍的に高まったと言っても過言ではないでしょう。コンテンツを産み出す人の垣根がなくなったことが日本のクリエイターエコノミーの興りだと個人的に分析しています。
一般人と既存の有名人の間に、「有名な一般人」というカテゴリができたような感覚です。私はテレビっ子でしたので、テレビで見ていた芸能人の方がユーチューバーの有名人よりも数倍上なのですが、ユーチューバーっ子にとっては違うのでしょうね。

■シンガポールのクリエイターエコノミーについて
最も登録者の多い国内ユーチューバーは・・・

ここまで日本関連の内容がほとんどでしたので少しシンガポールのクリエイター事情、ここではシンガポール国内のユーチューバーに関して触れたいと思います。
シンガポール人ユーチューバーを語るのであれば、JianHao Tanは外せないでしょう。現在アクティブ登録者数が約5.36M(536万人)を誇り、ローカルクリエイター界隈では最も成功した人物の一人でしょう。“11 New Students You’ll See in Every School“といった学生生活でのあるあるネタを題材にしているのですが、とにかく完成度が高いです。シンガポールの俳優やコメディアンを起用してドラマ仕立てになっています。そして正直、笑えます。日本人の私が観ても。JianHao Tanは現在28歳でありながらTitan Digital Media社のCEOでもあり、今後もシンガポール国内のクリエイターとして最注目の一人です。
Wah!Banana(1.3M)は人気のYouTubeチャンネルの一つ。テイストはJianHao Tanとも似ていますが、より日常の一般的なネタを題材にコメディータッチで描かれている動画コンテンツが多いです。こちらもシンガポールに住んでいれば「わかるー!」と言ってしまいそうな内容でとても面白いです。いわゆるYouTubeグループで、数名のクリエイターにより構成されています。
その他は、キッズ向けのLattu Kids(2.34M)やライフハック系のClicknetwork(1.2M)といった100万人以上の登録者数を持つチャンネルがあります。実は私もこのコラムを執筆するまではほとんど知らないチャンネルだったのですが、シンガポールには他にもたくさんの人気チャンネルが存在しているのです。

まとめ
今回はクリエイターエコノミーを切り口にその定義や歴史、シンガポール国内のユーチューバーについて触れましたが、書きたい内容のほんの一部です。次回はクリエイターエコノミー第2弾としてユーチューバー以外のクリエイターや日本とシンガポールのクリエイターエコノミーの考え方の違いについて触れたいと思います。

 

ソース:

https://www.aspirantsg.com/singaporean-youtube/

https://staseon.com/library/article_803/

https://signalfire.com/blog/creator-economy/

https://jp.techcrunch.com/2022/01/02/2021-11-23-small-creators-are-big-business/

https://creatorzine.jp/article/detail/2184

https://www.theheadline.jp/articles/450

https://www.straitstimes.com/life/entertainment/new-training-plan-to-help-local-digital-creators-announced

https://www.marketing-interactive.com/top-10-youtube-creators-in-singapore-that-audiences-love

 

プロフィール
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
大石 隼矢
1990年 静岡県焼津市生まれ。小さいころからサッカーに魅了され、日韓ワールドカップで来日したデイビッド・ベッカムの話す英語に衝撃を受け、自分も話せるようになりたい!と大学は外国語大学へ。2010年カナダ・ウエスタンオンタリオ大学へ交換留学。2012年株式会社フェローズ入社。ブロードキャスト・ビジュアルセクション。2020年4月にフェローズ初の海外拠点であるFellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.の責任者に就任。好きなバンドはOasis、最近の趣味はNetflixで英語学習、尊敬する歴史上の人物は吉田松陰と白洲次郎、好きな食べ物はカレーライスとらっきょう、嫌いな食べ物はかぼちゃと大学芋、みずがめ座B型、佐々木希とジェームズディーンと富岡義勇(鬼滅の刃)と同じ誕生日。
Twitter:@junya_oishi
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