職種その他2012.02.08

ボックス・パーク

ARTY FACT LONDON Vol.71
ARTY FACT LONDON コウヅマノエ

北京オリンピックからはや4年。時が経つのはあっという間ですね。 今年2012年はオリンピックイヤーということで、開催地であるここロンドンでも、じわじわと盛り上がりを見せつつあります。 私の周りでも、チケットを手に入れた話やオリンピックのボランティアをする話など、今年に入ってオリンピックに関する話題も心なしか増えてきたように思います。

ロンドン・オリンピックのメイン会場がある東ロンドンは、オリンピックのために新しい駅やビルがどんどん建てられていて、ここ数年で街の様相も大分変わってしまいました。私が初めてロンドンを訪れた90年代半ばの東ロンドンは、インドやパキスタン系の人が多く住むインド人街で、インド系のスーパーや飲食店が並ぶ下町情緒たっぷりのエリアでしたが、その後、アーティストたちが住み始めると、瞬く間にトレンディ・エリアとなってしまいました。

インド人街で最も有名な東ロンドンのブリック・レーン

インド人街で最も有名な東ロンドンのブリック・レーン

街角には凝ったグラフィティ。

街角には凝ったグラフィティ。

駐車場のフェンスには誰が作ったのか小さなアート作品が。

駐車場のフェンスには誰が作ったのか小さなアート作品が。

そして、このロンドン・オリンピックで再開発がさらに加速。昔の趣を残すいい感じのインドア・マーケットが、無機質でモダンな建物に変わってしまったりしたものの、このお洒落エリアの中心であるショーディッチ周辺には、昔から変わらない商売を続けるお店や、工夫を凝らしたユニークなお店が、まだまだたくさんあります。クイエーターやアーティスト、ファッション系などのお洒落さんの出没率もかなり高く、 ロンドン在住のおしゃれな日本人の姿もたくさんみかける、いつ訪れても面白いものがたくさん溢れているエリアです。

さて、そんな東ロンドンのショーディッチに、昨年末「ボックス・パーク」(http://www.boxpark.co.uk/)といわれるショッピング・モールが新しくオープンしました。通常ポップアップ・ショップとは期間限定のショップのことをいいますが、このボックス・パークは、世界初の「ポップアップ・モール」とうたわれる黒くペイントされた輸送用コンテナでできたお店が集まった期間限定のショッピング街です。 ロンドン・オリンピックのメイン会場がある東ロンドンは、オリンピックのために新しい駅やビルがどんどん建てられていて、ここ数年で街の様相も大分変わってしまいました。私が初めてロンドンを訪れた90年代半ばの東ロンドンは、インドやパキスタン系の人が多く住むインド人街で、インド系のスーパーや飲食店が並ぶ下町情緒たっぷりのエリアでしたが、その後、アーティストたちが住み始めると、瞬く間にトレンディ・エリアとなってしまいました。

ボックス・パーク2階から通りを見下ろした風景

ボックス・パーク2階から通りを見下ろした風景

ショーディッチハイストリート駅をでるとこのようにお店が見えてきます

ショーディッチハイストリート駅をでるとこのようにお店が見えてきます

2階へ続く外階段

2階へ続く外階段

7

2フロアーからなるこのモールには、ハイストリート系のブランドは全くなく、1階にナイキやリーバイス、ラコステなどお馴染みのブランドやロンドン発の若手ブランドを取り揃え、2階には、カフェやギャラリーがあります。

このボックスパークに入居している店舗は、現在合計で約60店舗ほどあり、今のロンドンのストリートスタイルを知るには絶好の場所となっています。 同じサイズとスペースの四角いコンテナを、各ブランドがどのようなディスプレイをして使っているのかを見較べるのも楽しいです。

今後5年は営業を続けるというボックス・パークは、一昨年に新しくできた「ショーディッチ・ハイストリート」駅の真横と立地条件もバッチリ。2階屋外には広いカフェスペースもあるので、ここで食事をしたりちょっとお茶することもできます。私が行った日は、日中の最低気温が氷点下と、とても寒い日の平日(しかも午前中!)だったので、お客さんの姿もまばらでしたが、ショーディッチは話題のクラブやおしゃれなバーが密集するエリアなので、駅近なボックス・パークは、人と待ち合わせをするのにも使えて便利かもしれません。

このボックス・パークの建物は、輸送用コンテナを店舗として使っているため、賃料も安くリスクも最小限におさえられているそうですが、建物自体の話題性は十分なのに,肝心の入居している店舗には、このエリア独特のアンダーグラウンドな感じがちょっと薄い…かな。開発会社としては、ロンドンの新進気鋭の若手デザイナーたちに、若者たちの間で話題にのぼるような面白いショップを作ってほしいと考えて建てたのでしょうが、その割には、ショーディッチならではのライブ感、趣向を凝らしたユニークな「知る人ぞ知るウワサのショップ」の入居が少ない気がしました。

このボックス・パーク、今後マンチェスターやバーミンガムなどでも展開する予定だということなので、今後どうなっていくのか、これからの展開に注目です。

Profile of コウヅマ ノエ

コウヅマノエ

女子美術短期大学卒業後、デザイン事務所勤務。その後、雑誌『エルジャポン』のデザイナーを経て、フリーのグラフィックデザイナーとして様々な雑誌のデザインを手掛ける。2003年に渡英し、ロンドンにあるRavensbourne CollegeでInteractive digital Media の修士号を取得。現在は南ロンドンで様々なプロジェクトに参加しつつ、ロンドン生活を満喫中

続きを読む
TOP