映像2021.05.06

英勉監督「『賭ケグルイ』映画第2弾は、新加入の藤井流星さんを含めたキャストのセッションが面白い」

Vol.026
『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』監督
Tsutomu Hanabusa
英勉
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勝つか負けるかの極限のリスクバトルで大人気を博し、2021年3月時点でシリーズ累計620万部突破のメガヒットコミック「賭ケグルイ」を英勉(はなぶさ つとむ)監督が実写ドラマ&映画化。

ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園に、“史上最狂”の敵が出現する映画版第2弾が『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』。“ギャンブル狂い”の蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)らが生死を賭けたバトルに挑みます。

本作は夢子を演じる浜辺美波(はまべ みなみ)をはじめ、桃喰綺羅莉(ももばみ きらり)役の池田エライザ。他に高杉真宙(たかすぎ まひろ)、森川葵(もりかわ あおい)といったブレイク中の旬なキャストが再び集結。そんな「賭ケグルイ」メンバーに、最凶最悪の敵ギャンブラー・視鬼神真玄(しきがみ まくろ)としてジャニーズWESTの藤井流星(ふじい りゅうせい)が加入。

今回は英監督に、「賭ケグルイ」独特な世界観を生み出すコツ、映画作りで大事にしていること、浜辺さんや藤井さんの演技などについてを語ってもらいました。

 

2.5次元ではなく2.85次元を目指して作ったのが「賭ケグルイ」

「賭ケグルイ」がここまでシリーズ化されると思っていましたか?

最初はきっと一発勝負だろうなと思っていましたが、プロデューサーたちの映画を作りたいというアツさを感じていて、いずれまたやるんだろうなとは思っていました。でもここまで人気になるとはうれしいですね。僕はCM制作出身なので、シリーズ化はぜひともしたいと思っていたんですよ。昔、先輩からCM監督はシリーズ物を持つと生活が安定すると言われていて(笑)。まぁこれは冗談ですけどね。最初のテレビシリーズと映画を作ってみて、演者もスタッフもすごくよかったし、原作も面白いし、まだまだ映像化していない物語があったのでやり続けたいと思いました。これから10年くらいはできるんじゃないですかね(笑)。

キャストは確実に年を重ねていきますよね……(笑)。

原作がかなり作り込んである世界観なので、その中で成立していればキャストの年齢なんて関係ないかなと。舞台の高校そのものが、ひとつの社会で、学校以外のことは描かれていない。物語が始まるとみんなが高校生だなんて忘れちゃうんですよ。逆に、年を重ねれば重ねるだけ面白くなっていくんじゃないかなと感じています。キャストの年齢が味みたいになっていけばいいですね。何十年やっても変わらない“寅さん”方式を目指します(笑)。

かなり個性的なコミックが原作です。あの世界観を実写化するための話し合いはどのようにされたのですか?

1作目のドラマを作ったときにある程度の基本の方向性は決めました。原作はちょっとセクシーなんでそっちの方向を出すのか、狂おしい感じにするのか……など取捨選択をして。コミックだからこそ面白い世界観も、それが実写となると生々しくなってしまうところもあって。実写はキャラクターを生身の人間として成立させるために微調整して作り直しました。2.5次元ではなく、2.85次元くらいを狙う感じです。これが絶妙で、2.5でも2.75でもないんですよ。面白い部分を探していったら、存在してもおかしくないキャラクターになりました。

 

自由に演技をしてもらっているので収拾がつかなくなることも

個性的なキャラクターを若手の実力派キャストたちが演じるのも魅力のひとつですね。

基本、お仕事をするときは「売れてください」とお願いするのですが、皆確実に売れていってくれています、ありがたいです(笑)。まさに若手の実力派であると証明してくれています。

実力を証明したエピソードとしては最初、雰囲気を掴ませようと主要メンバーと本読みをしました。そのときに森川(葵)さんと高杉(真宙)くんと矢本(悠馬)ちゃんがめちゃくちゃで面白かったんですよ。

1人が面白いことを提案したら、他の人が反射的により面白いことを乗せてきてセッションしまくりで……。そうやってこの作品のハチャメチャな雰囲気は生まれました。

きっと初めの頃は浜辺(美波)さんは様子見だったと思うんですが、途中から「やるしかないか」と覚悟を決め、かなり振り切ってやってもらえるようになりました。本当にみんな好き勝手やっているんですよ。

皆さん「『賭ケグルイ』の現場は楽しい」とおっしゃっていますね。

全ては最初のドラマが終わってからじゃないですかね。浜辺さんなんてドラマのシーズン2か1作目の映画のあたりからだと思いますね、楽しまれるようになってきたのは。きっと悪い毒がまわってきたんだと思います(笑)。皆本当に自由でどんどん過剰になっているんですよ。ときには収拾がつかなくなって戻って来れなくなったりして……。僕も「好きにしていいと言ったけど、そこまでやっちゃうの?」と驚くこともあります。下手すると全員に新しいことを乗っけよう、何かをやってやろうという気持ちがあるので、シリーズを重ねるごとにより面白くなっている状態です。

本作は視鬼神真玄役としてジャニーズWESTの藤井流星さんが参加されましたね。

新メンバーは1人だけなので、僕は藤井さんにつきっきりでした。衣装やメイク、髪の毛の色から長さまで、みんなでどうしようと話し合って。本人は二枚目ですが、あえて全部を見せずに、「まだ何かあるぞ!」と思わせる雰囲気にしたいと思っていました。彼自身、すごく気合いが入っていて、相談しながらキャラクターを作りあげられたのがよかったです。

若い人が多い現場です。監督はどのような空気作りをされているのですか?

特別楽しいムードの現場にしようとする気持ちはないですね。どちらかといえば、何度もいろいろな角度から撮られることに対する諦めムードを作り出すようにしています(笑)。濃い芝居を何度もやるのは大変だと思うのですが、すごい人数の出演者とそれぞれに見せ場があるので、全員をちゃんと撮りたいんですよ。カメラに少し見切れているだけでいい、なんて人を作りたくない。ですから見えないところでもずっと芝居をしていただき、それをきっちり映し切るまでは終われないんです。今回もカット数はかなり膨大でかなり粘って撮影をしました。そんな状況をキャストの皆さんが納得してもらえる現場作りが、一番大切だと思っています。

 

物語とキャラクターが面白ければ、マンネリ化はしていかないはず

先ほど、皆さんが自由に演じているとおっしゃっていましたが、現場で監督はどのように演出されているのでしょうか?

演技はあまり先にこちらのやりたいことを細かく言わないようにしています。大まかなイメージを伝えはするんですが、皆で自発的に動いていただくのが大事だと思っていて……。若者たちが話せる余地を残しています。そうでないと「おじさんが思った若者像」になってしまうんですよ。こっちのイメージをどう伸ばしてくれるかは、若い演者に任せたほうがいい。ただ基本は台本に書いてあることをやってもらっています。僕は根本的に「こう動く」「この間でセリフを言っている」という画(え)を先に想像して撮影に入るタイプなんです。だから自由に見えて、密かに自分が思っている方に誘導しているのかも。演者さんがどう思われているのか、知りたいようで知りたくないです(笑)。

本作で敢えてした挑戦はありますか?

キャストのほぼ全員に、“今までとは違うことを1つはやってもらう”をテーマに楽しんでもらいました。これはキャラクターの新しい魅力を作りたい意図があるのと、枷(かせ)を作って皆さんの自由を奪おうと思って(笑)。回を重ねてきて「同じことばかりやるのもきっとみんながつまらないだろうな」という思いもありました。ちなみに夢子なら、いつも完璧だけどその完璧が崩れそうになったり揺れる部分を出して欲しいと浜辺さんにお願いして。ゲームの最中、そんな夢子が見られるので期待してください。そして森川さん演じる早乙女 芽亜里(さおとめ めあり)には歌を歌ってもらっています。お客さんはなんで?と思うかもしれないですが、謎っぽく映っていればそれでOK(笑)。

シリーズを重ねたマンネリ化についてどう考えていますか?

マンネリと聞くと飽きがくるイメージですが、何回でも見られるものを作っているのはすごいと思います。シリーズ物の強さは、似たような話の筋でももう一度見たい、次を見たいと思わせるところです。

よく1話完結で何年もやっているドラマシリーズがありますけど、物語とキャラクターがしっかりしていれば基本同じでもいつも楽しい。この作品もそうなっていって欲しいです。そのためにもキャラクターは基本変えずに、今のままでの魅力にプラスして新しい面が少しでも見えたらと思います。

ちなみに本作での監督のお気に入りシーンを教えてください。

一番好きなのはロシアンルーレットゲームで、高杉さんが演じる鈴井に後ろから銃を構えられた夢子が「撃ちなさい」と言うシーン。そのひと言が猛烈に気に入っていて。これまで夢子を何度も撮ってきた中で、一番ゾクッときます。さっきも言ったように、各キャラクター皆に見せ場がちゃんとあるので、ぜひ贔屓のキャラクターの名シーンを目に焼きつけてください。

 

ゼロから生み出すタイプではないが、自分が全てを背負って作る

英監督自身についても聞かせてください。そもそもなぜ映画監督を目指そうと思われたのですか?

僕は中学生の頃から薬師丸ひろ子さんが大好きで、会いたいという思いから8ミリを撮るようになりました。当時の薬師丸さんは映画しか出演されていなかったので、監督になれたら会えると勝手に思っていて、それが映画への第一歩でした。今考えると、中学生の頃の意志ってすごいですよね。人を好きな思いが原動力で、その思いのみで今も続けているわけですから。ちなみに薬師丸さんには未だに会ったことがないんですよ。いずれ会えたらこの仕事を辞めてもいいって思っています(笑)。

そうやって始めた映画制作が仕事になり、投げ出したくなった経験はありますか?

イヤなことがあっても見ないふりをしたりズルをしてこれまでやってきました。ズルと書いて努力と読んだりするのですが。諦めることは考えなかったです。ただ、僕自身は自分からこれをやりたいと思うタイプではなく、受注されてそれを形にしていくのが得意なタイプ。いただいたお仕事や企画に対して、「こう見せたい」「こうやりたい」は思いつくのですが、ゼロから生み出す方ではないといいますか……。ですので仕事を受けてから、そこで何ができるかを考えています。これはCM制作者をやっていたのでそのクセなのかも。CMは絶対的に受注なので。ここまでやってこれたのは受注力のたまものかもしれないです。

そんな監督が映画を作るうえで大事にしていることを教えてください。

全てをきちんと背負うことです。自主映画でも商業映画でも、映画はプロジェクトじゃないですか。そこには人がたくさん関わっている。たとえば完成した物がつまらない物になってしまったり、批判が出てしまっても、その全てを背負うのが監督だと思っています。背負うのが監督の仕事なのだから、自分のやりたいこと、方向性は明確に出していくことも必要だと思っています。

 

取材日:2021年3月22日ライター:玉置晴子

『映画賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』

©河本ほむら・尚村透/SQUAREENIX©2021「映画賭ケグルイ2」製作委員会

TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

ストーリー

生徒代表指名選挙を終え、平穏が戻ったかのように思われた私立百花王学園。しかし生徒会は、蛇喰夢子の幾度にも及ぶ逆転劇に危機感を募らせていた。そんな中、一人の男が突如学園にあらわれる。彼の名は視鬼神真玄。2年前に起こしたある事件をきっかけに、生徒会長・桃喰綺羅莉によって学園を追われた過去を持ち、共感覚という特殊能力を持った最凶最悪のギャンブラーだ。視鬼神の毒牙はやがて、夢子の背後にも忍び寄り・・・。「賭ケグルイ」史上かつてない危険なギャンブルバトルの幕が開く!

出演: 浜辺美波 高杉真宙 藤井流星(ジャニーズWEST) 松田るか 岡本夏美 柳美稀 松村沙友理(乃木坂46) 小野寺晃良 池田エライザ 中村ゆりか 三戸なつめ 矢本悠馬/森川葵
原作:河本ほむら・尚村透(掲載月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)
監督:英勉 脚本:高野水登英勉 配給:ギャガ

公式サイト:https://kakegurui.jp/
公式Twitter:@kakegurui_jp
公式Instagram:kakegurui_jp

©河本ほむら・尚村透/SQUAREENIX©2021「映画賭ケグルイ2」製作委員会

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