職種その他2009.05.20

オリジナリティー溢れるアイデアと経営理念 資格・検定プロデュース事業

東京
株式会社ルート 代表取締役 中田孝成氏
 
『検定道』(http://www.kentei-do.com/)というサイトがある。オンラインで簡単に受験できる検定が100数十、常時公開されていて、誰でも、さまざまなジャンルについて自分の知識がどれくらいのものか確認できるのだ。しかも、そのほとんどが受験料無料。 このユニークなサイトを運営しているのが、株式会社ルート。ほとんどの読者が、検定ブームとの関係を思い起こすだろうが、この会社、検定ブームに乗って昨日今日生まれた会社ではない。人事制度構築を専門としていた活動の中から、資格・検定プログラムを事業としてスピンオフさせたのだ。 オリジナリティ溢れるアイデアと経営理念で同社を牽引する、代表取締役/中田孝成さんに経営ビジョンについてうかがいました。

毎日5000人が気軽に検定を受け、楽しんでいる『検定道』。

『検定道』は、どうしてあんなに多くの受験料無料の検定を公開できているのですか?

当社の資格・検定プロデュース事業のプロモーションとして運営しているからです。収益は、あえて無視しています。 現在、1日に約5000人が『検定道』の検定を受けていますが、気軽に楽しく、自分の知識を確かめていただければと思っています。

なるほど、つまりは、株式会社ルートには「これほど検定プログラムの開発力」があるとアピールしているわけですね。

当社の開発スタッフが話題のキーワードを見つけて、そのテーマに関する設問をその日のうちにつくりあげてしまいます(笑)。

受験料無料の検定に混じって、『阪神タイガース検定』のような有料検定も公開されていますね。

『阪神タイガース検定』は、当社がタイガース球団の承認を受けて独自開発し、運営しているもの。年一回、受験者に試験会場に足を運んでいただく、本格的検定試験です。『阪神タイガース検定』のようなプログラムが、資格・検定プロデュース事業の収益の柱になっています。

切手を集めるような気軽さで、検定受験する日本人独特の感覚は面白く、麗しい。

資格・検定プロデュース事業は、いつ頃、どんなきっかけで生まれたのですか?

それまで人事制度構築を基幹事業とし、人事システム、研修プログラムの開発を手がけていましたが、次第に、「人が人を評価するには、資格が必要だろう」と思うようになりました。そこで、社内資格のプログラム開発を手がけるようになったのが資格・検定プログラムに進出したきっかけです。いわば、スピンオフ事業ですね。時期としては、2006年には開発が始まっていたと記憶しています。

なるほど、人事制度には資格や検定が必要である。それが発端だったわけですね。そんな事業の立ち上げと、いわゆる検定ブームが結果的にリンクしたわけですね。

確かに、ブームはありますね。日本人は、習い事が好きだし、級やランクが上がるごとに達成感を感じるんですよね。自分の身に照らしても、その感覚はよくわかる(笑)。 現在、日本には5000を超える民間資格がありますが、そのほとんどが取得したからといって目に見える得があるわけじゃない。それでも自分の知識や力を試したくて、多くの人が切手を集めるような感覚で検定を受検しているのです。

では、事業としてはかなり明るい見通しを持っている?

プログラム開発力には、自信を持っていますから。ただ、検定ビジネスは、倍々ゲームで急成長し、濡れ手に粟の収益をあげられるものではありません。何しろ、プログラムの開発には手間がかかる。開発者の能力次第の世界ですからね。

検定プログラムを開発できるのは、 社内資格「ライセンスプランナー」保有者のみ。 ライセンスプランナー資格検定は、厚労省に認可申請中。

開発力を育てるために、どんな方策を講じているのですか?

まず、当社は、自社内にもいくつもの資格制度を導入しています。プログラム開発に関しては、ライセンスプランナーという資格を設けていて、この資格なしではプログラム開発には携われません。現在同資格保有者は、10名。今後、年に2~3人のペースでライセンスプランナーを育てていく計画です。

ライセンスプランナーをめざすには、どんな能力が求められる?

「読書好き」は必須ですね。本を読まない人には、まず無理な職業です。また、当社は採用にあたって「人柄重視」を明示しています。能力は努力で身につけられますが、人柄やものの考え方は後天的にどうなるものでもない。ですから、採用試験に際しては、私自身が全員を面接しています。

いずれにしろ、ライセンスプランナーとはかなり面白そうな、魅力的な仕事ですし、資格ですね。

ライセンスプランナー資格検定は、現在、厚労省に認可申請を出しています。近い将来、公的な資格になると期待しています。 そのように、当社では、自社用につくったプログラムも、重要なビジネスアイテムと考えています。つまり、自社用であっても、パッケージとしてリリースされることを視野に入れて開発する。たとえば、無用に長い会議をなくすための「ミーティングマネージャー資格」などは、実際に自社開発からパッケージリリースされたものです。

しかし、社内のノウハウをどんどん外に発表しては、会社の優位性を保つのが大変では?

パッケージを購入して導入するユーザーさんは、逆に言えばそのパッケージの内容までのノウハウしか使えません。当社は、ノウハウを外に出した段階で、もうそのノウハウのグレードアップを始めている。だから、絶対に追い越されることはないし、不利益にもならいないと信じています。

資格・検定は、事業として今後も大きな可能性を持っている?

そう確信しています。社会にも、業界にも、ある基準を示す価値観は絶対に必要とされますし、その基準がまだまだ足りません。求められる基準づくりを、発見し、開発し、開拓していけば、事業の可能性は無尽蔵にあると思っています。

取材日:2009年6月

株式会社ルート

  • 代表取締役社長:中田孝成
  • 業務内容:
    • 資格・検定プロデュース事業
    • 法律・人事制度コンサルティング
  • 設立:1990年3月
  • 資本金:8435万5000円
  • 所在地:〒651-0094 兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町3丁目2番22号 シーコム・ルートビル1F
  • TEL:078-241-0221
  • FAX:078-241-0223
  • URL:http://www.root-2002.com/
  • 問い合わせメール:info@root-2002.com
  • 『検定道』URL:http://www.kentei-do.com/
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