縁もゆかりもない北海道で、ひとり会社を立ち上げる

幾島さんご自身のキャリア、ご経緯について教えてください。

全国展開している企業でコンサルティング関係の仕事をしていました。新規プロジェクトを立ち上げることになって、北海道へ転勤。北海道は自然が豊かで、食べ物が美味しいことは有名ですから、仕事とはいえ楽しみもたくさんあって意気揚々とこちらに来ました。ところが、北海道に来て１週間後、なんと勤務先が倒産。その後、手配していた家財道具が北海道に届きましたが、もうここに仕事はない。地元の千葉県に戻ってもすることがない。

それで北海道で起業したのですか？

はい。知り合いもいない、縁もゆかりもない北海道でしたが、暮らしてみると愛着がわきますよね。理由はともあれ新天地に来たので、新しいことに挑戦しようと思い、起業をめざしてビジネスコンテストに参加しました。当時はまだめずらしい「無線インターネット事業」の展開についてプレゼン。本選には出場できませんでしたが、多くの投資家と知り合い、そこで出会った方々の協力を得て起業しました。

創業時の事業内容や印象深いエピソードがあれば教えてください。

ビジネスコンテストでプレゼンした無線インターネット事業だけでなく、ホームページの制作もしていました。当時、北海道でホームページの制作をする会社は少なかったので、たくさんのお問い合わせやご依頼をいただきました。 大変だったことと言えば、移動することが大変でした。「明日は釧路で打ち合わせ」と言われても、釧路は札幌から車で片道５時間ぐらいかかります。札幌以外の場所での打ち合わせを引き受けると、往復だけで１日が終わってしまうこともありました。

既存サービスを組み合わせて新たな価値を生み出す

北海道に限らず、首都圏や海外からの案件も多いようですね。

とくに営業をしているわけではありませんが、当社のホームページを通して毎日のようにお問い合わせをいただいており、それが実績に結びついています。いまは多くの企業や団体にホームページがありますが、活動内容はわかっても、誰がどんな思いで活動しているかまでわかるものは少ない。当社では社内の雰囲気やスタッフの人柄がわかるようなホームページを心がけており、それを評価していただいていると思っています。

御社の強みとは？

よくスタッフに話しているのは、うちは鉛筆も消しゴムもつくれないけど、それを組み合わせて「消しゴム付きの鉛筆」というアイデアを生み出すことはできるし、そのアイデアには価値があり、ニーズに応じて提供するのが使命だと。世の中にはいいシステムやサービスがたくさんあるので、組み合わせ次第でもっと便利なものができる。たとえばECサイトと自社サイトを連動させるとか、既存のものを活用してクライアントの希望をかなえることがモットーです。

コンサルティング要素の強いホームページ制作ですね。

そうあるべきだと思います。もうホームページがあれば売れる時代は終わりましたから、とりあえずホームページを作りたいというご要望には対応しかねます。ある製品を売るホームページをつくるとしたら、製品のストーリーを明確にし、ターゲットやアプローチも綿密に考慮して制作しますし、そのプランやアイデアにこそ価値があると思います。ですから当社では、契約して見積もりの半額を前払いしていただいてから業務に着手します。

社名「アイキュー」は、ラッキーナンバー「19」
創業19年に向けてどんどん攻めていきたい

最近はVRの領域にも進出しているそうですね。

新しいもの、おもしろいことが好きなんです。VRはノウハウや制作モデルが確立されていないからチャンスもたくさんありますよね。GoProの360度カメラとVRを組み合わせたら、よりリアルな臨場感を演出できると話題になっていますが、当社ではもう５〜６年前にGoProの開発者を海外から講師を呼び寄せ、レクチャーを受けて、すでにそれを活用したサービスを提供しています。

今後の展望を教えてください。

当社の社名「アイキュー」は、わたしのラッキーナンバー「19」が由来しています。創業19年目は、わたしにとっては節目の年。創業19年目を迎える2020年に向けて、スタッフも採用して、事業も拡大していきたいです。安定のために守りに入るのは性に合わないので、どんどん攻めていきたいと思っています。

どのような人といっしょに働きたいですか。

当社はホームページやシステム構築などを企画から参加してサービスインまでを担当します。案件によっては、自らデザインすることもあるかもしれません。クライアントのビジネスを支援するために、自分も成長できるような意欲があり、広い視野をもてる人。即戦力になる人です。チャレンジを応援する社風なのでどんどん提案して欲しいので、自分のやりたいことがあればなおよし。将来、社長になりたいという意欲のある人も歓迎します。

取材日：2018年4月25日　ライター：師田真由美