広島に根ざし、HP制作で約30年。変わらぬ“使い手視点”で、AI時代のものづくりを切り拓く
広島市内中心部にオフィスを構える有限会社メディアドーム。親会社である株式会社ミックスとともに、設立から約30年にわたってホームページ制作などを手がけ、地域企業のデジタル発信を支え続けています。現在の事業や同社の強み、今後の展望を、代表である森元 義晴(もりもと よしはる)さんに伺いました。
「制作に没頭していたい」クリエイターが、代表になるまで
これまでのキャリアについて教えてください。
もともとは映像制作の会社に新卒で入りました。その会社ではCD-ROMやDVD-ROMで動くマルチメディアコンテンツの制作に携わり、動画撮影からシナリオ作成、簡単なプログラミングまでを一人でこなしていました。
転機が来たのは転職を考えていた時期に、同じ職場から先に独立していた先輩に誘われて、先輩が立ち上げた会社に合流しました。
その時期に、インフラのブロードバンド化とともにWeb制作へとシフトして、Adobe Flashでのコンテンツ制作、Webサーバ上でプログラムを動作させるCGIを使ったシステム開発なども手がけるようになりました。
その会社がメディアドームの親会社である株式会社ミックスと合併してグループに入り、今に至ります。
経営者になることは、もともと考えていたのでしょうか?
経営者になろうとはまったく思っていませんでした。どちらかというと、制作に没頭していたいタイプでしたね。ただ、ものづくりをする上で「世の中のためになるもの、クライアントやエンドユーザーに有益なものをつくることがどうすれば実現できるのか?」と考えるうちに、自ら方向性を示し、判断できる立場になる必要があると考えるようになりました。
グループ内ではコンテンツ制作やシステム開発の現場でキャリアを積みながら、15年ほど前にメディアドームの取締役に就任しました。代表に就いてからは今年で13期目になります。
グループ企業の協力体制でお客さまにきめ細かく対応

株式会社ミックスの子会社としてメディアドームが設立されるまでの経緯を教えてください。
親会社である株式会社ミックスの創業は今から約45年前になります。創業社長の浴 靖典(えき やすのり)が学生の時に起業した会社で、もともとは彼が音響をやっていたところからスタートしています。当時は、イベントの企画・運営から音響・照明・映像機材のレンタルまで手がけるイベント事業を柱としていました。
その後、1995年ごろからもう一つ、事業の柱をつくろうということでホームページの制作部門が立ち上がりました。当時はまだ企業がホームページをほとんどもっていなかった時代です。その部門を子会社化したのが、メディアドームの前身である有限会社ミックス・マルチメディアコミュニケーションズです。
2013年には社名を変更し、メディアドームになりました。子会社化の前と変わらず、ミックス全体で横断的にお客さまに対応しており、メディアドームは制作に専念できる環境となっています。
社名を変更された経緯を教えてください。
私が代表になるタイミングで、社名を時代に即したものに変えようという話になり、募集した中でスタッフの1人が「ドーム」というキーワードを提案してきました。実は当社のベランダから原爆ドームが見え、ホームページで原爆ドームのライブ映像も配信しています。そうした当社ならではの背景もあり、「ドーム」という言葉はスタッフの間でも自然と受け入れられました。
ただ、それだけでは何の会社か分からないので、事業を端的に示す「メディア」という言葉を付けることで、「メディアドーム」に決定しました。
現在では、さまざまな人や情報が“ドーム”という一つの場所に集まり、そこへ新たな価値を加えることで、エンターテインメントや情報、サービスを創造し、広く発信していくという意味ではよい名前かなと思っています。
長年磨いた、お客さまの要望を具現化する力
現在の事業内容と強みを教えてください。
ホームページ制作を軸に、Webシステム・アプリ開発、動画制作を行っています。制作スタッフは社内に6名いて、システム開発は長年付き合いのある協業先や独立したエンジニアとのネットワークで対応しています。動画制作は専任の編集スタッフが担当していて、SNS向けの動画から企業PR映像、デジタルサイネージ用コンテンツまで、プラットフォームを問わず幅広く担当しています。
御社ならではの強みはどのようなところにありますか?
ミックスとしては、社内に中小企業診断士やITコーディネータの資格をもつスタッフがおり、イベント運営からオンライン配信、Web制作に加え、近年はICTソリューション部門も新設しました。音響・映像・デジタルサイネージなど、施設や空間の設計まで幅広く手がける体制を整えています。生成AIを活用した業務効率化支援にも、昨年から取り組み始めています。 こうしたサービスをグループ全体で横断的に提供できることが強みです。 メディアドームとしては、30年近くにわたるホームページ制作の実績の中で培った、お客さまへの対応に尽きると思っています。お客さまがエンドユーザーにどういったものを届けたいのか、どういったものを構築したいのかを細かくヒアリングし、エンドユーザーが使う上で利便性が高いか考え抜いた上で具現化していく。そういったコンテンツ制作ができることが強みになっています。
お客さまは広島の大手企業から大学、銀行、自治体まで、業種は多岐にわたります。
具体的な事例を教えてください。
例えば、大手インフラ事業者の受付システムの開発には、当社が創業間もない頃から約30年にわたって携わっています。受け付ける膨大なデータをどう蓄積して、どう運用し、どう処理するかというバックヤードの設計まで、細かくヒアリングしながら構築する必要がありました。機能性・利便性を突き詰めた結果、このシステムが今でも現役で動き続けています。
生成AI技術の習得など、グループとして果敢に挑戦
御社の教育体制について教えてください。
教育に関しては、実案件に即して先輩社員が教えるOJTがメインとなっています。情報セキュリティやコンプライアンスなどのテーマで内部での研修会を行ったり、著作権をテーマとした研修会を受講してもらったりもしています。
生成AIへの取り組みについて聞かせてください。
生成AIへの取り組みのきっかけは、グループのスタッフ4人が、生成AIの研修を受けたことです。研修開始から1〜2カ月が経った頃、経理・総務部門のスタッフがPDFで届く請求書のファイル名を自動で変更するプログラムをAIを使ってつくってしまったんです。これまでは、目視でPDFの中身を読み取ってファイル名を手動で付け直すという作業があったのですが、それを自動化したわけです。
「これは全社で取り組まなければいけない」ということで、現在は社内でいろいろな事例をつくっているところです。グループとして広島県内の企業へのAI活用支援を提案する活動も始めていて、メディアドームとしてはコーディングやレビューの効率化を進めている最中です。
AIとの役割分担を明確にし、共栄を目指す
AI時代に向けた危機感はありますか?
企業がホームページをもたなくてもAIが検索結果を自動で整理・可視化して表示する時代は、もうすぐそこまで来ていると思います。単純なホームページ制作は成り立たなくなっていくと感じていますが、そういう中でも制作の仕事はなくならないと思います。技術によって制作の手段は変わっても、人との対話の中で課題を発見し、解決策を考え、人の心を動かす仕事は残り続けるはずです。AIと人間の役割をしっかり考えていきたいと思っています。
人間が担うべき役割はどのようなものだとお考えですか?
目的と方向性を決めるのはまず人間がやり、アイデアを出したりコーディングをしてものをつくるのはAIに任せていい部分だと思っています。ただ、つくったものを検証したり、何を提供するかを決めるというところはやはり人間の判断となります。
AIを「協働者」として活用しながら、ホームページだけでなく、その裏側のシステムや機能まで含めて、付加価値の高いコンテンツやサービスを提案できる会社にしていきたいというのが、今後の方向性です。スタッフも計画的に増員したいと思っています。
「何のために働くのか」意欲と目的は違うもの

一緒に働く人にどんなことを求めますか?
ものづくりは「自分のため」ではなく、「使う人のため」にするものだと考えています。常に使い手を想像し、寄り添ったものづくりをしてもらいたいです。そのためには、クライアントとより良い関係性を築くアクションやコミュニケーション能力が大切になってきます。率先して能動的にアクションを起こす姿勢をもち続けてもらいたいです。
私自身、この考え方で周囲とのギャップを感じた時期もあったのですが、使い手のことを第一に考え、「中途半端なものはつくりたくない」という気持ちをもち続けています。
クリエイターを目指す方、現場で働く方へメッセージをお願いします。
ものづくりをしていく中で思うのは、作業に追われる時期というのが誰しもあるということです。しかし、そうした時に「ただ頼まれたものをつくる」だけだと、クリエイティブな仕事ではなく「作業」になってしまいます。お客さまやその先にいるエンドユーザー、使ってもらう人にとって何がベストかを考えて、目的と方向性を提示しながら具現化していける人が、本当に求められているクリエイターだと思います。
取材日:2026年6月9日 ライター:川村 忠寛
有限会社メディアドーム
- 代表者名:森元 義晴
- 設立年月:1999年7月
- 資本金:300万円
- 事業内容:ホームページ・コンテンツ制作、各種アプリケーション開発、データベース・ネットワークシステム構築、動画制作
- 所在地:〒730-0802 広島県広島市中区本川町2丁目6番3号
- URL:https://mediadome.co/
- お問い合わせ先:TEL :082-292-3652/MAIL:






