言語・組織・国境の壁を越えるAI検索「Felo」。複数AIの活用で“最適な答え”を導く
現在、ChatGPTやGemini、Copilotなど外資の生成AIサービスが急速に普及していますが、日本語特有の文脈理解や、海外情報を含む情報収集が難しいといった、「言語の壁」を伴う課題が数多くあります。そこで、既存の複数のAIを適切に組み合わせて、必要に応じて多言語の情報も横断しながら、より信頼性の高い答えにたどり着ける独自のAI検索エンジンを提供しているのが東京のFelo(フェロー)株式会社です。共同創業者である青山遥香(あおやま はるか)さんはなぜAIに注目したのか、お話を伺いました。
膨大なデータを活用しきれていない日本の現状に、課題感
どういったきっかけで共同創業されたのでしょうか?
シンガポールの国立大学卒業後、海外投資や新規事業開発に携わってきました。ベルギーを含む海外でベンチャーキャピタル関連の業務を経験し、欧州系ファンドが日本拠点立ち上げにも関わる中で、多くのスタートアップやディープテック企業と関わるようになりました。そのころから、日本企業が持つ技術やデータが十分に活用されていないことに強い課題意識を持つようになり、その問題に向き合うためにFeloを共同創業しました。
いつからAIに注目されていたのですか?
もともとの専門は、統計やビッグデータに近い分野で、データサイエンスやモデリングに強い関心がありました。約10年前から、AIや社会のあり方を大きく変える可能性を感じていました。
また、ベンチャーキャピタルとして事業分析を行うなかで、「日本企業は膨大なデータを持っているのに活用しきれていない」と強く感じていました。その背景には、日本語特有のニュアンスが既存のAIでは十分に扱いきれない場面があること、部署・産業の壁によってデータが分断されていること、さらに海外進出時の情報収集に時間と費用がかかるといった課題があります。
こういった課題に対して、日本語に最適化されたAIがあれば解決できるのではないかと考えたことが、Feloを立ち上げた背景にあります。

複数AI活用で海外情報に正確にアクセス。数カ月分の作業が数分で完了
AI検索エンジン「Felo」にはどういった特徴があるか教えてください。
大きな特徴は、複数のAIモデルと独自の検索・分析エンジンを組み合わせることで、ユーザーが必要な情報により速く、より適切にたどり着けるようにしている点です。単一のモデルに依存するのではなく、それぞれの強みを活かしながら組み合わせることで、検索から分析までを一連の流れとして支援しています。
なかでも重要なのが、Felo独自の信頼性評価システムです。例えば、外国人の方が日本への旅行を計画していて、調べ物をしているシーンだとします。一般的なAI検索では、英語で質問した場合、英語圏の情報を中心に検索するため、日本語の文脈に合わない情報が混ざりやすいのが現状です。たとえば「東京で桜を見ながら楽しめるレストラン」を英語で検索すると、トリップアドバイザーなど海外向けサイトが上位に出るということも起こりがちです。しかし、実際に、日本の現実に沿った詳しい情報が書かれているサイトは、日本国内で運営している『食べログ』や地元メディアのようなもの。そこでFeloでは「どの情報源が最も信頼できるか」を自動的に判定し、質問内容に応じて最適なソースを優先的に参照できるようにしています。
これにより、ユーザーは「日本のことを検索しているのに海外の情報ソースばかりが出てくる」「言語の壁があるために本当に知りたい情報になかなか辿り着かない」といった問題から解放されるのです。
Feloリサーチ画面
AIの回答には、間違いもありますよね。
AIは便利な一方で、出典や根拠をどう確かめるかが非常に重要です。Feloでは、取得した情報がどの媒体から来ているのかを明示し、必要に応じて複数の情報源を参照しながらユーザーが正確性を検証しやすい形で提示することを重視しています。いわゆる「ハルシネーション」という、もっともらしい「嘘」を完全になくすことは簡単ではありませんが、それを防ぐために回答の裏付けとなる根拠を必ず示すことで、ユーザーの判断の負担を下げることを大切にしています。また、Feloでは回答でなるべく信頼できる情報を提示するために内部では数十ステップの検証が行われていて、そのプロセスはユーザーからは見えていませんが、背後では高度な処理が行われているのです。
ほかに、他社のAIにはない強みはありますか?
「検索 → 分析 → アウトプット」を一気通貫で行えることが強みです。一般的なAIでは文章生成は得意でも、資料作成やデータ更新のような成果物の生成には弱いなど、それぞれで得意不得意があります。Feloではここを徹底的に強化し、検索から分析、そしてパワーポイント形式の資料やレポートの自動生成までワンクリックで行うことができます。例えば、既存の営業資料を読み込み、必要な部分だけを抽出してチラシを作ったり、前年の決算資料を読み込んで最新の数字に差し替えたりといった作業をわずか数分で完了させることが可能です。
決算発表デモ画面
そしてなによりも「日本語で検索しても海外情報に正確にアクセスできる」という点が他社と一線を画しています。通常、日本語で検索すれば日本語圏の情報に偏り、海外の一次情報にたどり着くのは難しいです。しかしFeloでは必要に応じて英語・中国語・韓国語など複数言語で同時に検索を行うほか、それらを分析し最も信頼性の高い情報を瞬時に提示します。これにより、海外進出の市場調査や競合分析といった、従来は数百万円かかったり、数カ月かかっていたリサーチ作業が、数分で完了するようになりました。
「未来を切り開こうとする人」とともに。構造的な課題に挑み続ける

御社はどういった人材を求めていますか?
正解のない領域で試行錯誤しながら前に進める人を求めています。私たちは、Feloを通じて、言語や組織、国境によって分断されてきた情報・データの壁を乗り越えられるようにしていきたいと考えています。そのためには、長年放置されてきた構造的な課題に挑み続けなければいけません。
そのうえで大切なのは、課題を自分ごととして深く理解しようとする姿勢と、多様な技術を柔軟に組み合わせる発想力です。ユーザーの課題を丁寧に観察し「本当に解決すべき問題は何か」を考え抜ける人、特定の技術に固執するのではなく「目的に対して最も適切な手段は何か」を判断できる人が向いています。
Feloを使えば、例えば展示会の資料や、エピソードをマンガにしてわかりやすく伝えることなど、あっという間にできてしまいます。今までならお金と時間をかけて取り組んでいたのが一瞬でできる時代です。これからのクリエイターは手を動かす時間より、アイデアをアウトプットすることに重きを置く時代になってきています。アイデアで未来を切り開こうとする人と一緒に挑戦したいと考えています。
取材日:2026年3月11日 ライター:徳永 卓司
Felo株式会社
- 設立年月:2024年7月
- 資本金:5,000万円
- 事業内容:AIコンサルティング事業、AI研究開発事業、AIソフトウェア設計およびソフトウェア開発
- 所在地:〒100-6510 東京都千代田区丸の内1丁目5−1 新丸の内ビルディング10階
- URL:https://official.felo.ai/
- お問い合わせ先:






