日常から感情をすくい上げ、心を動かす映像に。北海道で育まれるクリエイティブ

札幌
株式会社REACTOR 代表取締役/プロデューサー/クリエイティブディレクター
Fujimori Nobuhiko
藤森 信光

「映像のチカラを信じる」という信条のもと、見る人の感情に訴える映像・Web・デジタルコンテンツの企画制作を行う札幌の株式会社REACTOR。日常の中から生まれる言葉を大切にしながら、心を動かす映像表現を追求しています。代表取締役の藤森 信光(ふじもり のぶひこ)さんとディレクターの髙橋 成(たかはし じょう)さんに、仕事のスタイルや大切にしていること、今後の展望などについてお話を伺いました。

未経験から出発も、CMの面白さに惹かれていく

立ち上げ以前の藤森さんのキャリアについて、お聞かせください。

藤森さん:高校卒業後にパソコン関連の専門学校に進学しました。その後は2年間プログラマーとして働いていましたが、オフィスにこもって仕事をすることが苦手だと気付き、「何かほかのことをしたい」と考えるようになりました。そんなときに札幌のCMプロダクションの求人を見つけて応募したところ、未経験でしたが採用していただきました。

未経験からのスタートで、苦労はありませんでしたか?

藤森さん:撮影や取材で毎回違う現場に携わったり、さまざまな企画に取り組んだりすることが楽しくて、どんどんこの仕事に惹かれていきました。入社して5年ほど経った頃、MacintoshやAdobeソフトが普及したことで、業界が一気にデジタルへとシフトしていきました。まさにクリエイティブ環境における黎明期でしたね。
当時はパソコン操作が得意な人が少なかったため、かつてプログラマーだった私が必然的にデジタル担当になりました。編集もコンテンツづくりもすべてできたので、現場ではかなり重宝され、仕事がどんどん増えていきました。

独立のきっかけを教えてください。

藤森さん:これもまた時代の流れですね。Macに続いて、インターネットの環境や、ISDN、ADSLの登場といった黎明期があり、世の中にさまざまな企業などのWebサイトが普及し始めました。そういった急速な技術の発展を目の当たりにし、「CMだけではなくもっとデジタルに特化しなくては時代に取り残される」と思い、2006年に株式会社REACTORを設立しました。
そのため、業務内容は映像制作だけでなく、Web、プロジェクションマッピング、VR、ARなど多岐にわたります。デジタル領域をかなり広く扱っています。

現在は何名体制で活動されていますか?

藤森さん:当時フリーランス仲間にも声をかけ、人数が増えたり減ったりしながら、現在は私を含めて5人で活動しています。私がプロデューサーを務め、ディレクター兼エディターが3人、経理が1人です。
ディレクターの1人である髙橋は在籍8年になりますが、2021年には北海道の広告業界で、その年に1人だけ選出される北海道広告協会賞である「栗谷川健一賞(クリエイターオブザイヤー)」を受賞しています。今では指名で仕事が来るなど、活躍してくれています。

髙橋さんにお伺いします。入社された経緯を教えてください。

髙橋さん:入社以前は4年間、別の映像プロダクションで制作ADやプロダクションマネージャーをやっていました。当時は激務でこの業界を辞めようかと迷っていたときに、お世話になっていたカメラマンさんが藤森を紹介してくれて、REACTORに入社しました。

クライアントに寄り添い、思いを引き出す

現在の仕事内容について教えてください。

髙橋さん:基本は広告映像で、CMやSNSが多いですね。Webサイトとセットで映像を作ることもあります。北海道の新聞社や新幹線、大学、不動産、大手コンビニエンスストア、食品業界など、業界も幅広いです。前職が北海道の業界でも知られたCM制作会社でしたので、代理店とのつきあいも多く、そこで得た人脈が今に大きく影響しています。
業務には、提携している外注のディレクターやエディターの協力も得ながら取り組んでいます。

クライアントとのやり取りで心掛けていることはありますか?

髙橋さん:一緒に作っていくことを大切にしています。例えば、初めてCMを作るというクライアントには過去の作品を紹介しながら「コメディ路線だとこんな感じになります」「ゾンビ映画のようにもできます」など、さまざまなパターンを見せながらイメージを共有していきます。当初クライアントが思い描いていたものとは真逆の表現方法になることもあって面白いですよ。

情報だけでなく感情を揺さぶるCMづくりを

会社の「映像のチカラを信じる」という信条は、どのような経験から生まれたのでしょうか?

髙橋さん:全道トヨペットの「マークXファイナル」のメモリアルムービーを手掛けたことがきっかけです。誕生から51年となった車ブランド「Mark II」シリーズが生産終了になるということで、老紳士が車と過ごした約50年を回想しながら道内各地を駆け抜ける映像を作りました。
観た方から「広告で泣いた」「感動した」という声をたくさんいただき、非常にうれしかったことを覚えています。「映像は人の感情を動かすのだ」と気付かされた出来事でした。

藤森さん:髙橋と一緒に作るようになり、感情表現に向き合う広告が増えたと思います。きれいに撮影をして情報を見せるといった情報伝達だけではなく、いかに人の心を揺さぶるものを作るかを大事にしています。それができるのが弊社の強みだと思いますね。

そうしたアイデアはどこから出てくるのですか?

髙橋さん:他社の広告だけでなく、映画やテレビ、アニメ、漫画、本などさまざまなものから、日々インプットしています。子ども向けの番組やイベントなどもヒントになっていますよ。弊社では毎年社員旅行をしますが、なるべくみんなが行ったことのない場所を選び、したことがないことに挑戦するようにしています。例えば福岡に社員旅行で行った際には、経験がなかった屋台に行ったり、屋形船に乗ったりしました。そうすることで場所や人の雰囲気が身をもってわかるうえ、土地への情も生まれます。関連するオファーが来たときには、柔軟に対応できますし、心を込めて制作に取り組めると思うのです。

企画から制作までワンストップで行っている理由を教えてください。

髙橋さん:一番大きな理由は、コンセプトがぶれないということですね。小道具や衣装、テロップなどもコンセプトと合っているかを逐一確認しながら進めています。一部を外にお任せしてしまうと、認識のずれで方向性が違うものができ上がってしまう可能性もありますから。
ですので、コンセプトづくりに一番時間をかけます。CMでいうとメインコピーを考えるのが重要で、そこを間違うとどうにもならない。コピーが設計図なので、みんなそこはしっかりと勉強しています。

日常から生まれる言葉や表現が見る人の心を動かす

髙橋さんは取り組んでみたい分野などはありますか?

髙橋さん:クライアントワークだけでなく、自分たちの企画制作を増やしたいです。例えばSNSのショートドラマのような、広告色が強くないものを作っていきたいと思っています。
表現の幅を広げていきたいので、セルアニメのフルアニメーションも作ってみたいですね。地方の予算では難しいですが、AIを活用しながら挑戦したいと思っています。

会社の展望を教えてください。

髙橋さん:会社の規模を大きくしたい、人数を増やしたいという気持ちはあまりないですね。それよりは、北海道でこの仕事をしたいという人たちの受け皿になれたらいいなと思っています。
クリエイターというのは技術や知識には深く精通している一方で、コミュニケーションや自己表現、ビジネス面では不器用な人も少なくありません。私たち自身も何か一つには強くこだわれる反面、すべてを一人で完璧にこなせるわけではないと感じています。だからこそ、その足りない部分をチームで補い合いながら、一人ひとりが安心してものづくりに集中できる会社でありたいです。

最後に、これからクリエイターを目指す方に向けて、メッセージをお願いします。

髙橋さん:仕事を一生懸命にするのはもちろんですが、生活も大事にしてほしいです。人の気持ちを動かすコピーは、何気ない暮らしや人との関わりから生まれます。仕事だけではなく、目の前にある暮らしや一人一人にしっかりと向き合うことを大切にしてほしいですね。

取材日:2026年1月6日 ライター:八幡 智子

株式会社REACTOR

  • 代表者名:藤森 信光
  • 設立年月:2006年12月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容: 広告制作、CM制作、Webサイト制作など
  • 所在地:〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西18丁目9-6 glam 2F
  • URL:https://www.reactor.jp
  • お問い合わせ先:https://reactor.jp/contact/

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