地方の“できない理由”をなくすサブスクHP制作支援。挑戦を後押し、“日本発”を世界へ
地方の中小企業には、デジタルを活用したくても「できない」という課題があります。福岡に拠点を置くラシン株式会社は、そうした課題に向き合い、企業の挑戦を支えてきました。サブスク型ホームページ制作「ベリウェブ」を軸に制作にとどまらず運用まで伴走し、「売れる仕組み」を設計しています。背景にあるのは、“地方の可能性を解放したい”という意思。代表取締役の原直樹さんと取締役COOの武耕太郎さんに、事業の原点とこれからについて話を伺いました。
地方にある「できない理由」との出会い。同級生二人で事業を展開

お二人の出会いと、これまでのキャリアについて教えてください。
原さん:同じ福岡大学に通っていて、授業で同じチームになり、ビジネスプランコンテストに取り組んだことがきっかけです。当時からビジネスに対する関心が強く、議論する機会が多くありました。卒業後は互いに株式会社リクルートに入社し、私は広告の営業や制作に携わりました。クライアントの課題に向き合いながら、どうすれば伝わるのか、どうすれば成果につながるのかを考え、経験を積みました。
その後ベンチャー企業に移り、事業づくりの最前線で経験を積む中で、もともと自分の中で決めていた“30歳での起業”を実現する形で、会社を立ち上げました。
武さん:私はリクルート退社後に勤めた会社で執行役員を務め、営業や組織運営、事業の推進など幅広く経験する中で、一通りやり切ったという感覚がありました。このまま同じ環境にいるのではなく、“自分で意思決定しながら事業を作っていきたい”という思いも強くなっていき、そのタイミングで、原が立ち上げたラシン株式会社に入りました。
一緒に事業を行うことになったきっかけは何だったのでしょうか?
武さん:同じ会社に入社した縁もあり、定期的に意見交換する間柄が続いて、ビジネスの話をよくしていたんです。話をする中で、長期的に一緒に事業を作っていく方向性が見えてきて、自然な流れで合流しました。自分としても、これまで積み上げてきた経験を、より主体的に生かせる環境だと感じたことが大きかったです。
原さん:ちょうどその頃、制作の請け負いだけでなく自社事業をしっかりと立ち上げていきたいと考えていたタイミングでした。その中で、武から福岡でクラウドファンディング事業を展開していきたいという話を聞きました。それぞれが違う環境で経験を積んできたからこそ、役割がぶつからず、補完し合える関係性があると感じましたし、一緒にやることでより大きな価値を出せると考えました。
現在の役割や強みについて教えてください。
原さん:これまで制作やクリエイティブに関わる領域を中心に経験してきたので、事業の方向性や価値の設計といった部分を担っています。企業が持っている強みをどう表現するか、どう伝えるかといったところを考えることが多いです。
武さん:私は、原が作った方向性やコンセプトを現場でどのように実行していくかを考えることが多いです。実際のお客さまとのやり取りの中で見えてくる課題や改善点をフィードバックしながら、より良い形にブラッシュアップしていく役割も担っています。
「作るだけでは意味がない」。売れる仕組みまで設計する
現在の事業内容と、主力サービス「ベリウェブ」について教えてください。

原さん:ホームページ制作、クラウドファンディング支援、マーケティングを展開しています。事業の主軸は、ホームページ制作を支援するサービス「ベリウェブ」です。初期費用2万円、制作費0円、月額1万2800円からという形で、小規模事業者や中小企業の方でも導入しやすいモデルにしています。
知り合いの税理士の方から「ホームページを作りたい」という相談を受けたことがきっかけでした。そのときの相場が30万から50万円ほどで、「高くて作れない」「作ってもそのまま放置してしまう」という声が多かったんです。
そういった状況を見て、もっと継続的に関われる形にできないかと考えたのがサブスク型のサービスでした。世の中でも少しずつサブスクでのホームページ制作が出てきていましたが、単に安く作るのではなく、運用まで含めて伴走することに価値があると考えています。ホームページは作って終わりではなく、作ったときがスタートだと思っています。

「ベリウェブ」はサービスとして、どのように磨かれてきたのでしょうか?
原さん:とにかくヒアリングを徹底して、その会社の強みや課題を深く理解することにこだわりました。お客さまの悩みをそのまま受け取るのではなく、そこの背景にある本質的な課題を見つけ、掛け算で価値を広げていくことを意識していました。
最初の1〜2年は、すべて自分たちで訪問して、写真、撮影まで行っていました。お客さまと直接向き合うことでしか見えない部分があると考えていたからです。ただ、このやり方では事業の拡大に限界がありました。
そこで、サービス内容や提供方法を数年かけて磨き続けてきました。ヒアリングの精度や、価値の言語化の方法、運用の仕組みなどを一つひとつ見直しながら、現在の形にたどり着いています。
印象に残っている事例を教えてください。
武さん:立ち上げ当初にご相談いただいた、うきは市で改良メダカを飼育・販売しているメダカ屋さんです。これまでも事業を立ち上げてきた経験のある70代の方で、ホームページを制作会社に依頼された経験はあったのですが、途中で連絡が取れなくなってしまうなど、うまくいかなかったと伺いました。「信頼できるところにお願いしたい」という思いでご相談いただきました。
原さん:このご相談は、メダカの販売をECで展開し、全国に広げていきたいというものでした。ただ、最初は何をどう進めればいいのか分からない状態でしたので、まずは商品の魅力やこれまでの取り組みを整理し、誰にどのように届けていくのかを一緒に設計するところから始めました。ECサイトを構築するだけでなく、その後どのように活用していくかまで含めて伴走しています。

その後、どのような成果や変化がありましたか?
武さん:サイト公開後は、毎月キャンペーンを実施しながら発信を続けていきました。その中で徐々に認知が広がり、数件のテレビ取材が入ったり、リアルな場でも広がっていきました。発信をきっかけに新しいお客さまとつながる機会が増え、これまでとは違う広がり方を実感していただけました。
地方の挑戦を止めない“ブースターカンパニー”へ

今後の展望について教えてください。
武さん:地域ごとに課題や環境は異なるので、それぞれに合った形で支援していきたいと考えています。一つのやり方を当てはめるのではなく、その企業や地域に合わせて柔軟に対応していくことが重要だと思っています。
中長期では日本の優れた技術や伝統を海外に届けていきたいと考えています。例えば、愛知県の歴史ある瀬戸焼の窯元とコラボして、「ラーメンどんぶり」や「かつ丼ぶり」を海外向けに展開するプロジェクトに取り組んでいます。アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で「SHOGUN」というブランドとして販売すると、開始からわずか48時間以内に目標額を達成。日本だけでなくアメリカ、カナダ、ヨーロッパ各国からも多くの支援が寄せられました。

どれだけ良いものを作っても、それが伝わらなければ意味がありません。だからこそ、クリエイティブやマーケティングの力で、商品をより魅力的に表現し、広く届けていくことが重要だと考えています。将来的には海外に拠点を持ち、日本の価値を直接発信していける体制を作っていきたいと思っています。
原さん:日本人としての誇りを持ちながら、良いものをどう魅力的に表現し、どう届けていくのか。その部分にしっかり向き合いながら、国内だけでなく海外にも価値を広げていきたいと考えています。一つの企業が変わることで地域が変わり、その価値が海外にも広がっていく。その流れを作り続けていきたいです。
取材日:2026年3月10日 ライター:田口 有香
ラシン株式会社
- 代表者名:原 直樹
- 設立年月:2015年8月
- 資本金:500万円
- 事業内容:ホームページ制作、クラウドファンディング支援、ダイレクトマーケティング
- 所在地:〒810-0023 福岡県福岡市中央区警固2丁目16番26号 アークエムズワン6F
- URL:ラシン株式会社 https://rashin.jp/
ベりウェブ https://hp-fukuoka.com/ - お問い合わせ先:https://rashin.jp/contact
電話番号:092-725-5715






