スマートフォン1台で「人生を変える」ライブ配信事業で宮城から全国へ
宮城県出身の残間 彩香(ざんま あやか)さんが立ち上げた株式会社CREET stage(クリートステージ)は、全国で900人以上のライブ配信者が所属する事務所を運営しています。専業主婦から一歩を踏み出し、スマートフォン1台で人生を切り拓いた彼女の原点には「私でもできた」という実体験がありました。そんな残間さんに、事務所立ち上げのきっかけや今後の展望をお聞きしました。
「初めて夢中になれた」ライブ配信との出会い

立ち上げまでのキャリアを教えてください。
高校を卒業して最初に勤めたのが、健康食品会社のコールセンターです。電話対応業務を中心に、人材教育や採用面接の補助を行いました。人を育てることはマニュアルどおりにいかないことも多いのですが、自分が教えたことによって、人が成長し活躍できるようになるという点にやりがいを感じました。
2社目もコールセンターに勤務し、その後はエステティシャンに転職しました。結婚・出産を経て専業主婦になり、「家にいながらできることはないか」と考えていたとき、友人がSNSのライブ配信で収益を得ているという話を聞きました。興味を持って軽い気持ちで始めてみたことが、この世界との出会いでした。
初めての配信のことを覚えていますか?
完全な初心者で、何の準備もせずに配信を始めました。配信アプリを開き、自己紹介をしたり、子育てや日常の話をしたりするだけで、特別な企画などはありませんでした。いわゆる「雑談配信」というもので、これは現在も続けています。
配信をしてすぐに成果が出て、「初めて夢中になれるものに出会えた」という感覚でした。事前に調べずに始めたことで、難しく考え過ぎずに行動できたのかもしれません。もし下調べをしていたら「自分にはできない」と思っていたと思います。
「やればできる」。初めて達成した「月収5万円」が自信に
ライブ配信を始めて、印象に残っている出来事はありますか?
初めて月収5万円を達成したことが印象的でした。当時は子育ての真っ最中で、家でできる仕事といえば限られていて、ドン・キホーテでリップ1本を買うのも悩むような状況でした。そんな中で、スマートフォン1台でゼロから得た5万円は想像以上に大きな金額でした。
そのお金で欲しかった化粧品を買えたこともうれしかったですが、「やればできる」という実感を得たことが大きかったです。リスクもなかったので、「やれるところまでやろう」と思ったことが現在の事業にもつながっています。

事務所を立ち上げたきっかけを教えてください。
事務所を立ち上げたのはライブ配信を始めて半年ほどのことです。周囲には結婚して家庭の中で過ごす時間が長い友人が多く、私でも成果を出すことができたライブ配信の可能性を伝えたいと思うようになりました。
既存の事務所を調べましたが、紹介したいと思える所がなかったため、「それなら自分でつくろう」と決めました。
最初は5人の友人たちと始めた小さなコミュニティのようなものでした。収益よりも「楽しさを広めたい」という思いが先でしたので、ほとんど収益はありませんでした。そこから口コミで広まったり、配信を見てくれていた視聴者さんも所属してくれるなど、徐々に人が集まり、活動の輪が広がっていきました。
所属する“ライバー”は全国に900人。口コミで広がり
どういった経緯で法人化に踏み切ったのでしょうか?
所属するライバー(ライブ配信者)の人数が増え、事務所の規模も拡大していきました。そこで、より責任を持って運営するために、2023年1月に株式会社CREET stageを設立しました。社名の「CREET」は言葉の響きが気に入った造語で、“自分たちで舞台を創り上げ、少しずつステージを上がっていこう”という「CREATE(創造)」の意味を込めています。
事務所には現在、全国で約900人が所属しています。私自身に特別なスキルがあったわけではなく、少しずつ積み重ねてここまで来ました。広告を出さずに口コミだけで広がっていったのは大きな自信になりました。
ライブ配信から広がる3つの事業の柱
現在の事業内容を教えてください。
現在はライブ配信を軸に、「ライバー育成」「代理店展開」「ライブコマース」という三つの事業を中心に行っています。収益はTikTokなどの配信プラットフォームから支払われる報酬が主です。視聴者からライバーへギフトで送られた金額が一定の割合で配分される仕組みになっています。
一つ目のライバー育成では、新人ライバーを一人ひとりサポートし、トークスキルの指導やメンタル面の支援を行っています。実績のあるライバーが講師として教える体制をとっており、所属する全員が長く活動を続けられることを目指しています。
二つ目の代理店展開は、ライブ配信事業に参入したいと考えている事業者、個人の方を対象とした仕組みとなっています。ライブ配信の知識が0でも、お持ちのコネクションを生かしライブ配信で活躍する人材を生み出すことが可能になります。
三つ目のライブコマースは、商品の販売と配信を組み合わせた新しい分野です。ライバーが配信内で商品を紹介し、購入につなげる仕組みで、今後さらに伸ばしていきたい事業です。
「何事もやってみないと分からない」という性格なので、ほかにも、アパレル事業やマーケティング事業に取り組んだことがありました。現在はライブ配信を軸とした事業に注力していますが、いずれこうした経験も生かしていきたいと考えています。
「手と手」を取り合い成長する仲間たち
御社の強みを教えてください。
直営事務所の「tetote(テトテ)」という名前には、「みんなで手と手を取り合って、みんなでステージを上がっていこう」という意味を込めています。
ライブ配信の仕事は華やかに見えても、実際は体力もメンタル面も必要な仕事です。視聴者から大きなお金をいただくことに重圧を感じたり、逆に実績が上がらないことで自分を無価値に感じてしまう人もいます。
だからこそ事務所では、精神面のサポートを大切にしています。ライバー同士が声をかけ合い、苦しい時には支え合う。自然に互いの強みを生かせる組織ができあがっています。
ライバーが視聴者に提供する「価値」
ライブ配信は視聴者にとってどんなものだと感じていますか?
癒しを求める方、娯楽として楽しむ方など、理由はさまざまですが、ライブ配信が生活の一部になっている方も多いと感じています。ライバーの多くは毎日配信をしており、その時間が視聴者にとって家族との会話のようなものになっている場合もあります。
配信内でファンを「ファミリー」と呼ぶ文化があるほど、親密な関係性が生まれやすい世界です。ライバーを応援し、チャレンジ企画などの時間を共有する中で、学生時代のような一体感を味わえることもあります。
ライブ配信にはさまざまなドラマがあり、ライバーは単に話をしているのではなく、そういった価値を提供しています。
「人生が変わる瞬間」を見る喜び
仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか?
ライブ配信を通してその人の人生が変化するのを間近で見ることができるのがうれしいですね。人生が180度変わって楽しそうに配信している姿を見るとやりがいを感じます。
そうした時にもっと会社を大きくしていきたい、ライブ配信で夢を叶える人を増やしていきたいと思います。
売上10億円を目指し、「チームで前へ」
今後の展望を教えてください。
5年以内に売上を10億円規模にすることを目指しています。所属ライバー数を1,000人以上にし、組織も大きくします。私も経営者としてレベルアップしたいと思っていますが、足りない部分を補ってくれる人材を採用していきたいと思います。
一緒に働く人にはどのようなことを求めますか?
仕事を楽しめる人と一緒に働きたいと思っています。ライブ配信という仕事は、前例もマニュアルもほとんどありません。想定外のことが起きることも多く、柔軟な考え方や対応力が求められます。そうした中でも「どうしたらうまくいくか」を前向きに考えられる人、自発的に動ける人が理想です。与えられた仕事をこなすだけでなく、「一緒に会社を良くしていこう」と思える仲間であってほしいと思います。
私は経営者としてまだ学ぶことが多く、社員に頼る場面も多々あります。だからこそ、上下関係よりも“ともに成長する関係”を大切にしています。楽しみながら挑戦を続ける姿勢を持ち、チームと一緒に前へ進んでいける人を求めています。
取材日:2026年2月6日 ライター:川村 忠寛
株式会社CREET stage
- 代表者名:残間 彩香
- 設立年月:2023年1月
- 資本金:100万円
- 事業内容:SNSライブ配信、個人向けSNSライブ配信マネジメント
- 所在地:〒980-0013 宮城県黒川郡大和町吉岡まほろば1丁目4番地の6 146アパートメント+n1階A号室
- URL:https://creet-stage.com/
- お問い合わせ先:022-208-8954
- メール:






