WEB・モバイル2025.11.12

先代の不動産広告から始まった広告代理店。営業と制作の“一枚岩”で挑む、100年先への歩み

新潟
株式会社フジクリエイティブセンター 代表取締役社長
Kennosuke Sekiguchi
関口 健之介

新潟市を拠点に、地域密着型の広告代理店として57年の歴史を持つ株式会社フジ・クリエイティブセンター。創業は不動産広告からスタートし、父である現会長の手で事業を拡大。その後、Macintosh導入によるデジタル制作への早期挑戦や、社員主体の組織づくりにより、地域の課題解決に取り組んできました。社長の関口 健之介(せきぐち けんのすけ)さんに、社員とともに変化を捉える現在の姿勢、次の100年を見据える思いを語っていただきました。

“老舗広告代理店”から、新しいビジネスモデルへ

会社設立までの経緯を聞かせてください。

創業者は私の父で現会長です。新潟市内の商業高校を卒業後、銀行に就職。その職場の先輩と一緒に和広という広告代理店を立ち上げました。今から60年以上前のことです。そのノウハウを生かし、さらに広告を通して、地域の暮らしに貢献していきたいと独立して、弊社を立ち上げました。

当時の事業内容はどのようなものだったのですか?

創業当初は新聞広告やチラシなどが中心だったそうです。業種も不動産や住宅がメインで、新聞のラテ欄(テレビやラジオの番組表)下の広告では当社の営業力が発揮されていました。

現在の事業内容を教えてください。

一般的にいう広告代理店業ではありますが、メディアから手法まで、時代のニーズに合わせた提案/制作を行っています。特にクライアント様の課題解決を目的とし、従来のメディア展開だけでなく、新しいWebサイト・プロモーションビデオのクリエイティブ、SNSで行うインターネット広告運用まで、実に幅広い業務に対応しています。

地方でいち早くMac導入。デジタル転換で得た武器

創業から57年、さまざまな出来事があったと思います。その中でも御社にとって転換期となった出来事を教えてください。

Macintoshの導入でしょうか。県内の広告代理店の中では比較的早い1994年ごろにはデジタルでの制作に取り組みました。
また1998年頃からはWebサイト制作の業務もスタート。これもローカルの広告代理店としてはパイオニア的だったと自負しています。このころからデジタルに携わっているため、社内では非常に多くのノウハウを蓄積できましたし、それが今の業務にも生かされていると思います。

そうなると、現在の業務の多くはデジタル的なものになるのですか?

確かにデジタル制作は不可欠になっています。それによって、広告の可能性や質が高まりますからね。しかし、当社には県内広告代理店ではおそらくトップクラスのクリエイター人数を抱え、弊社ではお客さまの急な修正依頼などにもフレキシブルに対応して制作ができます。
そういった点を評価していただき、広告制作やチラシ制作など紙媒体に関わるお仕事を多くいただいています。

クリエイターの方を社内に多く抱えているとのことですが、そのような体制になった経緯を教えてください。

あくまでも私の推論ですが、創業時メインとしていた不動産広告の流れからだと思います。掲載を予定していた物件が売れてしまったので差し替えが必要など、入稿直前になっての差し替えが頻繁に発生していたようです。そこで素早い対応ができるように、社内にデザイナーをはじめ、クリエイターを多く置くスタイルになったのだと思います。

100年企業構想を支える営業から制作までの社内一貫体制

御社ならではの強みを教えてください。

スピードと細やかな対応力でしょうか。当社では営業から制作まで、専門スタッフがおり、クライアント様の要望に素早く応える体制を整えています。社内でチーム編成し、打ち合せからコンセプト、提案まで、クライアントの要望をカタチにしています。これは一貫体制で効率的かつ迅速で進行できる当社ならではの強みであると自負するだけでなく、社内外からも評価をいただいています。

御社のWebサイトに「100年企業を目指す」とありますが、その真意を教えてください。

会社は、持続可能な体質であることが何よりも大切だと思っています。それは、クライアントだけでなく、社員の未来にも責任をもつということです。会長は元銀行マンでということもあり、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)の管理をしっかりするという考えを大切にしてきました。短期的な利益をどれだけ上げられるかというPLも大切ですが、長期的な資産・財務体質の健全性を大切にするBSに対してはより重視していて、自己資本比率は約90%で無借金を続けています。派手さにとらわれるのではなく、事業を通して地道に信頼を築き、存在価値を高めるという考え方。「関わる全ての人たちと今を未来へとつないでいくこと。」そういう想いを「100年企業を目指す」という言葉に込めています。

プロとしての自覚と探究心。“変化に強い組織”の在り方

現在、御社が力を入れていることや取り組み始めたことはありますか?

計画はいろいろとありますが、そんな中で社員発信で進行していることがあります。今、複数人の社員が「ブランディングマネージャーの資格取得をしたい!」と要望してきて、鋭意チャレンジ中なんです。これは私が指示したのではなく、社員自らが、お客さまと密なやり取りをしている中でニーズがあることを実感したようで、たまたま同じタイミングで複数人が相談したうえで私に上げてきました。変化の激しい業界ですので、私としてもブランディングマネージャーというものの重要性を考えていたところだったので、社員の方から声が上がってきたことにうれしさを覚えました。

社長に社員が直接要望を言える環境というのは、御社の風通しの良さが伺えますね。

会長が前職で小言や文句を常に言われていたようで、それを教訓に自分の会社ではギクシャクした関係性がないようにしたそうです。そういった意味では、上下関係ではなく、全員が仲間であり、自然と風通しが良くなっているのかもしれません。まあ社風なのでしょうね。
だからこそ、仕事のやり方に関しては社員に任せていることも多いです。自分たちで考え、提案し、カタチにしていく。自分の責任として主体的に動ける社員は私の誇りです。

ほかにも社員の方にまつわる印象的なエピソードはありますか?

新たな技術や流行など、時代の潮流や情報に詳しい社員が数人いることで、日々の事業運営でとても助かっています。最近は特に変化が激しく、勉強したと思ったらもう新たな技術が普及しているということも多いです。しかし、情報集めや分析が得意な彼らのおかげで、私を含めた社内全員がいち早く「次」をキャッチできるので、焦らずに対応することができています。

情報の共有という点でいえば、御社は総合広告会社である ADK(ADKマーケティング・ソリューションズ/ADKグループ)が展開しているADKパートナーズネットワークにも参加されていますよね?

はい。ADKと全国各地の広告会社が連携する仕組みです。これによって、大手広告会社のノウハウや企画力を活用できるだけでなく、全国各地の成功事例などを共有することで、弊社のクライアントにより効果的な提案を行えることは広告会社として大きな武器です。

徳川家康の言葉を胸に。社長が描く未来図

関口さんの座右の銘を教えてください。

座右の銘と言うより、小さな頃に出会って、今も印象に残っている言葉があります。徳川家康の言葉で「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し 急ぐべからず」です。「人生の困難や重責を、重い荷物を背負って長い道を歩くことに例え、焦らず、一歩一歩着実に進むべきだ」という意味ですが、なんだか自分自身に言われたような気がして。今もできなかったり、苦労したりしても、この言葉に立ち返って焦ってただ急ぐのではなく、落ち着いてより良い方向を模索し続けています。それが根底にあると余裕が生まれるんですよ。だから仕事では、仕事の上での判断や行動にはスピード感はすごいですよ(笑)。

これからの展望について教えてください。

会社の規模拡大や新しい業態進出をするというより、今を継続していくことが基本と捉えています。その上で時代に即応し、広告会社ならではのトレンドを発信し、消費者が求めるもの、クライアントのニーズとのマッチングを実現できるよう、常に準備を怠らない。そして健全な経営を引き続き行って新潟という街に貢献していきたい。それこそがフジ・クリエイティブセンターという会社の存在価値だと思います。

どういったクリエイターと一緒に仕事をしたいですか?

基本的にはベクトルを同じにした方たちでしょうか。そこにそれぞれの知識や技術、個性を発揮してくれることで、どんな化学反応をおこして、どんなものが生まれて社会に貢献していくか楽しみで仕方ありません。楽しみながら一緒にいいものがカタチにできたらきっと素敵ですよね。

取材日:2025年9月16日 ライター:コジマ タケヒロ

株式会社フジクリエイティブセンター

  • 代表者名:関口 健之介
  • 設立年月:1969年7月
  • 資本金:3,000万円
  • 事業内容:広告代理業
  • 所在地:〒950-0993 新潟県新潟市中央区上所中3-11-8
  • URL:https://www.fuji-cc.co.jp/
  • お問い合わせ先:025-283-6000

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