グラフィック2023.11.08

多様なアート・デザインの経験生かし「感動や幸せを届ける架け橋に!」

岐阜
株式会社Pont avec ART 代表取締役
Komori Kazuyo
小森 和代

東京・名古屋の広告代理店の経験をもとに、デザイン制作だけでなく、デザインによる販売促進・業績アップのコンサルティング、企業の商品開発指導など幅広く展開する株式会社Pont avec ART(以下、ポン・アヴェック・アート)。多くの実績から信頼され、25年以上業界の第一線で活躍しています。代表の小森 和代(こもり かずよ)さんの起業までのストーリーやアート・デザインに大切な心構え、展望、クリエイターへのメッセージなどをお聞きしました。

岐阜の美術高校で専門性が高い基礎や技術を学び、美大に通いながらアート活動をはじめる

小森社長が社会人になるまでのストーリーを教えていただけますか?

物心ついた頃から絵や工作が大好きでした。幼稚園・小・中学校では絵のコンクール等で毎年受賞していたことから、美術の先生にそれを活かした道に進むことを勧められました。ただ当時は女性が特化した仕事でバリバリ働ける環境も、アートの世界で食べていけるイメージもない時代でしたので、アートに無縁な家庭で育った両親からは常に反対されていました。
そんななか当時の先生方が両親に働きかけ、強く背中を押してくれたおかげで岐阜県の美術高校に入ることができました。高校ではデッサンや油絵、日本画、彫刻、デザインなどを学び、早朝から遅い時間まで制作に追われる毎日でした。大学進学では家から通える名古屋の美大を親から勧められ一時東京行きを断念しましたが、デザインを専攻しながら版画、ビデオアート、現代美術、テキスタイル、染色等、新たな分野の芸術を学びました。同時にアルバイトをしながら個展やグループ展を開催していました。

東京でのさまざまな経験を通じて独立。苦渋の決断で諦めたアート活動

 

社会人になってからのキャリアをお聞かせください。

大学で学んだビデオアートの知見を深めるために卒業後は上京し、大手の映像編集会社に入社しました。芸能人とも頻繁に顔を合わせる華やかさがある一方で、ほぼ24時間体制のような激務と給与の面で生活を続けることが難しく、半年ほどで貯金が尽きてしまいました。そんな不安な状況のなか世界的に著名な画家のアシスタントの面接に受かり状況が一変し、希望でいっぱいでした。
喜びも束の間、最初はアトリエに入ることも許されず、掃除や雑用で1日が終わる日々。先が見えず何度もやめようと思いましたが、ひたすら完璧な掃除と対応を心がけました。半年後ようやく認められ、数メートルもある大型の絵画・現代美術、お城の壁画制作など通常では体験できない制作に携わらせていただき、自身のアート活動にもいい刺激をいただきました。
それから芸術家として活躍する道筋が見えかけた頃に、筆が持てないほどの腱鞘炎になってしまい、医師から「これ以上続けたら、もう絵が描けなくなるかもしれない」と言われ、アート活動を一時やめざるを得なくなってしまいました。それから東京の広告代理店にてグラフィックデザイナーとして頑張っていこうと、大きな決断をし現在に至っております。家の事情で岐阜の実家に戻ってからは、名古屋の広告代理店で、企業の制作物を中心に様々な制作をさせていただきました。その後、共同で岐阜にデザイン事務所を立ち上げました。

デザイン制作に加え、実績に基づいたコンサルやアート教育も

ポン・アヴェック・アート設立までのいきさつも教えてください。

立ち上げた岐阜のデザイン事務所でデザイナー・アートディレクターとして、さらにキャリアを重ね、子育てをしながら制作以外の仕事も一手に担っていました。
また中小企業庁119(旧ミラサポ)・商工会議所の専門家として、企業の業績アップや商品開発の指導など、実績に基づいたコンサルティングにも力を入れていきました。2015年には私自身のKAZU.DESIGN PROJECTを立ち上げ、21年に法人化して、株式会社ポン・アヴェック・アートを設立しました。法人化し広告物のグラフィックデザイン全般やアートディレクションに加え、モノづくりや商品開発のサポート、コンサルティング、アート教育など幅広くチャレンジできる環境になり、自身のアート活動も始めることができました。

会社名「Pont avec ART」の由来を教えてください。

Pont avec ART(ポン・アヴェック・アート)は、フランス語で「芸術へとかける橋」という意味です。子どもの頃からアートが大好きで続けてきた私の経験と活動で、多くの方々に芸術の素晴らしさを伝える架け橋になれれば…という思いを込めて、この社名にしました。

デザインを通じて、多様な課題解決に挑む

現在はどのような事業を手がけておられますか?

ロゴマークや会社案内・パンフレット、パッケージ、看板、イベント販促物などのデザイン制作はもちろんですが、問題解決するコンサルティングを含めたトータル案件も多いです。実績に基づいたコンサルティングでは(旧ミラサポ)お客様評価5つ星をいただきました。ターゲットの心に届く満足いただけるデザインクオリティーを大切にしております。※中小企業119・エキスパートバンクの専門家としても登録。

これまでに手がけられたおもしろいプロジェクトを教えてください。

25年以上デザインの仕事に携わっていますので、様々な案件を経験してきました。街の集客を目的とした『ダムカレープロジェクト』ではブランディングからアートディレクターとして参加し、トータルでデザイン制作をいたしました。コロナ禍のイベントも心配されましたがメディアに多数紹介され話題になりました。また名古屋の土・肥料メーカーでは商品パッケージを多数リニューアルし、ロングセラー商品に育て上げることもできました。また老舗のパンメーカーには、責任ある定番商品のデザインを任せていただき売り上げアップに貢献し、開発チームの指導と共に、新商品シリーズも発売しました。陶磁器販売の会社と連携し、「お誕生日月メモリアルプレート」やお子様向けの食器を制作し、食器の絵柄のイラストも含め、アートディレクションから全て制作をし、こちらも複数の雑誌で取り上げられました。様々な制作をさせていただき、ご依頼いただいた方々には感謝しています。

いちばん大切なのは、魂を込めて制作すること。心を動かすデザインの力

HPを拝見して「人の心を動かすデザイン」を大事にされているように感じましたが、デザインするうえでどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

デザイン制作は、ただ素敵なデザインをすればいい訳ではなく、「この商品を使ってみたい!」「このイベントに足を運んでみたい!」など、見た方の心に火をつけ行動に導かなければなりません。
たとえば、一つの商品を購入する際には「目に留まる → 手にとる → 購入する」という心の経過があるわけです。そのすべての段階で心を掴めなければ、私たちの仕事の目的は達成されませんので、粘り強く制作します。
また現場に足を運んで自身の目でリサーチすることで、見落としている問題に気づくことも多くあります。そういった地道な努力が人の心を動かし、ヒット商品に繋がると信じています。

小森さんのようにデザインの世界で長年活躍するために、大切なことは何でしょうか?

大袈裟かもしれませんが、ご依頼いただいた方の人生がかかっていると思いながら、一つ一つ魂を込めて制作しています。営業的なことは得意ではありませんが、結局はそういった想いが伝わり、次につながっていくのだと思います。誠実な気持ちがなければ、本質的なデザインやモノづくりはできないと思っています。

「美術が大好きな子どもたちがのびのびと目指せる」業界に。東海地方に活気を

これから、どのような会社にしたいとお考えですか?

デザインには、さまざまな課題を解決し、流れを変える力があります。それをもっと多くの方々に知っていただけるような活動を、これからも精力的に続けていくつもりです。
また、今までの経験を生かし自社ブランドも立ち上げることも考えています。アートの可能性を多くの方に知っていただけますし、子どもたちに日本人ならではの『丁寧なものづくり』を知ってもらえたらと思います。また「クリエイターはお金にならない仕事」というイメージがあるので、そういった一歩一歩でクリエイターが活躍できる未来を築き、美術が大好きな子どもたちがのびのびと目指せる環境を作っていきたいですね。

東海地方(特に岐阜県)のクリエイティブ業界に対して、今後どのように貢献したいとお考えですか?

昨今では「デザイン経営」が話題になっていますが、東海地方ではまだまだ伝わっていないように感じます。経営にデザイン思考をプラスすることで、今までにない方法で新しい視点でイノベーションを起こすことができ、業績アップにつながることをより多くの方に知っていただきたいです。そして、デザインの力で東海地方の経済活性化に貢献できる存在になれたら嬉しいです。

大好きなアートとデザイン、両方を大事にすればいい

最後に、世の中のクリエイターにメッセージをお願いします。

私の中でアートと仕事でのデザインは分けて考えていました。アートは自分の気持ちを正直にアウトプットし個性を表現するもの。仕事でのデザインは、お客様のためのもので個性が第一ではなく、いかにお客さまの要望に応えられるかを大切にするもので真逆なイメージすら感じていました。両方の世界を経験してきましたが、同時期にチャレンジすることは難しいと考えていました。そんななか『二刀流』という相反するものを軽やかにこなす最近の方々に私も影響を受け、再びアート活動も始めました。難しく考えずどちらも楽しもうと思っています。
先が見えにくく大変なことも多いクリエイターの仕事ではありますが、アートが好きな未来の子どもたちのために明るい環境を残せるよう、共に楽しんで頑張っていきましょう。
ポン・アヴェック・アートに興味を持ってくださり、一緒にコラボをしたい企業様、また当社とお仕事をしたいクリエイター様、お気軽にご連絡ください。

取材日:2023年9月27日

株式会社Pont avec ART

  • 代表者名:小森 和代
  • 設立年月:2021年11月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:広告デザイン制作全般、デザインコンサルティング、商品開発サポート、新商品・PB商品・新事業のアートディレクション、キャンペーン・イベントの企画制作、アート活動、アート支援活動
  • 所在地:〒500-8453 岐阜市加納鉄砲町1丁目25番地
  • 電話番号:058-277-8070
  • URL:https://kazu-dp.com/
  • お問い合わせ先:

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