WEB・モバイル2021.11.10

目指すは「100年リレー」人材力で新事業を創造するC&C

京都
C&C株式会社 代表取締役
Hirotsugu Yamaguchi
山口 博嗣
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京都のビジネスの中心地、烏丸御池エリアに自社ビルを構えるC&C株式会社。一流ホテルかと見紛うほどの美しいエントランスを持つこのビルは、「会社設立当初から頑張ってくれた社員の力の結晶」だと代表取締役の山口博嗣(やまぐち ひろつぐ)さんは語ります。

ジュエリーからブライダル、インターネットコンテンツ、ECまで、幅広い事業展開を見せるC&Cが大切にしている会社の「軸」とは一体何か? 変化の中でもぶれない組織を作るための心得を伺いました。

ジュエリーの卸売業から始まり、幅広く事業を展開

御社の原点となった事業について教えてください。

私たちの会社は、ジュエリーの卸売業からスタートしています。最高品質の原石を仕入れてオリジナルカットで仕上げたダイヤモンドは「世界で一番輝くダイヤモンド」と評価いただいており、ブライダルジュエリーとしても多くの引き合いを受けています。さらに、ダイヤモンドのカッティング技術では特許を取得しており、他社には真似できない唯一無二のジュエリーが私たちの原点であり、今なお主力事業となっています。

そこから徐々に事業を広げていかれたのですね。

はい、お客さまやクライアントの声を反映させながら、少しずつ新しい事業を開拓してきました。私たちの社名の「C&C」は、「Change & Creation」つまり「変化」と「創造」から来ています。常に変化を恐れず、お客さまから必要とされるサービスを提供することは、会社の大切な方針でもあります。

ジュエリー事業からまず派生したのは、ブライダル事業。これは、ジュエリー事業においてブライダルジュエリーを多く手掛けていたためです。その後、社員の提案で、シルバーアクセサリーの通販事業が始まりました。事業の多角化が本格的に進むのはちょうど西暦2000年を迎えた頃。社会のIT化がどんどん進んでいくのを肌で感じていた時期でした。

アクセサリーの通販によりITの技術を高める必要を感じたのでしょうか?

そうです。アクセサリーの通販事業を通して、戦略的でスピーディーなWebサイト制作が必要だと痛感しました。そこで、インターネットコンテンツ事業部「a-spec(エースペック)」が立ち上がります。エースペックによって自社内でのWebサイト制作が可能になり、インターネット上でのプロモーションの幅が広がりました。デジタルスキルを活かした事業展開が可能となったのです。そのひとつとして成功を収めている新事業が、昨年立ち上げた社内フォトスタジオ「LICIAN(リシアン)」です。

社内の声を聞き、時代のニーズに合ったサービスを提供

 

「リシアン」はどのような事業でしょうか?

一言で言うと、新郎新婦さまを対象とした前撮りサービスです。リシアンは若い世代の方に話題の「新たなフォトウエディング」のスタイルを取っており、豪華でドラマティックな写真が撮れる点が、他とは一味違うところです。烏丸御池にある自社ビルにはドレスのショールームやヘアサロンも併設していますから、ドレスからヘアメイク、撮影まですべてがこの建物の中で叶います。ビル内には、40名ほどが入る小さなチャペルもあるんですよ。

衣装だけでなく撮影スポットも? ビルの中にチャペルまであるとは驚きです。

エントランスロビーの大階段も、ドレスが映えるフォトスポットとして人気です。もちろん、ロケーション撮影も可能で、京都市内の寺社仏閣と提携しています。おかげさまでリシアンはお客さまから大変ご好評いただいており、ここ数か月は予約でいっぱいです。フォトウエディングとして写真だけ残される方はもちろん、式場で結婚式を挙げられる方が、前撮りだけはリシアンにご依頼いただくケースが多いです。1度だけではなく、毎年足を運んで撮影してくださるお客さまもいらっしゃいます。

「新たなフォトウエディング」という事業のアイデアには、若い感性を感じます。

事業を生み出すにあたって時代に後れをとらないよう、情報感度は高くするよう心掛けています。新事業のアイデアは幹部でも当然話しますが、社内から挙がった声は特に大切にするようにしています。現場の社員との会話の中で生み出されたアイデアはできるだけやってみる、チャレンジする社風です。トップダウン方式ではないので、アイデアが形になるスピードも速いですね。まさにそれが形になったのが、リシアンという事業でした。社員の若い感性があったからこそできた、オリジナリティのある事業だと思います。

他にも斬新なアイデアから生まれた事業はありますか?

少し変わったところでは「タクシー運転手の派遣教育事業」があります。タクシー業界の離職率は、3ヶ月で5割ほどと言われており、実はかなり高いんです。運転手になりたいと思っていても、実際になってみるとイメージとのギャップが大きく、すぐ離職してしまったり、ネット上の評判で就職に二の足を踏んでしまったりする現状があります。

そこで私たちは、そのような方々の不安を払拭できるような事業を立ち上げました。タクシー運転手志望の方が入社前に研修を受け、心構えができたうえでタクシー会社に就職できるシステムを整えました。研修は対面もしくはリモート形式で行い、タクシー会社の概要や、どうやったら長く続けられるのか、お客さまを獲得して継続して売り上げをアップしていくためのコツなど、かなり踏み込んだところまで説明します。入社時のイメージをできるだけ具体的に持てるようにするのがポイントです。

こうして研修を受けていただいた人材を、タクシー会社に紹介します。運転手志望の方は事前に心構えができた状態で入社できますし、タクシー会社は売り上げの立て方までわかった人材を採用できますから。双方にとってメリットがあり、特にタクシー会社側からは、離職リスクを下げ、質の高い人材を集められるとご好評いただいています。この事業は現在、東京、埼玉、横浜、千葉のタクシー会社を対象に行っていますが、これからは全国各地で展開していきたいと考えています。

様々な事業を手掛けるにあたって大切にしていることは何ですか?

私たちの事業の中心は常に「お客さま」です。弊社の原点はブライダルジュエリーにありますから、ジュエリーを購入されたお客さまが結婚式を挙げられ、住宅を購入され、天寿を全うするまでの、人生のサイクルに関わる事業を進めていきたいと考えています。サービスを受けるお客さまに喜んでいただけるかどうか、それが事業を見極めるうえでのポイントとなっています。大切にしているのは、世代を超えて受け継がれていく想い。私たちの会社が掲げている目標は「100年リレー」です。時代の変化に対応しながら、10年先、20年先を見据えた事業展開を行っていきたいと考えています。

 

会社の一番の資源は「人」

Webサイト:https://www.cc-g.vg/

社員の方の育成に力をいれていらっしゃるそうですね。

私たちの会社では、10年、20年と継続して働いている社員が全体の3分の2を占めています。創業年数が30年であることを考えると、これは非常に高い数字といえるでしょう。創業以来、最も力をいれてきたのが社員教育です。創業者であるオーナーが常に申しているのは「会社の一番の資源は人である」という言葉なのですが、その精神が今も変わらず受け継がれています。

どのような方法で人材育成をしていらっしゃいますか?

「ナレッジ制度」と呼ばれる社員教育の場をとり入れています。新入社員への研修はどこの会社でも行われていますが、私たちは社員全員が毎週必ず、教育と交流の場を持つようにしています。部署ごとに4~8人くらいのチームを組み、日ごろの業務の中でできている点、できていない点をお互いにフィードバックし合うんです。素直に意見を言い合えば、自分の改善点に気づけますし、社員同士の結束も強まります。コミュニケーションをとりやすい職場環境作りが、仕事を長く続ける秘訣にもなっているのだと思います。

この研修はすべての部署で行われているのですか?

はい。ナレッジ制度は、営業など頻繁に報告が必要な部署だけでなく、ルーティーン業務を行う内勤であっても必ず週1回行っています。会社にとって大切なことを考え、そのために何ができるかを自問自答して、最後までやり切る人材を育てたい。向上心を持って素直に仕事に向き合い、成長できる環境作りを目指しています。

なぜそこまで社員教育を重視されているのでしょう?

会社は「人」の力があれば、事業や業態が変わっても確実に生き残れる。変化の激しい社会でも対応していける。そう確信しているからです。実際に今回のコロナ禍でも、社員の力を感じる出来事がありました。先ほど話に出たフォトスタジオ・リシアンは、数年前から立ち上げ準備を進めていましたが、立ち上げがすぐ目前に迫ったところで、コロナ禍が襲ったのです。想定外の出来事に、不安を持たない社員は、1人もいなかったと思います。しかし、皆が一丸となって創意工夫し、WebサイトやSNSを使って認知を広めていきました。その結果、今はたくさんのご予約をいただけるようになったのです。ふたを開けてみれば、コロナによるダメージはほとんどありませんでした。これは、皆がそれぞれのやるべきことを一生懸命やってくれた結果でしょう。

逆境でこそ、会社の人材力が生きたのですね。

コロナが引き起こしたこの状況は、局地的に起きている出来事ではありません。世界中のすべての人が直面している出来事です。逆境を乗り越えなくてはいけないのは皆同じで、だからこそ「どう頑張るか」というプロセスが大事なんです。頑張ってくれた社員がいてくれたからこそ、苦しい時期でも会社はバラバラになることはありませんでした。頑張っている社員を見ていると、自然と「自分も頑張ろう」と思えます。その気持ちを忘れずにこれからも成長し続けたいと考えています。

取材日:2021年9月28日 ライター:土谷 真咲

C&C株式会社

  • 代表者名:山口 博嗣
  • 設立年月:1999年8月24日
  • 事業内容:ブライダルのトータルプロデュース、ブランドジュエリーの製品販売及び各種卸し業、インターネットコンテンツ事業、インターネットコマース(EC)事業
  • 所在地:〒604-8162 京都府京都市中京区七観音町 629-1
  • URL:https://www.cc-g.vg/
  • お問い合わせ先:https://www.cc-g.vg/form/form_4.html

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