10万円台の3Dプリンター Cube®(キューブ) ~3Dプリンターの現状と今後~

Vol.103
株式会社イグアス 3Dシステム事業部事業部長 上野一弘さん
家庭用の3Dプリンターや一般ユーザー向けの専門書が次々と登場、3Dプリントサービスも普及してきたりと、3Dプリンターにまつわる動きは、ますます盛り上がりを見せています。現在の2次元プリンターのように、どの家庭にも3Dプリンターが普通に置かれる時代も遠くない・・・。 そこで今回は、法人向けから個人向けまで、様々な3Dプリンターの取り扱いとサポートを手がける株式会社イグアスの3Dシステム事業部事業部長の上野一弘氏にインタビュー!川崎市内のショールームで、実際に3Dプリンターのデモンストレーションを見せていただきながら、3Dプリンターの現状と今後について、興味深いお話をお聞きしました!

日本の「モノ作り」文化にも3Dプリンターの波到来 製造業を中心に導入が進む

御社が3Dプリンターを扱うようになったのは、いつ頃ですか?

2009年頃から注目し、北米の3Dプリンターメーカーである「3D Systems」の一次代理店として、法人向けの数千万円単位のものから、個人向けの10万円台のものまで幅広く扱っています。ディストリビューション企業として、導入から運用までパートナー様の支援をしているので、3Dプリンターに関してはあらゆる角度から経験と実績を積んできました。

3Dプリンターの実績は伸びているのでしょうか?

部品メーカーなどの製造業を中心に導入が進み、ここ数年、前年比30~40%増で推移しています。主な用途は、部品やパッケージなどの試作品製作ですね。これまでは外部に試作品を発注しなければなりませんでしたが、3Dプリンターを導入すると、自社で作ることができます。それでも、欧米に比べればまだまだ導入が遅れていますね。

遅れている理由は?

実はモノ作りの感覚が欧米と日本では少し違うんですよ。欧米は「積み上げる」文化で、とりあえず形にしてしまうので3Dプリンター向きの感覚なのですが、日本は形あるものを「削る」文化なんです。日本の職人は技術があり器用ですから、削ることで非常に精度の高い部品を作り上げてきました。感覚的に受け入れにくいところがあったと思いますが、それでも寝ている間に試作品ができてしまう使い勝手の良さを理解してもらって、日本のモノ作りの文化の中に組み込まれ始めた、というところです。もちろん、3Dプリンターの価格がグッと下がってきたことも大きいですね。

10万円台の家庭用3Dプリンター登場! 日本でも本格普及へ!

低価格と言えば、御社で扱っている家庭用3Dプリンター「Cube®(キューブ)」は10万円台ですよね!そんな価格で3Dプリンターが手に入るなんて、夢のようです。

Cube®

Cube®

3Dプリンターに関しては、ごくコアな人たちをターゲットにした2000年頃の第1世代、多様な派生プリンターが出現した2005年頃の第2世代を経て、いよいよ「普通の人」が手軽に使える第3世代に入った、と言われています。アメリカでは第1世代の頃から人気でしたが、日本ではようやく第3世代に入ってから熱が高まってきた、というところでしょうか。Cube®は渋谷に平成12年10月にショールームを作ったのですが、1年弱で数千人の人が来場し、取材も殺到しました。

「ついに日本にも3Dプリンターが来た!」と感じた人がとても多かった、ということですね。

そうですね。見て楽しんでもらう役割は十分果たせたと思うので、渋谷のショールームは「使ってもらう」ことを主眼において、ワークショップを開催する体験の場にリニューアルしました。3Dプリンターの裾野を広げて行きたいですね。

家電量販店大手のヤマダ電機とも提携されているそうですね。

Cube®の記事を見て、社長直々に「これからは3Dプリンターの時代。ぜひ扱いたい」とオファーをいただいたようです。ヤマダ電機の基幹店では、Cube®のデモンストレーションをしていますし、サンプルの展示もしていますので、興味があればぜひ行ってみてください。 ■ヤマダ電機 | ヤマダ電機にて3Dプリンター取扱開始!: http://www.yamada-denki.jp/service/3dprinter/

他にも廉価版の3Dプリンターは発売されていますが、Cube®の良いところは?

他の廉価版プリンターに比べて、精密な表現ができます。再現性に優れているということですね。製造元の3D Systemsは業務用の非常に高度な3Dプリンターも製造していますから、その技術を活かした精密性、コントロール性に関しては、他のメーカーよりも一日の長があります。

Cube®デモンストレーション ※編集部の時間の都合で完成前までの撮影となっております。申し訳ありません。 ※写真をクリックすると拡大表示されます。

直感的な3Dデータ作成が普及のカギ 5万円台の3Dハンディスキャナーも登場!

裾野を広げて、より普及していくための課題はありますか?

ハードの3Dプリンターの価格はここまで下がりましたが、やはりソフト面の課題があります。3DデータのSTLファイルを作るためには、3DのCADソフトが必要になるのですが、買えば高いですし、扱えるようになるには時間がかかります。簡単にSTLファイルを作れるソフトも登場していますが、まだ一般的ではありません。現在普及している2次元のグラフィックソフトのように、直感的に3Dデータを作れるようになることが必要ですね。

普及しているアメリカでは、3Dデータはどのように入手しているのでしょうか?

3Dデータを無償で提供しているWebサイトがたくさんあります。Cube®の開発元の3D Systemsが運営している「cubify.com」というサイトでも3Dデータを提供していますし、一般ユーザーも無償や有償の3Dデータを配布しています。そこから自分の作りたいものを探してダウンロードすれば、CAD ソフトがなくても家にある3Dプリンターで作ることができるようになっています。指でなぞるだけで3Dデータが作れるiPhoneアプリもあるんですよ。ただ、Webサイトもアプリも英語版だけなんですよね・・・。

英語が苦手な日本人にとっては、ハードルが高いですね(笑)

Sense™(センス)

Sense™(センス)

3Dプリンターはあってもデータが作れない、というギャップを埋めるために、ハンディスキャナー「Sense™(センス)」の扱いを今年の1月からスタートしました。立体物を360度スキャンすることで、特別なソフトを使わなくても3Dデータを作ることができます。価格も5万円台と手軽ですし、付属のソフトウェアでCube®で出力するためのSTLファイルに変換できますので、Sense™とCube®があれば、手軽に3Dプリントが楽しめます。

それはうれしいですね!

3Dのデータを扱うには、慣れも必要です。2次元ディスプレイの感覚に慣れていると、ディスプレイ上で3次元的な見方や考え方になるまで時間がかかるようなので、このような手軽なスキャンツールは役に立つと思います。ですが、子どもは直感的に3Dデータをすぐに扱えるようになるんですよ。

確かに、ピュアな子どもには負けそうです(笑)ここまで手軽な価格になると、教育現場でも普及が進みそうですね。

欧米では既に教育プログラムに組み込まれています。学校にはもちろん、幼稚園でも3Dプリンターが置かれているところもあり、3Dに幼い頃から慣れ親しんでいるのです。モノ作りの観点から言えば、幼い頃から3Dの感覚を身に着けることはとても大切。日本でも今後は教育現場への導入が進められていくはずですし、今後のモノ作りの発展のためには導入されなければならないと思います。

デザイン分野にも3Dプリンターの波 クリエイターにとっては今後の武器に!

上野一弘氏

株式会社イグアス
3Dシステム事業部
事業部長
上野一弘氏

クリエイティブの現場では、3Dプリンターの導入は進んでいるのでしょうか?

デザイン会社で導入するところが増えています。用途はプレゼンテーション資料の作成が多いでしょうか。例えば、キャラクターのデザイン案を前後左右から紙で出力するより、3Dプリンターで立体的に出力した方が一目瞭然ですから。

クリエイターにとって3Dプリンターはどのような存在になっていくと思いますか?

3Dデータをモデリングできる人は少ないので、今から接しておくと武器になると思います。3Dプリンター周りのビジネスが増えて、プリントアウトサービスも多くなっていますし、高額なCADソフトはなくても3Dデータを扱えるソフトも出てきました。まずは3Dデータを扱えるソフトをダウンロードして触ってみてはいかがでしょう。手応えがつかめたら、ぜひ3Dプリンターの購入を検討してください。

 
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