シンガポールではたらくひと #2

Vol.27
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
Junya Oishi
大石 隼矢

Fellows Creative Staff Singapore PTE. LTD.代表の大石隼矢(おおいしじゅんや)です。

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
第27回目のコラムです。前回から引き続き、新シリーズ「シンガポールではたらくひと」。今回取材したのは、中尾さん。彼は現在シンガポールに住み始めて7年目で、某外資系IT企業にてカスタマーサクセスのお仕事をしています。彼とは共通の友人を通じて出会い、その後も友人としてご飯へ行ったり、一緒にスポーツをしたりする仲なのですが、この後語るようなバックグラウンドを持っているからこそ自分の考えをしっかりと持っている好青年です。そんな中尾さんにインタビューをさせてもらいました。
(メインビジュアルは、F1のイベント会場でポーズを決める中尾さんです!)

■中尾さん プロフィール

1993年生まれ。愛知県出身。
中尾さんはご両親の仕事の関係で8歳から13歳の5年間、アメリカで過ごしました。この頃、日本人よりも地元のアメリカ人と遊ぶことが好きだったそうです。彼の英語はとても聞きやすいのですがその基礎はこの時に培われたようです。彼がシンガポールで現在働いている全てのスタートはこの頃だったのかもしれません。

■学生の海外志向の無さに愕然。多様性あふれるシンガポールへ

まず初めに、どうしてシンガポールで働くことになったのか教えてください!

最も大きなきっかけは、大学3年でシンガポールの大学に留学をしたことで、シンガポールという国の良さに触れたからです。
私はアメリカから14歳の頃に日本へ帰国。地元の国際系の中学・高校に進みました。
その後、日本の私立大学に入って、とてもカルチャーショックを受けたことを覚えています。特に海外志向の無さとか、日本が良くない方向に行っているのに関心がない周りの人たちの様子とか。アメリカ時代や中高時代はみんなが関心を持っていて、国が進むべき方向性について議論したりしていたので、周りの同年代の子たちとなじめない時間が過ぎていきました。
そんな時期を過ごしながら大学2年の頃に「英語のみではやっていけない」と感じたニュースがありました。当時、中国企業によって日本の大手企業が次々と買収されるという出来事があって、英語を話せること自体がアドバンテージにならなくなると思い始めたのです。そんなころ英語と中国語が公用語として使われているシンガポールへの留学があることを知りました。シンガポールにはいろんなバックグラウンドを持つ人が住んでいるということも知っていたので、大学3年の時に自費でシンガポールへの留学を決意しました。鬱々としていた大学2年間の暗黒時代を取り戻すほど楽しかったです。
この留学の経験がきっかけで「この国で働きたい」と思い、シンガポール勤務ができる会社で絞って就活しました。

■深い思考とアクションでクライアントの課題を解決するカスタマーサクセスという仕事

 

今はどのようなお仕事をされていますか?

私は、企業の採用や個人の転職をサポートするプロダクトを開発し提供する、某外資系IT企業のシンガポール支部に勤めています。より効果的に、効率的に、お客様となる企業が活用できるようカスタマーサクセスのポジションで働いています。カスタマーサクセスは顧客生涯価値=ライフタイムバリュー(LTV)を高めることがミッションとしてあります。プロダクトの活用状況をデジタルツール等を駆使して分析し、アクションプランを提示することでクライアントを成功へ導きます。
また、プロダクトの利用価値を高めて自社の”ファン“になってもらい、アップセル(より上位のプロダクト)やクロスセル(関連プロダクトの同時購入)を獲得することも、カスタマーサクセスの仕事です。クライアントの課題を先回りして解決する点で、従来のカスタマーサポートと比べて、より深い思考とアクションが必要とされるポジションなので、私にとってはやりがいも大きいですね。

■自らの裁量幅が大きく、業績・成果で評価されるのが当たり前の国

 

どのような働き方をされていますか?

よく驚かれるのですが、就業時間があってないような会社です。労働時間よりも業務をクリアしているかどうかで評価されるのです。例えば、10のノルマが1日あったとして、2時間でそのノルマをこなしていれば正直あとは何をしていても良いというか。働く場所もオフィスじゃなくていいので、自宅やカフェで働いている人もいるし、シンガポール国内なら別にどこでも構いません。
あと社内ウェルネスというのがあって、日本の福利厚生のようなものですが、色んな国から働いている人がいるので、自分の出身国で仕事をしても良いというルールがあります。一度も会ったことが無い同僚もたくさんいます。(笑)

日本と比べた時に、シンガポールの方が良いなと思ったところを教えて下さい!

シンガポールには文化がたくさんあり正解がないし、だれもが間違ってもいいから自分の意見を発信するという環境が私にとって居心地が良いです。さらに大きいのは上司がステレオタイプを持っていない人が多く偏見がないので対等に話ができます。
日系企業で働いたこともあるのですが、その会社では「正しいことを言わないといけない」という考え方が蔓延していて、すごく息苦しかったのを覚えています。また別のシーンでは、クライアントがあきらかに間違っている、とクライアントに自分の意見を伝えようとしてもそれを会社に止められることがありました。よく考えると日本とシンガポールってすごく異なっていますよね。

■自分のライフステージは今後も変化し続ける。時流を感じながら新たな環境、仕事にチャレンジしていきたい

 

最後に。今後の自分の姿やキャリアプランについて、考えていることを教えてください!

はっきりと決めているわけではありませんが、いまテック業界が落ち込んでいると思っていて、大企業のリストラも相次いでいますよね。レイオフ、レイオフってよく聞くと思いますが。その中で今私がいる会社はおかげさまで伸びていて、今後も会社に残ろうと思えば残れるのですが今のポジションは今後AIにも対応できるような仕事だと思っています。直近ではChatGPTやGoogle Birdなど高精度のAI技術も世の中に登場してきていますし、どこかのタイミングでキャリアチェンジを考えています。新しいことを学び、新しい環境に飛び込んでいける姿勢は私の強みだと思っているので新たな仕事にチャレンジしたいと思っています。
また、働く国についても色々と考えています。日本に帰る選択肢も持ちながら、それに縛られずタイやカナダ、オーストリアなども選択肢として検討しています。今後のライフステージがある中で、家族とも相談しながら人生を楽しんでいけたらと思っています。

■まとめ

今回はシンガポールで某IT企業のカスタマーサクセスとして働く中尾さんにお話を伺いました。クリエイターというポジションではありませんが、現在の企業にて様々な仕事経験を積んでいらっしゃり、また将来を見据えて海外留学や海外就職を選んだり、今後の世の中の展望を想像して自らのキャリアを模索したりと、自分自身の中で課題提起して解決をしてきた姿が印象的な取材でした。
このコラムを読んで、中尾さんのようにシンガポールへ留学したい、フルタイムで働いてみたい、と思っていただける方が増えると嬉しいです。

Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.ではフリーランスのクリエイターがリモートワークでプロジェクトを受注できるようなサービス開発を進めています。例えば日本人がシンガポールの案件を、シンガポール人が日本の案件を、といった形でクロスボーダーに案件の受発注ができるようなサービスを目指しています。
https://fellow-s.com.sg/fellows-creators/

プロフィール
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
大石 隼矢
1990年 静岡県焼津市生まれ。小さいころからサッカーに魅了され、日韓ワールドカップで来日したデイビッド・ベッカムの話す英語に衝撃を受け、自分も話せるようになりたい!と大学は外国語大学へ。2010年カナダ・ウエスタンオンタリオ大学へ交換留学。2012年株式会社フェローズ入社。ブロードキャスト・ビジュアルセクション。2020年4月にフェローズ初の海外拠点であるFellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.の責任者に就任。好きなバンドはOasis、最近の趣味はNetflixで英語学習、尊敬する歴史上の人物は吉田松陰と白洲次郎、好きな食べ物はカレーライスとらっきょう、嫌いな食べ物はかぼちゃと大学芋、みずがめ座B型、佐々木希とジェームズディーンと富岡義勇(鬼滅の刃)と同じ誕生日。
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