WEB・モバイル2010.12.01

イエローキャブ新型デザイン

Dig It! NYC Vol.26
Dig It! NYC 藤井さゆり

NYCのシンボルとして超有名な「イエローキャブ」。先日、このイエローキャブの未来型デザインとしてコンペに残った3案が発表されました。

このデザインコンペは「Taxi of Tomorrow」というNY市タクシー&リムジン委員会が2007年にスタートしたプロジェクトで、2009年12月に各自動車メーカーへ新しいイエローキャブの企画案を募集し、この度3案に絞られたもの。安全性の向上、低燃費、耐久性、快適性などが求められ、新モデルは2014年の秋までにはNY市内を走る予定になっています。

公式ウェブサイトwww.taxioftomorrow.com では「フォード」「カルサンUSA」「北米日産」の3社が提案するデザインを公開中。デザイン的に、みなさんいかが思われますか?(写真はすべてwww.nyc.govより)

フォード(左:外装 右:内装)

フォード(左:外装 右:内装)

カルサンUSA(左:外装 右:内装)

カルサンUSA(左:外装 右:内装)

北米日産(左:外装 右:内装)

北米日産(左:外装 右:内装)

フォードは言うまでもなく、北米の大手自動車メーカーの1つですが、「カルサン」って???調べてみるとトルコの自動車メーカーで、主にバスやトラックを生産しているのだそう。「トルコの自動車メーカーなんて意外だな~」と思いましたが、NYのタクシードライバーは、トルコ、アラブなど中東系の方が多いということも関係しているのでしょうか。アメリカの自動車メーカーだけにならなかったのはいい傾向です。

3社とも車高が高いミニバンタイプですが、それぞれ個性が出ています。カルサンのデザインは天井がガラス屋根になっていて、乗ってみたいし面白いデザインだと思います。また、WiFiも付いていてインターネットアクセスも可能!フォードは、現在多く走っているイエローキャブの車種「クラウン ビクトリア」で信頼があるようです。日産は、車内空間が広く「将来的に全面的な電気自動車化」を視野に入れているなどとして、環境面への配慮を評価されたのだそう。NY市長のブルームバーグ氏は、排出ガス抑制のため2012年までに13,000台のイエローキャブ全てをハイブリッド車に置き換える計画を発表したそうですが、この点からも環境面が高く評価された日産にも可能性がありそうです。広々として何より安心感のあるデザインです。

最終選考は2011年、NY市の住民の投票で決定。NY市の特設サイトにあるアンケートページに行き、タクシーの利用頻度、タクシーを利用する上で重要視する機能等についての質問に答えた後、各車のデザインを、1.大好き、2.好き、3.普通、4.あんまり、5.嫌いの5段階で評価して投票。なんと、投票者には抽選で上限5000ドルの1年間タクシー無料乗車が当たるそうです!私も早速試してみようと思います。

左:Taxi of Tomorrow アンケート 右:各車デザインを5段階評価で投票

左:Taxi of Tomorrow アンケート 右:各車デザインを5段階評価で投票

 

最終選考が住民の投票結果で決まる、という所が面白いと思います。アメリカで人気の素人オーディションテレビ番組「アメリカンアイドル」なども審査員が決めるのではなく、視聴者の人気投票で結果が決まるのですが、「みんなで考える、みんなが参加できる」というスタイルがスタンダードになっているのは非常にいいことだと思います。

Taxi of Tomorrow Facebookページ

Taxi of Tomorrow Facebookページ

また、公式サイトやFacebookでは、提案された各社のデザインについて率直な意見が出されていて興味深いです。Facebookではデザインはもちろん、広さ、安全面、環境への配慮、機能はどうかといった面にも注目が集まっています。このプロジェクトを通して、利用しやすく進化したイエローキャブに、よりよいサービスを提供してくれることを切に希望します!マンハッタンからタクシーを拾うとき「ブルックリンへ」と言うと乗車拒否されることもあるのでそこを改善してほしい(泣)(NYのタクシーは日本と違い遠出を嫌がります)

 

果たしてどのモデルが最終選考に残るのでしょうか?!後日機会があったら、どのモデルが残ったのかをこちらで紹介したいと思います。

Taxi of Tomorrow 公式サイト:www.taxioftomorrow.com

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
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instagram.com/foxylilly

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