芸術にどっぷり浸かる! 「アートフェア東京2023」

東京
クリエイターズステーション編集部
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アートってなに?

直訳すると、「芸術」「美術」。一般的に想像されるのは学校の授業で習った著名な絵画でしょうか。よく、「アートに触れて、感性を育もう」といったことが言われますが、アート鑑賞とは実際何をしたらいいのか…。
今回は皆さんにアートの魅力をお伝えすべく、日本最大級のアート見本市である「アートフェア東京」にクリステ編集部が参加してきました!

 

■アートフェア東京2023

アートフェア東京は、古美術・工芸・日本画・近代絵画・現代アートなど幅広いジャンルの作品が展示される日本最大級のアート見本市です。2005年に始まり今年で17回目の開催。日本の美術市場をリードする存在として、日本だけでなく世界中から注目を集めています。
今年の会場も東京国際フォーラム。3月10日(金)~3月12日(日)の3日間に渡り開催され、全144軒のギャラリーが集結しました。2021年、2022年とコロナ禍の開催でありながら過去最高売上高を更新しており、アフターコロナに差し掛かる今年の開催はさらに賑わっています。注目はピカソやゴッホの作品の出品、15年ぶりの参加となるカイカイキキギャラリーの展示など。
会場は3つのブースに分かれており、それぞれ

・Galleries 国内外で活躍するコマーシャルギャラリー・美術商の出展
・Crossing 百貨店や地方工芸団体の企画など、多彩なアート分野の交差
・Projects 注目の若手作家の個展形式

をテーマにしています。
また、今年は海外のギャラリーが7軒参加しており、今まで以上にグローバルな様相です。

世界のアート市場のトレンド「多様性(Diversity)」の中で、日本のアート市場が歴史や伝統を継続しながらいかに「変動(Change)」していくか感じてほしい。

アートフェア東京運営委員会からはそんなメッセージの発信もありました。

筆者が伺ったのは最終日となる12日。午前中から大勢の人が訪れ、活気に溢れていました。
来場者は老若男女問わず。一人でまわる方、友人や恋人と訪れる方、小さなお子様連れの家族と幅広く、外国の方も多かったことが印象的です。来場者にお話を伺うと、美大に通われる勉強目的の学生さんや、アート鑑賞が趣味の方、コレクターとして作品を買いに来た方など目的は様々。作品だけでなく、集まる人も多種多様。アート業界の多様性はこんなところにも感じることができます。

ギャラリースペースには所狭しと並ぶアート作品たち。その数の多さと作品の美しさに圧倒されます。一般的なブースデザインは白いパネルに作品を飾る形ですが、ギャラリーによってはブース全体を作品の雰囲気に合わせるなど、魅せ方を工夫していました。作品だけでなくブースデザインを楽しむのも一興ですね。

 

ロンドンから初参戦。現代アート専門の「Unit London」

Unit Londonはロンドンを拠点に活動する現代アートギャラリーで、2013年に2人の若手アーティストによって設立されました。当日は設立者の1人であるジョー・ケネディ(Joe Kennedy)氏がいらっしゃったので、直接お話を伺うことができました。
初参加ということで出展の理由を尋ねたところ、なんでもアートフェア東京は海外のギャラリーが少なく、参加することによる注目度が高いんだとか。実際に参加してみて、自分たちの作品が日本の作品と比較して際立っていると感じたそうです。“グローバル”の視点で言うと、日本最大級のアートフェアといえどまだまだ発展の途中にある、ということなのかもしれないですね。また、これまで会ったことのなかった日本の顧客と実際に会って話すことができたのも印象的だったようです。コロナ禍で海を渡るコミュニケーションが難しかった数年間、ようやく明かりが見えてきました。これからのアート業界は、世界を股にかけて大きく変動していく予感!

 

海外を中心に活動する日本のギャラリー「ア ライトハウス カナタ」

ア ライトハウス カナタは、東京・西麻布に位置する現代アートギャラリー。拠点は日本にありつつも、海外のアートフェアや美術館の企画展に積極的に展開しています。アートフェア東京への参加は今年で3回目。実は例年この時期にはオランダのアートフェアに参加していたそうで、コロナ禍になってからアートフェア東京の出展に手を広げたとのことです。
オランダのアートフェアとの違いを聞くと、真っ先に上がったのは“規模”。日本の2,3倍は大きいオランダのアートフェアでは古美術の取り扱いも多く、ピカソの作品が複数あって当たり前…という世界なのだとか。一方で、アートフェア東京のように日本のギャラリーが一堂に会する機会は貴重であり、かつ現代アート中心にポップな印象を受ける作品が多いことは特徴的、というお話もありました。
確かに、会場では今注目の現代アーティストの作品が際立っており、特に日本のサブカルチャーの色を纏ったアニメ・漫画調の作品は多かったと感じます。西洋の古美術となるとどうしても出品数は少なくなってしまいますが、日本には日本の武器がある。サブカルチャーと現代アートの融合は、これからの日本のアートを引っ張っていく存在となるのかもしれません。

 

細部までこだわりぬいたブース設計「夢工房」

アートフェア東京の一角には、異質ともとれる雰囲気を放つブースがあります。

天地開闢・加藤巍山展。

白と黒の壁に囲われ、作品を見るためには中に入る必要がある。入口には横たわる巨大な丸太。
つい足を止めずにはいられない雰囲気に多くの人が集まって列をなしていました。そのブースの正体は、京都・祇園に拠点を置く古美術ギャラリー「夢工房」。今年で3回目の参加、昨年の展示では四代田辺竹雲斎氏による超巨大な竹のインスタレーションで注目を集めたギャラリーです。


(2022年の会場風景画像 より)

夢工房ディレクターの中島氏に話を伺い、こだわりにこだわった、ブース設計の裏話を教えていただきました。

今回の作品出品数は4点と少なめ。普通の展示をしても確実に間がもたない上、作品は仏像彫刻。一般的な白いパネルに配置しただけでは威厳が伝わらない。どうやって作品の魅力を最大限に引き出し、人を呼び込めるか。コンセプトである“祈り”をキーワードにそれぞれのブースを設計したそうです。特にこだわったのは作品の流れと照明。
4つの作品は全て別々の部屋に配置しており、白い入口を抜けると青い壁に囲まれた最初の彫刻に出会います。

補色を効果的に活用して仏像の色味を調整し、より神聖さが際立つようにしたとのことです。
1作目の丁度対面に設置されたドアを抜けると、広い部屋の中央に一体の大きな仏像。

展示のタイトルにもなっている「天地開闢」です。
背中も作品の見どころ、ということで360度ぐるっと回れるこの部屋は、上から見ると正十二角形になっているんだとか。中央の作品は各壁面に取り付けられた12個の照明によって、均等な角度で照らされています。彫刻の美しさを引きたたせるには、光と影の使い方が重要。照明の強度を調整することで、複数の影が重なって汚くならないようこだわったそうです。

そして、広い部屋を抜けた先には狭くて暗い空間が。

筆者が撮影したこちらの写真、まるで作品が宙に浮いているように見えませんか?照明を極限まで絞り作品だけを照らすことで存在感と神々しさを表現したのだそう。“祈り”を体現するこの作品を一番暗く狭い空間に配置することで、一対一で作品と対面し集中できるブース設計となっています。
他にも書ききれないほどのこだわりがあり…苦労して設計した甲斐あってか、こちらのブースはSNSでも非常に話題となり大変な賑わいをみせていました。作品を作るのはアーティストですが、その作品の価値を最大限に引き出すのはギャラリーの役目でもあるようです。
会場そのものが表現の場。アートフェア東京は、どこまでもアートに浸ることができる空間です。

 

■交流の場 屋外バーラウンジ

活況だったアートフェア東京2023、総来場者数は5.6万人に達したとのこと。
最終日は16時に閉館ということですぐにタイムリミットが来てしまいました。広大な会場、魅力的な作品の数々、残念ながらすべての作品をゆっくりと見ることは叶いませんでした。19時まで開催していた金・土に参加すべきだったと後悔…。
会場にはギャラリーの方や作家さんがいらっしゃり、直接作品の解説を聞くことができます。美術館の展示とは異なる魅力ですね。実はアートフェア東京には交流イベントもあり、入場料を払えばフリーフード・ドリンクがついてくる屋外バーラウンジや、アフターパーティが運営されています。
最終日はバーラウンジのみ、17時まで運営していたため少し足を運んでみました。

ビルの間におしゃれな装飾が施されていて、多くの人がお酒やつまみを片手に会話されていました。来場者も出展者も集まることができるこちらの場所では、アートが好きな人同士、気軽にコミュニケーションを取ることができます。やっぱり素敵な作品を見た後は、共通の趣味をもつ人と語らいたいもの。そんな人にはうってつけのイベントです!

 

■おわりに

古美術、工芸、日本画、近代絵画、現代アート…。日本のアートを代表する作品が一堂に会するアートフェア東京。
アートと一口に言っても時代・ジャンル・画材・表現の幅は広く、どの作品も個性が光っていて魅力的でした。アーティストの想いが形となった作品からは、自分にない視点・発想を得ることができます。アートに触れるというのは、単に作品を目にすることではなく、心に感動や想像力をもたらす活動をするということ。こうして日々の生活の中にアートを取り入れることは良いエッセンスになるとしみじみ感じた一日でした。
アートフェア東京では、日本の最新のアート事情に触れられるだけでなく、ほとんどの作品を購入することができます。昨今では自宅で過ごす時間が増えたからか個人の購入が増えているように感じる、とギャラリーの方がおっしゃっていました。アートフェアや展示会への参加はもちろん、実際に作品を購入して自宅に飾るなど、いろんな形でアートに触れる機会を作るのはいかがでしょうか。

 

※メインビジュアル、スライダーの画像は 2023アートフェア東京会場風景 より
※その他記事の写真はすべて、許可を取り撮影しています

アートフェア東京2023

会期:2023年3月10日〜12日 
会場:東京国際フォーラム ホールE/ロビーギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内3-5-1
開館時間:11:00〜19:00(12日〜16:00)
料金:当日チケット 5000円(税込) / 予約チケット 4000円(税込)
公式サイト:https://artfairtokyo.com/

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