MENU

失敗は学びの宝庫 信じて進めば道は開ける

京都
株式会社インターナショナルパブリックアート 代表取締役 八木 仁 氏
株式会社インターナショナルパブリックアートはセレクトショップをメインに、アート制作、Web制作、音楽制作、アーティスト手配、カメラマン手配など、さまざまな事業を手がける会社です。人から「一体何をしている人なの?」と聞かれることが多いと話す代表取締役の八木 仁(やぎ じん)さん。多彩な事業展開の背景には、失敗を重ねながらも、常に諦めず、前に進もうとした八木さんの努力がありました。アーティストであるお母様の影響でアートが身近にあったという八木さんの現在に至るこれまでの人生と、今後の展開についてお聞きしました。

幼い頃からアートが身近に

株式会社インターナショナルパブリックアートは、もともとお母様が立ち上げられたとお聞きしました。

はい。母が八木マリヨという環境芸術家で、「縄」をモチーフにしたインスタレーションなど数々の芸術表現作品を制作し、国際的に活動しています。その母が「人と人のつながり、人と地域のつながり」を生み出す社会芸術、つまり、パブリックアートを請け負うために、設立したのが今の会社です。その頃、僕はまだ学生で、運営には関わっていませんでしたが、作品作りの手伝いをしていたこともあり、当時のことはよく覚えています。

お母様の影響で、幼い頃からアートが身近にあったのですね。

そうです。母の展覧会へ行ったり、母が作ったインスタレーションに関わったり、海外へもたくさん同行しました。アートと触れ合うのは楽しかったのですが、特別に凄い事をしているという感じではありませんでした。20代まではアートに関わる環境が普通だと思っていたくらいですから。
今思えば、凄い経験をさせて貰ったと、母のバイタリティーに偉大さを感じています。
このようにアートが身近にあった影響で、僕自身も学生時代からインタラクティブアート(※1)のプロジェクトリーダーになるなど、多くのアート作品に関わってきました。ミュージシャンとして活動していた時期もあったんですよ。

※1 観客を何らかの方法で参加させる芸術の一形態。インタラクティブアートは、作品とそれを見る人の対話によって形成される。観客(参加者)は作品とのエージェンシー(作用できる能力)を持ち、作品のコンテキストに参加することを求められている。すなわち、インタラクティブアートの作品はインタラクション(相互作用)をもたらす。

友達の手伝いからショップ経営へ

取り扱いブランド

自然な形でアートと関わってこられたのですね。しかし、今、御社の業務はセレクトショップがメインとお聞きしました。どのようにして、今の形態になったのでしょうか?

ロンドンの大学にいた時に、たまたま日本から買い付けに来ていた友達の仕事に関わったのがきっかけです。その時初めて、海外の商品を輸入して販売する仕事があることを知り、日本に未入荷の衣服をその時のパートナーとセレクトし、オンラインショップで販売しようと試みました。通常であれば、結果を出すまでに時間を有すると思うのですが、幸運にも2週間くらいで売れ始めて、1カ月で200万円もの売り上げになりました。
その後、東京に住まいを移すタイミングで、知り合いから原宿を代表するブランドの「milk(ミルク)」を紹介していただき、原宿系の衣服を中心に扱うようになりました。

お母様の会社に関わるようになったきっかけを教えてください。

ショップ事業を別会社で立ち上げても良かったのですが、経理を一本化し、一緒にやったほうがお互い有益な経営ができると考え、2009年に株式会社インターナショナルパブリックアート、ショップ事業部として立ち上げ、同期に代表取締役に就任しました。

どん底からの再起。大切にしたのは「信じて前に進むこと」

ショップ事業としては順調な滑り出しですね。そのまま、今に至ったのですか?

ショップ事業を立ち上げてすぐに、リーマンショックが起きて、その2年後に東日本大震災が起きました。まさに日本全体が落ち込んだ時期だったので、リアルに売り上げも急降下。事業が一気に悪化し、借金まで抱え、精神的にも参ってしまって、まさにどん底でした。 それでも、お客様からの予約は多少なりともあって、事業を辞めるわけにはいかず、維持していくことで必死でした。気がつけば、自分の部屋は在庫であふれ、その在庫とともに寝るような生活を送っていました。

その後、どのようにして現在に至ったのでしょうか?

震災をきっかけに、地元の京都に戻りました。事業は相変わらず八方塞がりでしたから、なんとか打破できないものかと、事業計画を立てて、再起を図りました。とにかく、思いつくことは恐れずチャレンジしましたね。
Webサイトの写真の見直し、服ごとに厳選したモデルの起用し、イメージ作りを大切にしました。一方、家賃を見直し、カメラは自分で担当しました。経費削減にはそれしか考えられなかったんです。当時、様々なレンタルスタジオを借りて撮影していましたスタジオの利用が多くなり経費もかかっていたので、いっそ作ってしまおうと専用のスタジオを作りました。利用していない時は貸し出して、家賃の補填になるようにしました。今ではレンタルが増えて黒字化しています。
1年後、スタジオと同じ敷地内にある大きなスペースが空いたので思い切って、今までマンションですべて賄っていた事を移行する決断をしました。家賃が少し高かったので、これもシェアオフィスとしてシェアしようと考えましたが、結局思ったような形に出来なかったので、結局そのまま初のリアル店舗・サロンとして作り直しました。在庫倉庫兼ショップとして兼用しているので人件費も削減できました。
失敗を重ねながらも、その失敗が別の形で前に進むきっかけとなりました。最近、2011年に立てた事業計画を見返したのですが、今に至るすべてが計画通りに進んでいたのです。ショップも立ち上げたし、ブランド化もできました。計画を緻密に立てて、信じて行動すれば、自然と叶うものですね。自分でも、驚いているところです。

お客様の満足を最優先し、追求したい

自宅をアーティストレジデンスとして、アートに関わる海外の方にレンタルしている。

今ではセレクトショップ以外にもたくさんのお仕事をされていますね。そのお仕事について教えてください。

さまざまなことを思い描いて、それを実行していくことは僕の根底にあるものです。思い立ったら、すでに行動している状態です。撮影スタジオを作ったこともしかり、アーティストの手配や、音楽制作を請け負うなど、すべて自分が経験してきたからこそ、仕事として責任を持って展開できるのかもしれません。
2015年に購入した中古物件を自分が住んでいる家をアーティストレジデンスとして、アートに関わる海外の方にレンタルしていることもその一つです。
最初は、オランダの有名なアーティストが京都で滞在先を探しているとのことで、家を貸したことがきっかけでした。場所は北白川にあり、造りが日本家屋なので、立地と雰囲気が京都らしいと喜んでいただきました。その後、家をリノベーションして、インテリアを入れ、庭に枯山水を作り、コケを埋めるなど、空間作りにこだわり、アーティストレジデンスとして運営していくことを決めました。枯山水やコケの植え込みなどは自分で試行錯誤しながら作っており、スキルがとても向上しました。自分で何でもやってみるのも楽しいですが、最近プロに任せることも最終的に大事だと改めて思いました(笑)。

先日、中国のトラベルジャーナリストの方がいらっしゃって、滞在した様子をSNSで掲載してくださったようで、それがなんと13万ビューを達成して、その後、海外のアーティスト志望の方にたくさんお越し頂いております。

事業形態が増える中で、一貫して大切にしていることは何でしょう?

お客様の満足を最優先し、常に追求することです。Webであれば、お客様が見やすいサイトにするという当たり前のことから大切にしています。アーティストレジデンスにおいても、季節の花を植えたり、日本を感じていただける空間を作ったり、いつ来ても満足していただけるように努めています。やはり、喜んでいただけることが一番うれしいです。
そのためには、アルバイトをはじめスタッフの意見も大切にしています。自分にはない発想を持ってくれているので、とてもありがたい存在です。僕自身はやりたいことに挑戦し続けたいので、将来的には、ショップ事業は信頼できるスタッフに任せたいと思っています。

恐れず行動することが、成長への鍵

挑戦を続ける八木さんの原動力は何ですか?

思いついたことをとりあえずやってみることですね。人から「向いてない」とか、「一人でやるのは無理だよ」と言われることもあるのですが、それは自分で実際にやった上で判断したいと思っています。もちろん、失敗することもあります。しかし、それはすべて学びにつながり、改善点が見え、一歩前へ進むことができるのです。こういうことを率先してやっていたら、最近、成長している自分をリアルに感じることができます。
結局、やったことはすべてつながっていくんだと思います。何をやっても、続けていくものと、止めてしまうものが出てくるのであれば、初めから制限してしまうのはもったいないと思うんです。やりたいと思ったら自然とそのビジネスについて調べ始めるそうしたら色々と繋がっていく繋げられていくんです。
時代はまさにマルチな時代です。一つの事だけで勝負出来る人はとても羨ましいですが、僕の場合は複数の魅力を持ち合わせてやっと勝負が出来るというか、総合力でカバー出来ていければいいなと思っています。そして、その結果、点と点を結び、弊社の原点である「アート」と「社会」を結ぶような仕事ができればいいなと思っています。まさにインタラクティブアートですね!

最後に、今後の展望について教えて下さい。

今、母が2つほどプロジェクトを行っていて、そのサポートをしたいと思っています。
一つはコミュニティーアートというもので、みんなで作るアート作品です。ニューヨークでは、ヨットの帆を生産しているメーカーの協力のもと、地元の学生さんたちと縄をらせん状に編んだツリー型モニュメントを制作しました。みんなで心を一つにして作り上げるので、でき上がった時の達成感は凄いんですよ。消極的だった人も、最後には笑顔になって一生懸命編んでくれます。これこそ、母が求めたパブリックアートの形だと感じました。
このモニュメントは今年(2017年)、解体される予定だったのですが、周りでイベントが行われたり、ワークショップが開かれたり、地元で愛されるシンボリックな場所になったようで、期限なく残されることが決まりました。作品が設置されることにより人が集まり、地域のよりどころになる。まさにこれがパブリックアートの神髄です。
実は、このコミュニティーアートは京都でも行ったんですよ。京都市役所の前に、高さ11mもの古着で編んだツリー型モニュメントを建立しました。制作に関わった人数は延べ1万2千人。最終日には多くの人が見守る中、点火して燃やしました。作り上げた作品が炎となって燃えあがり、消えてなくなることで、鮮明に心に残る作品になったと思います。
ちなみに次回は、ドイツのデュッセルドルフで行う予定です。もし、国内でオファーがあれば、どこへでも伺いたいですね。みんなで一つのことに向き合い、思いを分かち合うことこそ、コミュニティーアートの本質なので、仲間や社員の結束を固めるのにぜひおすすめしたいです。

もう一つのプロジェクトは「ガルボ」という母親がデザインした照明器具の販売です。「ガルボ」は現代イタリアグッドデザインに選ばれた、糸のようなカーテンがつり下げられている、幻想的な空間を演出する照明です。しばらく生産がストップしていたのですが、今年から再開することが決まりました。このガルボの日本の代理店を弊社が担当することになりそうで、今年の12月をメドに動いています。発売が決まったら、ホームページ等で発表する予定ですので、ぜひご覧いただけたらと思います。
最後に、アーティストと社会を繋げていく為の活動もどんどんしていきたいです。

取材日:2017年8月22日 ライター:7omoya

株式会社インターナショナルパブリックアート

  • 代表者名:八木 仁(やぎ じん)
  • 設立年月:1989年12月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:パブリックアート事業から 、ショップ事業、ECサイト運営、ホームページデザイン、Photo Studio経営、アーティスト手配、カメラマン手配など
  • 所在地:〒604-8812 京都府京都市中京区壬生相合町67-1 NSビル2F
  • お問い合わせ先:電話)075-354-6928
  • URL: http://ipasdc.com
     
    ルークアンドステラセレクトショップ: http://www.lukeandstella.com/
    LSスタジオ: http://ipasdc.com
続きを読む