気になる階段

東京
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎

 最寄り駅の商業施設と駅改札をつなぐ階段の、タイルの一部が剥がれていた。破片は30cmほどの大きさで、誰かが利用者の通行の妨げにならないよう踊り場の端に寄せたらしい。少なくとも2ヶ月はこの状態である。

 その場所を通るたびに、剥がれたタイルと階段がいつ修復されるか気になるようになった。この前は直ってなかったし、今日もそのまま。「いっそのこと、接着剤でくっつけてしまえば良いのではないか」と思いながら、破損個所がむき出しになっている階段と、地面に置かれたままのタイルを交互に見た。

 つい先日もそこを通った。階段は何も変わっておらず、相変わらず悪目立ちしている。「まだ直らないのか」と呆れつつ、タイルにも目を向けると

 タイルの上に、その商業施設のPRチラシが設置されていた。毎月15日はポイントアップ…ユーザーにとってはお得な情報だ。目立たせてしかるべきである。本来なら接着剤の効果を高めるために付けられたであろう裏面の溝が、なんとなく和柄の波模様のように見えて味がある。訳あって、すぐに修理ができない事情がある事も想像できた。

 私以外にも気になっている人がいるだろうし、その商業施設の関係者なら尚更そう感じているだろう。ただ破片が無造作に置かれているよりも、このように使って「早く直したいのは山々ですが、事情がありますのでご理解ください。これからも施設をご贔屓くださいますようお願いします」というメッセージを施設関係側から発信してもらえると、利用者も悪い気はしないはず。破損を逆手に取った顧客とのコミュニケーションに、ちょっとだけ感心した。

プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎
フリーランス記者・作家。メディア関係の仕事に就く傍ら、書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログは「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。上京してやりたいことは「としまえんのナイトプールで遊ぶ」。

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