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『プリパラ』シリーズのアートデザイナーが語る衣装デザインへのこだわりとその原動力

Vol.145
株式会社シンソフィア プロデューサー 加藤 大典 氏、ディレクター、アートデザイナー 櫻井 明香 氏
アイドルテーマパーク「プリパラ」を舞台に、⼥の⼦たちがアイドルとして活躍するアミューズメントゲーム『プリパラ』。ゲームとTVアニメが人気を博し、2017年4⽉からは新シリーズの『アイドルタイムプリパラ』となり全国のアミューズメント施設で大好評稼働をしています。
そんな『プリパラ』の⼤きな魅⼒になっているのが、「コーデ」と呼ばれる個性的でかわいらしいアイドル⾐装の数々で す。これらはどのようにして作られているのか、本作のコーデのデザインを⼿がける、株式会社シンソフィアのアートデザイン部デザイナーの櫻井明⾹(さくらい はるか)さんにインタビューを実施。『わがままファッションガールズモード』(※1)や『プリティーリズム』(※2)など、10年以上にわたって⼥の⼦向けコンテンツの⾐装制作に関わり、同席したゲーム『プリパラ』(※3)のプロデューサー・加藤⼤典(かとう だいすけ)さんいわく「デザインした⾐装の数はギネス級」という櫻井さんに、プリパラ⼈気を⽀える⾐装デザインについて語っていただきました。
※1 ショップの店員になって⼥性客をコーディネートしていく、任天堂より発売された⼥の⼦向けゲームでシンソフィアが開発を担当した。
※2 『プリパラ』の前作にあたる女児向けアミューズメントゲーム。
※3 タカラトミーアーツが運営、シンソフィアが開発する女児向けアミューズメントゲーム。TVアニメはテレビ東京系6局ネットで毎週火曜夕方5時55分から好評放送中。

衣装のデザインとサイリウムコーデの光らせ方を同時に考える

4年目を迎えた『プリパラ』ですが、これまでの活動を振り返っていかがですか。

加藤さん:アミューズメントゲーム『プリパラ』は、「プリティーリズム」を経て、新規のアイドルテーマのコンテンツをゲーム、アニメと連動して ⽴ちあげていこうというところから始まりました。そこにさまざまなコンセプトの新キャラクターが加わっていって、3年間盛り上がり続けています。4年目となる今年は⼼機⼀転ということで舞台も主⼈公も変えて、原宿などで流⾏っている「ゆめかわ」をキャラクターに落とし込むなど新たなテーマに取り組んでいます。

『プリパラ』のコーデの制作はどのように進められているのでしょうか。

櫻井さん:まず、タカラトミーアーツさんと打ち合わせしながらキャラクターデザインを起こしまして、「そのキャラクターは何を着ているんだろう」、「どういう性格なんだろう」といったことをふくらませながらキービジュアルになるものを作ります。そこから派⽣して、普段着ている服やステージで踊るときの⾐装などを考えていきます。そして、タカラトミーアーツさんからアニメーションの制作をしているタツノコプロさんと共有してもらい、そのフィードバックを受けながらブラッシュアップして完成にいたるという形ですね。アイドルがテーマではあるのですがキャラクターが第⼀で、「そのこに似合う服ってどんなものだろう」ということをいつも考えるようにしています。また、アニメで動かしやすくする為に色数や装飾を削ぎ落としながらも、可愛さや派手さを維持するオーダーに答えるのもデザイナーの腕の見せ所と思ってますね。

本作はサイリウムコーデ(※4)が魅力のひとつになっていますが、こちらはどのように作られているのですか。
※4 『プリパラ』ではステージがクライマックスになると「サイリウムタイム」というイベントが発生し、衣装が光り輝くサイリウムコーデに変化する。

櫻井さん:コーデのデザインをしながら、同時にサイリウムコーデの光らせ方も考えてと二重にデザインを考えています。両方が揃っていないとコーデのCGを作ることはできないので、デザインと光り方をセットで提案し、それからCG制作という流れになっています。

光らせ方もいろいろ試行錯誤していて、実はさまざまなパターンがあります。例えば、ストライプの部分が虹色に光って横に流れていったりですとか、点滅したりですとか。どのように光らせたら良い感じになるのかというのを、常に考えながらデザインしています。

ひとつのコーデにつきデザインを2バージョン考えているようなもので、かなり大変ですよね。

櫻井さん:最初の頃は完成までにかなり時間がかかっていました。紫色に光らせようと提案してみたところ、紫はCG的に沈んでしまう色なのでサイリウムに向いていないと言われたりですとか。そういうやり取りを何度も経てきて、サイリウムに適している色などが分かるようになったので、今ではだいぶ早く作れるようになりました。

仕事を通じてさらに湧いたファッションへの興味

『プリパラ』ではさまざまな新コーデを定期的に配信していますが、アイデアを出し続けるというのはかなり大変だと思います。どのようにしてデザインのアイデアを出しているのか教えていただけますか。

櫻井さん:ファッション雑誌を見たりして、こういう衣装があったらかわいいだろうなとか、この蛍光色はいいなとか。日常の中でも常にいろいろインプットして、思いついたことをストックしておくように心がけています。そうして、あるキャラクターの新衣装を作ろうとなったとき、「このテーマにはこれが合いそう」というものをアイデアの引き出しの中から引っ張り出してくるという感じですね。

日常のさまざまな場面から常にアイデアを取り入れているわけですね。もともとファッションに興味がある方だったのですか?

櫻井さん:個人的な服の興味などはそれなりにはあったのですが、『わがままファッションガールズモード』の開発への参加をきっかけに、もっと勉強するようになりました。ファッション誌などを読むのはもちろんですが、通勤中も「この人のこのシューズいいな」とか、周りの人のファッションを気にするようになりまして、おかげで視野が広まりました。

加藤さん:僕も以前は女性のファッションについては全然興味なかったですね。僕の場合は「画面の中では、どんなものがかわいく見えるのか」、「子供はどういうものを喜ぶのか」といったことを第一に考えるようにしています。子供に「シルクのツヤが」とか言っても分からないと思うんですよ。それよりも金色の方がハデで分かりやすいとか、そういったことをデザインに盛り込んだ方が子供にはしっかり伝わるんですね。そうした子供の嗜好も櫻井は見えているのだと思います。

コーデをデザインする際に特に気を使っていることは何でしょう。

櫻井さん:いろいろあって難しいのですが、あえてひとつ挙げるとしたら色使いでしょうか。カラーリングってテーマ性がすごく出ると思うんです。白と金を使ったらゴージャスなドレスができるでしょうし、マリンルックでしたら赤、白、青のトリコロールですし。そうしたテーマカラーというのは常に気にするようにしています。

加藤さん:僕は櫻井の仕事を8年くらい見てきましたが、チェックを使うことが多いと感じますね。いい感じのコーデはだいたいチェックなんですよ。AKBなどもチェック柄の衣装が多かったりするので、アイドルとチェックって合うんでしょうね。

櫻井さん:確かにギンガム・チェックが好きで、それはよく使いますね。うまくいったと思えるデザインもチェック柄が多い気がします。

プロデューサーの加藤さんを驚かせた「オムライスコーデ」

マイキャラクターのパーツはどのようにデザインされているのでしょうか。

櫻井さん:流行りの髪型を取り入れたりですとか、春だったらピンクのヘアカラーを入れてみたりですとか。泣きぼくろみたいな、それをつけるだけで大人っぽく見えるものですとか、こだわりのマイキャラクターを作るのに必要な要素は何かということを考えながら作っています。

メガネのパターンもいくつかあるんですけど、当初はそこまで種類を増やそうとは思っていませんでした。ところが、「あのメガネの白バージョンが欲しい」みたいな声がけっこうあって。こういうものが欲しがられているんだなという発見がありましたね。

これまでの『プリパラ』のデザインで加藤さんが特に感心されたものは何ですか。

加藤さん:オムライスをデザインしたコーデがあるんですけど、あれはすごいと思いましたね。しかも、めんたいマヨとかデミグラスとか、味ごとのバージョンがあるんです。すごく奇抜で、いい意味で「なんだこれは?」となりました(笑)。

ファンの方々のデザインに驚かされることも多いです。いろいろな雑誌でコーデコンテストをやっているのですが、ものすごく面白いデザインが届くことがあります。うどんをイメージした「うどんつるつるワンピコーデ」は特にすごかったですね。あれは我々大人には考えつかない素晴らしいコーデです。

櫻井さん:そうしたものに触発されてできたのが「オムライス」です。本当にファンの方のデザインは発想が自由で私もいろいろ勉強になっています。

子供たちがプレイしている姿がモチベーションに

ちなみに、これまでデザインされた衣装の数というのは把握されていますか?

櫻井さん:『プリパラ』だけですと3000くらいでしょうか。

加藤さん:『プリティーリズム』の頃からだと5000以上あると思います。最初の『ガールズモード』でも確か4000くらいデザインしていますからギネスものです(笑)。

それだけ継続できているのは、やりがいや楽しさがあるからだと思います。そうしたことを感じるのはどういったときですか。

櫻井さん:やはりユーザーさんの遊んでいるところを見たり、意見を聞いたりしたときです。会社の中でPCに向かっているだけだと煮詰まってしまうことがあるので、そういうときは子供たちがプレイしているところを遠くから見てパワーをもらっています。真剣にマイキャラのパーツを選んでいる姿ですとか、今日のコーデは何にしようかなと悩んでいる姿を見ると素直に「頑張ろう!」となりますね。

加藤さん:多分、自己実現の欲求だけでは何千種類もコーデを作ることはできないでしょう。高いクオリティのものを出し続けるには、遊んでくれる子供たちに向けてという意識が必要で、だから櫻井は作り続けてこれたのだと思います。やはり、たくさんの人が喜んでくれることがクリエイターにとって一番のモチベーションになるんですよ。

ユーザーさんからのリアクションが一番の励みになると。

櫻井さん:なりますね。「このコーデを考えた人、神!」とか「このコーデ、かわいい!」みたいなSNSの書き込みを見たときは、「それ、ワタシなんだよね」と密かにほくそ笑んでいます(笑)。これからも期待に応えられるように常に新しいことにアンテナを張って、ファンの方たちに喜んでもらえるものを作っていきたいですね。

取材日:7月20日 ライター:仁志睦

  • 企業名:株式会社シンソフィア
  • 代表者名:代表取締役社長 吉田秀司
  • 設立年月:1995年6月
  • 事業内容:コンシューマゲームソフトの開発、インターネットインフラを利用したコンピュータソフト及びサービスの企画・開発、日本市場における自社ブランドとしての販売業務とサービスの運営、海外市場における自社ブランド商品のライセンス販売、国内外のゲームメーカーとのコラボレーションによる商品開発など。
  • 所在地:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1ー30-10 ウイスタリアビル1,2F
  • URL:http://www.syn-sophia.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記コーポレートサイト内「CONTACT」
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