首都圏団塊ジュニアの郷愁の味「タケちゃんマンライス」を真面目に作ってみる

東京
フリーライター
youichi tsunoda
角田陽一氏

学校給食には地方性がある
ヤツメウナギに芋煮などなど

小中学校の楽しみ・学校給食。

嫌いなものがあっても完食を強要される。
時には昼休みを過ぎても居残り。
そんなトラウマ込みだった昭和時代の給食だが、それでも献立表にカレーやフルーツポンチの文字があれば、その日は朝からワクワクしたものである。

さて給食には「地方性」がある。

山形県では、秋の恒例行事である「芋煮」…河原で牛肉とサトイモ、こんにゃくを煮て皆で会食する行事、その芋煮が給食でも出る。
そしてわたくしの故郷である北海道札幌市の東隣の街では、「ヤツメウナギカレー」が供されたことがある。地元産の豚肉、野菜を豊富に煮込んだカレーに、石狩川で水揚げされた地域の名産「ヤツメウナギ」、そのヤツメウナギを唐揚げにしたものを入れる。地元産の食材、地域の名産品を食べて郷土愛を育む…そんな名目であったらしい。

だがヤツメウナギ、一般的な鰻からは想像もつかない独特のクセ、薬臭いとも生臭いとも形容しがたい名状しがたい何とも言えないクセがある。香辛料薫るカレーに仕込んでクセを抑えていたのかもしれない。カレーはすべてを解決する。

だが……
やはり酸いも甘いも噛み分ける年代に至らなくては、その滋味も堪能できないものなのだろうか。
給食で供されたあの日、昭和60年秋。斜め向かいに座るクラスの女子がカレーからヤツメウナギのみスプーンで取り出してティッシュペーパーに包み、こっそりゴミ箱に捨てていた光景は忘れえない。

そんな北海道での小学校時代。

 

学研の学習漫画で知った首都圏の給食
その名は「タケちゃんマンライス」

さて団塊ジュニア世代、小学校時代のバイブルと言えば学研の「学習科学」に「ひみつシリーズ」。これを読めば多少は「物知り」になれてクラスでも鼻が高い。小学校時代はちょっと成績の良かった子の美化された過去の記憶である。

出版元の学研は、当然ながら内地の、東京在の出版社である。小学校向け雑誌ゆえ、東京方面の給食も話題になる。

昭和60年秋。

その学研の出版物に「東京の小学校給食の新顔」が登場した。
名付けて「ミルクファイバーライス」。そして愛称は「タケちゃんマンライス」。

その実は「牛乳で炊いた麦ごはんピラフ」。

牛乳と具の海産物、そして麦で「タンパク質と食物繊維がおいしく摂取できる、成長期の子供にうってつけのメニュー」ということらしい。

さて愛称の「タケちゃんマンライス」。

団塊ジュニアには「ビートたけし」の名で懐かしい北野武氏、その彼がコメディアンとして、お笑いバラエティー「オレたちひょうきん族」で演じていた異色のヒーロー「タケちゃんマン」。「強きを助け、弱きを憎む」が信条とはヒーローにあるまじき存在。いやアンチヒーローかピカレスク。

そんなヒーローまがいでも人気が出てしまう、というのは戦後教育の崩壊として識者を嘆息させたか否かはわからない。ともかく給食新メニューの「ミルクファイバーライス」は、聞くところによれば子どもたち対象の公募で「タケちゃんマンライス」と愛称されたとか。タンパク質と食物繊維、「食べればタケちゃんマンのように強くなれる」という、謎?の触れ込みで。

 だがタケちゃんマンライスは、あくまで関東の出版社の発行雑誌の上での情報だ。札幌市郊外の小学校では、まるっきり縁がなかった。平成期に関しては不明だが、昭和末年に至るまで札幌市郊外の給食センターからは提供されなかった。

 「タケちゃんマンライス」を
真面目に作ってみる

 

昨今は便利な時代である

「タケちゃんマンライス レシピ」

「ミルクファイバーライス レシピ」

で検索すれば、瞬時にいくつかページがヒットする。
学校給食では食べられなかった「憧れの内地の、東京の味」。
街の洋食屋のメニューにも上らない味。

 自分で作ってみようと画策。

ミルクファイバーライスが「牛乳で炊いたピラフ」である特性上、きっちり米を炒めて炊く「本格派」でいこうと画策する

まず材料

(だいだい、3人分ほどの量)

 

米:1.5カップ(普通の米でよい)

麦:0.5カップ(本来は2つ割にした「米粒麦」を用いるが、ここでは「もち麦」を使用)

牛乳:500㏄ほど

タマネギ:中の半分

ニンニク:1かけ

ミニトマト:5個ほど

冷凍シーフードミックス:80gほど

固形スープの素:1個

オリーブ油:大さじ半分

マジックソルト:少々

 

作り方

1:米は研がなくてもよい。麦は火が通りにくいのであらかじめ水に漬け、水を吸わせる。タマネギ、ニンニクはみじん切りにする。固形スープの素は熱湯につけて溶かしておく。

 

2:深めのフライパン、あるいは中華鍋にオリーブ油を入れて熱する。みじん切りにしたタマネギとニンニクを炒める。

 

3:タマネギやニンニクが熱されて透き通り、芳香がしてきたら、米と麦を入れてよく炒める。

穀物から多少煙が立ってきたら、牛乳を一気に注ぐ。量は「液面が米の上1センチ」ほど。

 

そのまま中火で煮続け、溶かした固形スープを注ぎ、シーフードにミニトマトを配し、マジックソルトを振りかける。

 

液面をアルミホイルで覆い、さらに蓋をする。火加減は弱火。熱した牛乳は吹きこぼれやすいので注意。

 

適宜、米の味見をして煮え具合を確かめる。米の内部にかすかに芯が残る状態にまで火が通れば、大体炊き上がり。鍋底からパリパリと音がしてきたら水分が蒸発した証拠なので火を止め、しっかり蓋をして15分ほど蒸らす。

 

できあがり。

 

牛乳ほぼ100%で炊いたためか、濃厚な大人の味。

世間では「食文化の邪道」と揶揄される「シチューかけご飯」よりも濃厚なお味だ。

 

むしろ最初は普通の熱湯とスープで炊き、水分が蒸発するに従い牛乳を注ぐ形式にしたほうが良いかもしれない。そのほうが子ども向けだろう。

 

ともあれ、首都圏の団塊ジュニア世代の心の味

「タケちゃんマンライス」

北辺の地で伝聞して憧れた味。

 

令和の現在ではコンプライアンス引っかかりまくりであろうタケちゃんマンだが、

タケちゃんマンライス、としては確かに栄養素的には優れ味もそれなり。

お子様の健やかな成長にはおすすめメニューであろう。

プロフィール
フリーライター
角田陽一氏
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。アウトドア、グルメ、北海道の歴史文化を中心に執筆中。著書に『図解アイヌ』(新紀元社 2018年)。執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社 2019年)、『アイヌの真実』(ベストセラーズ 2020年)など。現在、雑誌『時空旅人』『男の隠れ家』に記事を執筆中。

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