伝統を未来へ紡ぐ若き太鼓奏者たち「和太鼓サスケコンサート」
石川県内で活動する和太鼓サスケの単独コンサート「太鼓道~2024~」を取材しました。
和太鼓サスケは下は7歳、最年長で18歳という非常に若いチームながら、静寂を味方につけ、演奏に凄みを感じさせるステージが魅力です。
今年で4回目となるコンサートでは、「第25回日本太鼓ジュニアコンクール」に出場した際に披露した「信」や地域に伝わる伝統的なリズムを基にした「虫送り」など全13曲を披露しました。
チームを引っ張るのは、リーダーで高校3年生の加嶋虹春(こはる)さん。
リーダーとして今回のコンサートの出来を聞くと、「自分が最年長になり、やり遂げなければいけないことも多かったので、プレッシャーもあった。それでも、メンバーと協力しながら、今までやって来た中で1番やり切った感が強い」と話してくれました。
虹春さんは約300人の観客を前に、たった1人で1台の長胴太鼓と向き合い、卒業曲として師匠から送られた新曲「楚々(そそ)」を披露。緊張はなかったか聞くと、「緊張はしたけど、演奏中は無の境地だった」と言います。
虹春さんは4歳から太鼓を始め、和太鼓サスケには小学4年生に加入しました。8年間という長い月日をチームで過ごしてきましたが、「体感ではその半分くらいの時間しか経っていないように感じる」と笑います。
和太鼓サスケの歴史は長く、2003年の設立から今年で21年目。とはいえ、高校卒業と共にチームを卒業するというルールがあり、創立メンバーはもちろん在籍していません。
虹春さんは「さらに上の世代の先輩たちには、絶対に追い付けない領域という印象があった。先輩たちがいなくなり、自分たちの代しかいなくなってからようやく焦り出したというか、和太鼓サスケだという意識が出てきた。そこからが早かった」と振り返ります。
虹春さんの下には、高校生や中学生、そして小学生のメンバーたちが控えており、日々切磋琢磨しています。
約半年後には虹春さんも卒業を控えており、「卒業までに自分の中の和太鼓サスケとしての伝統をいかに後輩に残していけるか、そこに注力しながら最後まで走り抜けようと思います」と話してくれました。
和太鼓と共にチームの伝統を引き継ぐ若者たちの挑戦は、これからも続きます。
写真提供:横内淳史さん/東幸人さん