平和づくりは身近なところから。8月6日を前に思うこと

広島
コピーライター、エディター
Kyoko Kittaka
橘髙京子
もうすぐ8月6日がやって来る。広島の原爆記念日だ。私は生まれも育ちも広島県。小学校から高校まで、学校では必ず平和学習の時間が設けられていた。特に強く印象に残っているのは、小学生時代のこと。8月6日は登校日となっていて、全校児童が講堂(体育館)に集合して原爆を題材にした映画を鑑賞。そのあと教室に戻り、感想文を書いていた。もう、何十年も前のことなので、自分がどのような文章を書いていたか思い出せないが、映画の中で原爆投下後に全身焼けただれた人々が逃げまどうシーンは衝撃的だった。そのため「戦争というものは、何の罪もない多くの人たちが悲劇に巻き込まれてしまう恐ろしいもの。だから、人類は絶対に戦争は起こしてはならない!」という気持ちが刻み付けられている。
 
さらに、強烈な体験として記憶に残っているのが、確か小学校3年生か4年生の時の社会見学。初めて広島の平和資料館を見学したこと。その時が、私にとって初めての広島訪問だった。広島市は都会! というイメージがあったので(私の出身地は、広島県内でも山や田んぼに囲まれた閑静な田舎町)、出発前は少しばかり観光気分だったと思う。しかし、そのテンションは、資料館を見学して一気に落ち込んだ。もちろん、平和学習の一環として行くことは分かっていたのだが、展示物の生々しさ、特に被爆再現人形のリアルさに恐怖を覚えた。そして、ここに展示されているものは全て事実であり、遠い過去のことではないということを改めて思い知らされたのだ。当時は子どもだったこともあり、トラウマになるほど怖かったが「これは、大人も子どもも、世界中の人々が見学するべきだ」と感じた。そして、平和の大切さや自分たちが生かされていることが、どんなにありがたいことかを、よりいっそう考えるようになった。
 
平和な世の中とは何か? 私は「身近な人を大切にすること」だと思う。例えば、職場の同僚を無視したり陰湿なイジメをしている人が「戦争反対」と言っていても「お前が言うな!!」となるだろう。自分では大したことをしたつもりはなくても「ありがとう」と大変感謝されたり、元気がないと「大丈夫?」と声をかけてくれたり…そういった心配りは本当に嬉しいもの。私も、そんな素敵な人を見習って生きていきたい。
プロフィール
コピーライター、エディター
橘髙京子
大学卒業後、広告代理店のコピーライターや出版社の編集者・ライターとして勤務。現在は映像業界のプロデューサー、フリーライターとして活動中。

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