その他2021.09.20

国の伝統的工芸品である堺打刃物における、鍛冶師の匠の技のIT技術を活用した定量化の試み

大阪
株式会社高橋楠
刃物製作卸の株式会社高橋楠(本社:大阪府堺市堺区)は、NECソリューションイノベータ株式会社様及び株式会社堀場製作所様と共に、600年続く堺打刃物の鍛冶師の匠の技に対して、IT技術を用いて定量的アプローチを行いました。弊社は、堺市の鍛冶師が20年後に5人程度になると予測しており、鍛冶師減少に歯止めをかけ、堺市の伝統産業を持続可能な産業にしていく所存です。そのために、弊社では、堺の職人仕事を可能な限り科学的にアプローチし、定量化したいと考えており、今回はその施策の一つとなります。
国の伝統的工芸品である堺打刃物は、鍛冶・刃付け・柄付けの分業制で成り立っている産業です。その分業制で最も技術の研鑽が難しいとされているのが鍛冶で、習得するのに最低10年はかかると言われています。習得に時間がかかることに加え、特に夏場に火と対峙するのに並外れた精神力が必要なため、鍛冶師を志しても、残念ながら途中で辞めてしまう若手も多く、現状を鑑みると、20年後には堺市の鍛冶師は5人程度になると見ています。

この鍛冶師の減少傾向に歯止めをかけるべく、堺打刃物の製作卸である、株式会社高橋楠では、鍛冶工程の中で最も習得が難しいとされている熱処理の工程を定量化する試みを行いました。

 


具体的には、株式会社堀場製作所様の非接触で物体表面温度が測定できる放射温度計IT-480F温度測定器を用いて、NECソリューションイノベータ株式会社様と共に、鍛冶師の鍛造及び熱処理における温度帯計測及び計測したデータの傾向分析を、2021年6月と7月の2回に分けて行いました。

測定は鍛造・焼きなまし・焼入れの工程で行い、鍛造は、炉から鋼材を出して鉄と鋼を鍛接する際の温度帯と、炉に戻す温度帯を、焼きなましは、なます瞬間の温度帯を、焼入れは水に入れる前の温度帯を測定しました。

 


今回、測定に協力頂いたのは堺市でも指折りの鍛冶師である伝統工芸士の田中義一氏で、同氏の鍛造及び熱処理の温度帯を記録することで、今後若手の鍛冶師の指標となるとともに、なぜ同氏の包丁が世界中の包丁愛好家から支持されているのかを分析する契機となりました。

 


株式会社高橋楠では、職人の減少傾向に歯止めをかけ、堺打刃物を持続可能な産業として維持するために、代表が4つの約束を掲げています。

https://takahashikusu.co.jp/company/#sec-ddl-step03

その内の一つが、匠の技への科学的アプローチです。今回の取組はまだ序章に過ぎず、今後更なる定量化への取組を計画しています。

株式会社高橋楠では、今後も引き続き、匠の技を可能な限り定量化し、属人的な工程を減らし、IT技術を用いて工程を近代化することで、生産能力を上げ、堺打刃物業界を産業として維持できるよう努めて参ります。

※尚、具体的な温度数値については、機密情報となるため公開できませんので、予めご理解の程、お願い申し上げます。
本記事に関するお問い合わせ:株式会社高橋楠

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