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プロダクト2021.03.18

ブラックホールを情報ストレージとして一人一個持ち歩ける未来が来るかもしれない?Useless Prototyping Studio第1弾プロトタイプ「Black Hole Recorder」完成

埼玉
理化学研究所 数理創造プログラム

科学的理論を元に空想し、未来の情報ストレージデバイスをプロトタイピング―3月14日(日)~21日(日)まで※日本科学未来館にて期間限定特別公開―


一見役に立たないプロトタイプで、未知への好奇心が未来をつくる可能性を可視化する「Useless Prototyping Studio」(ユースレス・プロトタイピング・スタジオ)は、第1弾プロトタイプとして、未来の情報ストレージデバイス「Black Hole Recorder」(ブラックホール・レコーダー)を制作しました。また、本日3月12日公開の特設サイト(URL http://uselessprototyping.jp/blackholerecorder/ )にてその概要や、背景情報などを公開します。さらに、一般の皆様にご覧いただける機会として、ブラックホールの基礎理論を構築した2名の科学者、アルベルト・アインシュタインの誕生日であり、スティーブン・ホーキングの命日である3月14日(日)から※、東京都江東区の日本科学未来館にて「Black Hole Recorder」を期間限定で特別公開します。※3月14日(日)から3月21日(日)まで。ただし3月15日(月)と3月16日(火)の休館日を除く

Useless Prototyping Studioとは
科学と世界の新しい関係づくりを目的に、一見役に立たないけれど人の心をインスパイアするプロトタイプをつくるデザインスタジオです。科学者の「未知への好奇心」から導き出された科学的理論・仮説をもとに、それらが未来を一変させる可能性を空想して、プロトタイプとして具現化することで、科学が持つ未来へのポテンシャルを可視化します。このスタジオには、「理研iTHEMS」、クリエイティブ・ブティック「SCHEMA」および「addict」などが参画しています。

Black Hole Recorderの概要と特徴
Black Hole Recorderは、ブラックホールを制御し、情報を蓄積できるデバイスとして利用する未来を見据えて開発された、ブラックホールストレージのプロトタイプ(模型)です。蓄音機をモチーフに、膨大なデータを録音することができるデバイスという設定です。また大容量の情報を蓄えるだけでなく、取り込んだ情報を取り出すことも可能です。人間は、数千年前に文字を発明して以降、情報を記録する媒体と技術を紙・印刷・写真・蓄音機・映像・データと進化させてきました。近年、どれだけ大量の情報を蓄えられるかの開発がされています。そして将来、ブラックホールを情報ストレージとして活用し、ポケットに入れて持ち運ぶ時代の可能性が考えられます。

【基本構造の設定】
月の質量に相当する物体を約0.1mmの大きさに圧縮することで生成したブラックホールを格納。上部、下部に入っているブラックホールを制御することでデータを記録、転送します。


【主な機能】音声情報の記録/音声情報の再生
【蓄積できる情報量】約10の52乗ギガバイト(1那由他バイト)
【サ イ ズ】高さ630mm、幅280mm、奥行き352mm
【温 度】約-273℃〜10の32乗℃(1溝℃)

開発の経緯
Black Hole Recorderは、理化学研究所 数理創造プログラム 上級研究員 横倉 祐貴(よこくら ゆうき)氏が2020年7月8日に発表した「蒸発するブラックホールの内部を理論的に記述-ブラックホールは未来の大容量情報ストレージ?-」の理論にインスパイアされ、クリエイターがブラックホールを大容量情報ストレージデバイスとして活用する未来を空想し、その未来の可能性を機能と仕様としてデザインし制作したものです。

【Useless Prototyping Method】
本スタジオでは、「Useless Prototyping Method(ユースレス・プロトタイピング・メソッド)」という、下記の3つのステップに基づく独自メソッドを活用して、科学的理論・仮説が持つ未来へのポテンシャルを可視化していきます。
●Step 01仮説/Theory|まず、未知への好奇心から科学者が導き出した科学的理論・仮説を選ぶ。
●Step 02空想/Imagination|次に、基礎科学の仮説が未来を一変させる可能性を空想・イメージする。
●Step 03具現/Prototyping|そして、空想した未来から1つの可能性を具現化・プロトタイピングする。


このメソッドの特長は、「一見役に立たないプロトタイプ」をつくるプロセスからインスピレーションを得ることを目的としている点です。未来を一変させるかもしれない新しい理論・仮説も、いまはまだ何の役に立つかわかりません。そこで、サイエンティストとクリエイター・デザイナーが手を組み、その無限の可能性をカタチにして、科学と世界の新しい関係づくりを目指すために、このメソッドは考案されました。

Black Hole Recorderに関する今後の予定
将来的には、Black Hole Recorderに蓄積した音声データを、パラボラアンテナ等を活用して電波としてブラックホールに送信し、人類として初めてブラックホールにデータを書き込むことを計画しています。また、様々なアーチストとコラボレーションし、アート作品を創作いただくことや、美術館などでの展示も計画しています。

展示情報
暗室空間の中でBlack Hole Recorderを鑑賞・お楽しみいただけます。この展示では会場全体が実験空間となっており、会場の音は常に録音され、全てBlack Hole Recorderに記録されていきます。人類の音をはるか未来に届けるべく、記録された音を将来的にブラックホールに送るという実験を試みます。
【場  所】日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6 )
      7階 天王星
【日  程】3月14日(日)~3月21日(日) ※3月15日(月)、 3月16日(火)を除く
【公開時間】10:00~17:00
URL:https://www.miraikan.jst.go.jp/events/

Useless Prototyping Studio発足の背景
アインシュタインの相対性理論は発表当時、何の役に立つのかわかりませんでした。それから約100年が経っ
た現在、相対性理論はGPSのズレの補正に応用されています。相対性理論がなければ、GPS衛星との距離は1日に約11kmのズレが生じる計算になります。アインシュタインは、GPSの開発に役立てるために相対性理論を研究した訳ではありません。科学とは、なにかの課題解決のためだけでなく、科学者の「未知への好奇心」を原動力に研究されることが多いのです。未来は、誰にも予測できません。未来を一変させるかもしれない新しい理論や仮説も、いまはまだ何の役に立つかわかりません。特にいまの時代は、未来の不透明さが増大していると言われています。そこで、目先の有用性だけに目を奪われるのではなく、好奇心に従って未来の可能性を創造することが大切だと考え、このプロジェクトは発足しました。
プロトタイプ第1弾Black Hole Recorder( http://uselessprototyping.jp/blackholerecorder/


Useless Prototyping Studioサイト( https://uselessprototyping.jp/ )

 

【参画メンバー】


理研iTHEMS ( https://ithems.riken.jp/ja
理化学研究所「数理創造プログラム」(iTHEMS)は、基礎科学のさまざまな分野の研究者が集まり、「好奇心」を軸に分野横断的に議論し、基礎科学の未知の研究活動を推進する国際研究拠点です。

 

SCHEMA ( https://schematokyo.com/
―世界を変える力を、加速させる。―
イノベーションの種を、クリエイティブとテクノロジーの力で正しい文脈に翻訳し、社会実装する。そして、世界に新しい文脈を創るコンテキストデザイン・スタジオ。

 


addict ( https://addict-tokyo.jp/
―創造力で、イノベーションをリードする―
Creative×Technology×Businessを起点に、“新しい体験価値”を想像するイノベーションデザイン・ブティック。

 

※SCHEMA、addictはADKクリエイティブ・ワンのブティックです。

 

 

 

 

本記事に関するお問い合わせ:理化学研究所 数理創造プログラム

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