WEB・モバイル2011.02.23

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東京
株式会社エイムラック 取締役COO 古森貞氏
 
スムーズな情報共有は、個人の仕事の作業効率を上げ、ひいては組織全体の効率化をもたらす。そこで重宝されるのが、グループウェアであるが、昨今、さまざまな製品が登場しており、各社が他社製品との差別化を図ろうと試行錯誤している段階だ。 そんな中で、ひとつ上のグループウェアとして注目されているのが、株式会社エイムラックのアイポ(Aipo)とクラウド版アイポプラス(Aipo+)である。 会社設立から現在にいたるまでの経緯や、製品にまつわる今後のビジョンなどを、同社取締役COOの古森貞さんが語ってくださった。

直感的な操作性と、オープンソース化が後発でありながらも目覚しい成長を遂げられた鍵

貴社がグループウェアに着目したのはなぜですか。

2004年に起業した当時、すでにインターネットの普及によってビジネス上のコミュニケーションは容易になっていましたが、裏を返せば情報が錯綜しやすくなり、スケジュールの管理が複雑になっていたころ。簡単に情報を整理し、スケジュール管理のできるグループウェアのニーズは日々高まっていました。 メンバー間で「ビジネスの効率化を図るためのサービスをつくりたい」と議論した結果、グループウェアに狙いを絞ろうという結論に達しました。

グループウェアのプロバイダーとしては、後発になりますね。

はい。すでにスケジュール管理を行う王道のグループウェアが存在していたのですが、「まだまだ進化の余地があるはずだ」との感触が私たちにはありました。後発であることは承知のうえで、グループウェア開発に参入することにしたのです。

後発を自覚してのスタートであれば、先発に勝る特長が必要ですね。

まず、重視したのが、「直感的な操作性」でした。ただ多くの機能を搭載することも可能ですが、お客様が使いこなすまでに苦労するようではいけない。マニュアル等を見なくても、すぐにある程度の操作ができるようなインターフェイスをめざしました。 「簡単」、「直感的につかえる」という評価は、私たちにとって最大級の誉め言葉になると思います(笑) 加えて、当初からオープンソース化することも決めました。

オープンソース化とは、かなり思い切った決断ですね。

どんなに良い製品をつくったとしても、認知され、利用されなければ意味がありません。宣伝に力を入れるという手段もあったのかもしれませんが、それでは、認知度が上がるまでに時間も費用も膨大になります。 結果的に、グループウェアのオープンソース化という決断そのものが、「かなり大胆な戦略であると」話題になり、アイポ普及の追い風になりました。

アイポとアイポプラスには、どういった違いがあるのでしょうか。

アイポは無料のオープンソースのソフトウェア(非クラウド型)で、アイポプラスは有料のクラウド型サービスです。双方に機能の制限は特に設けておりませんので、ユーザの使い勝手に違いはありません。 ただ、管理者側の負担が違いますね。アイポは、サーバの確保、バージョンアップ、バックアップ、セキュリティ問題の解消等、準備と維持に、多少の手間や費用がかかる点がネックになりえますが、オープンソースなので技術者であれば容易にカスタマイズできます。 一方、アイポプラスは、クラウド型なので、カスタマイズは当社に依頼していただかなければなりませんが、インターネットに接続できる環境があれば、初期投資を極力抑え、手軽に導入できます。

非クラウド型(アイポ)、クラウド型(アイポプラス)の両方を持つ理由はなんでしょうか。今、世間の傾向としてはクラウド型が人気なので、そちらに特化するという発想はないのでしょうか。

お客様のご要望に、幅広く応えるためです。セキュリティの関係でクラウド型を使えない環境の企業もあれば、初期投資を極力抑えたい企業もありますので、お客様の事情に合ったものをお選びいただけるよう、非クラウド型、クラウド型を準備しています。

大学時代の同期4人が集まり、ポケットマネーを出し合って起業した

どういった経緯で創業にいたったのでしょうか。

創業メンバー4人が大学時代の同期なんです。学年、学部、学科も同じで、1年生のときからずっといっしょ。卒業後、就職した者、大学院に進んだ者とおりましたが、それぞれ社会人経験を1年から3年ほど積んだのちに、2004年に再び集まり会社を立ち上げました。

後に貴社の核となるアイポが、先にあったのではないのですね。

まず、会社を立ち上げることありきで考えていたので、その後のビジョンはほぼ白紙状態。そんな中でここまで企業を大きくできたのは、4人のあいだに磐石な信頼関係が築けていたからでしょうね。

不安はありませんでしたか。

友人同士で起業をめざし、結局、頓挫してしった例も、いくつか知っています。 しかし、代表取締役の永井哲が当社設立前に勤めていた合資会社カヤック(現・株式会社カヤック/以下、カヤック)の存在のほうが、私たちにとっては大きかったですね。 大学時代の仲間が集まり、現在も活発に活動されているカヤックがどんどん成長していく様を、永井を通して見聞きしていたので、友人同士だからうまくいかないのでは? という懸念は、まったくありませんでした。

起業前、起業直後のことを教えてください。

起業準備の時期に、グループウェアを開発していこうとの方向性は定めたのですが、最初はとにかく、企業的な体力をつけること――つまり、運営資金を集めることに専念していました。 どこかから出資を受けることなく、自分たちのポケットマネーだけで起業しましたから。 ギャンブル的な取り組みではなく、着実に稼ぐにはどうしたら良いだろうと考えた末に、ホームページやシステムの受託開発という手段を選びました。

外部アプリケーションを登録できるようにしカスタマイズよりも簡単に機能を広げられるように

アイポ、アイポプラスは、今も着々と進化しつづけています。その秘密はなんでしょうか。

お客様からのフィードバックがあったからこそですね。 お客様のご要望にしたがってカスタマイズした事例や、直接いただいたお客様からの声を、次バージョンに生かす――そうした地道な作業の繰り返しをしてきた結果が、今のアイポ、アイポプラスのクオリティにつながっていると思います。

お客様からの意見を吸い上げるのは、言うは易しですが、具体的にはどういった手段でされていますか。

定期的にインターネット上で行うユーザーイベント「アイポサミット」や、当社のサービス「アイポLive」を利用し、お客様と当社のメンバーが直接、アイポ、アイポプラスについて話し合える場を設けています。 続々と寄せられるお客様からの声は、私たちの財産です。そのおかげで、昨年からは2ヵ月周期で次々と最新版をリリースできています。

今はBtoBに特化されているようですが、今後、BtoCにまで広げようというお考えはありますか。

当面、BtoCは考えていません。BtoBのみで進めていくつもりです。 そもそもB(企業)とC(消費者)では、それぞれ求めているものが大きく違うので、双方を満足させられるソフトウェア自体、実現が難しいでしょう。 ですので、B、Cどっちつかずのものをつくるよりは、当社が始めから取り組んできたとおり、Bを強く意識していったほうが、ユーザ満足度の高いものができると考えます。

アイポ、アイポプラスの未来を、どう描かれていますか。

グループウェア単体の機能の向上も、これまでどおり取り組んでいきますが、今後は他社のサービスと連携させられるようにもしたい。具体的には、お客様が外部アプリケーションを登録してご利用いただけるようにするということですね。 外部アプリケーションを登録できるようにすれば、カスタマイズするよりも手間をかけずに機能を拡張させられます。 最終的には、アイポ、アイポプラスの中に、自分に必要な情報やツールがすべてそこにある――プラットフォームのようなグループウェアにしていきたいですね。

(取材日:2011年2月)

株式会社エイムラック

  • 代表取締役:永井哲
  • 事業内容:インターネットアプリケーション事業
  • 設立:2004年5月13日
  • 資本金:24,060,000円
  • 所在地:〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-5-12 アインツビル2F
  • TEL:03-3555-5260
  • FAX:03-3555-5288
  • URL:www.aimluck.com
  • 問い合わせメール:上記HP「問い合わせ」ボタンより
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