ITサービスで実現したいのは生活のちょっとした便利さや豊かさです
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データの多様化など、技術が急速に進む中で勝ち残ることがやりがい
パソコン、プログラミングの道に進むきっかけは何だったのですか?
子どもの頃から何かものを作ることが好きで、粘土や空き箱でいろいろ作ったりしていました。 直接的には、小学校3年の頃、父が買ってくれたパソコンに夢中になり、今度はパソコンで何か作ってみようと、プログラミングのまねごともやってみるようになったのがきっかけでしょうか。 その頃はそれが仕事になるなんてまったく思っていなかったのですが(笑)。 大学生になり、就職活動を始めて「自分は何を仕事にしたいんだろう?」とわからないでいたとき、コンピュータ好きの友人からウィンドウズという面白いものがあるよと教えてもらったんです。そこで「あ、コンピュータって、自分に合っているな」と感じ、進みたい道はこれだと気づいてITの仕事に就きました。
当時、今ほどIT業界は盛り上がっていなかったと思うのですが、どこに魅力を感じられたのですか?
ものや機械などを生み出す製造業は、やり始めるにあたって資金がかかるため敷居が高いですよね。でも、ITの世界だとパソコン1台でインターネットにつながっていれば、空港や新幹線の中でのすきま時間に、メモできたりプログラムを組んでみることができるんです。そういうふうに頭の中で思い描くことをすぐに形にできるところが面白いな、と思って。 また、この世界は気を抜くと一瞬でおいていかれてしまうでしょう? その中でおいて行かれずに、波に乗っていくこともエキサイティングだなと(笑)。 95~96年の頃、インターネットが普及したことがひとつのターニングポイントになったのですが、今またスマホ、タブレット、”ビッグデータ”などの出現で、データの多様化が爆発的に進み、新たなステージに突入したと感じています。今後、”ウェアラブルコンピュータ”と言われる、時計やメガネにIT機能が組み込まれた端末なども出てくるし。欲張りだからそういった最新の技術は、つい、かじりたくなるんです。
IT業界で活躍される中、自分で起業しようと思ったきっかけは?
この世界に16年ほどいるのですが、その間に何度か転職もし、いろいろと経験してきました。その中で結論的に、自分でやりたいことは自分で作るしかないなと思ったんです。周りも応援してくれて、ま、勢いもあったんですけど(笑)。経験するすべてのことは、そのときどきでは点でしかなかったとしても、線になり面になって、今につながってくるのだと思っています。 今までの経験と、そこに元々の自分の考え方が合わさって、起業してやってみたいと思ったんです。
データを専門業者に預けるクラウド時代こそ、チャンス!
株式会社engrooでは今どんな仕事を行っているのですか?
地方自治体の方々にお会いし、お話をうかがう機会が多いのですが、皆さん、新しくて便利なサービスやデバイスに高い興味を持たれている。そして、それらを住民の方の生活向上につなげたい、と要望されています。 私たちは、それらを実現するためのパッケージシステムの開発を進めているところです。
例えば、”クラウドコンピューティング”を利用したサービスの提案。 今までは、自分の前にコンピュータを置いて、その中にあるアプリケーションやデータを動かしていましたよね。クラウドだとネット上のどこかにあるコンピュータを間借りする感覚で、そこに自分の端末を接続すれば、自身で高機能・大容量のコンピュータを持つ必要がなく、経費も抑えることが可能になります。
地方自治体もクラウドで情報活用を行う時代になる?
そうですね。クラウド時代とはいえ、自治体が関わっている情報というのは所得や戸籍などの個人情報ですから、なかなか外に出せませんでした。しかし、共通番号(マイナンバー)制度が成立し、2016年から利用スタートと、具体的なスケジュールも見えてきました。自治体の情報管理も、ここ数年で劇的に変化し、障害はなくなるはずです。
私はお客さんによく「昔はお金を金庫に入れ保管しましたが、今はみな銀行に預けますよね。データも、データ管理の専門の人たちに預けた方が安全じゃないですか」と説明しています。預けると専門業者はデータのバックアップをとってくれ、データがなくなったり、サーバーが壊れても安心です。地震などが起きても心配ないわけです。今後は、自分の元にデータを置かないという動きが加速していくと思います。それを視野に入れて、何かサービス向上のシステムを提案したいと考えています。
今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?
「最新技術で人々の生活をちょっと便利にする」というのを会社のモットーにしています。 それに向けて今はまず、情報を集めたいと思っているんです。 流行りで申し訳ないんですが、注目ているのは、いわゆる”ビッグデータ”です。例えばAmazonで言う購買履歴のような、人々の生活行動パターンの情報ですね。ITの仕事は、人々の生活のもっと近いところにあるべきだと私は思うんです。購買に限らず、結婚しました、誕生しました、入学しました、といった役場が持っているライフイベントの情報も、ビッグデータのひとつだと思うんです。システムの提供で終わらず、リアルな世界で生活を便利にするサービスを、コンピュータを利用して提供したいんです。
もっと具体的な例を出すと、役場でおじいさんの健康情報を管理しているとしますね。 その健康情報を病院に共有して、 その病院はおじいさんの健康状態に合った食事のメニューを考え、お弁当屋さんに共有する。 そしてお弁当屋さんはそのメニュー通りにお弁当を作りおじいさんに届けてあげる・・・。 といったような、ITの世界だけにとらわれない何かトータルなサービスを目指したいと思っています。そのためにまずはデータ収集からなんですよね。データが集まる所に人が集まる、人が集まる所にお金も集まる、お金が集まればまた次の新しいサービスを提供する準備ができる。そういったサイクルが回り始めればいいかなぁと。
そのような個人情報のセキュリティに関してには、まだ心配があるのでは?
正直、日本にはセキュリティなどの知識・経験に長けている人材はまだ少ないのが実情だと思います。でも、日本にこだわらなくてもいいと思うんです。
グローバルに考えていらっしゃる?
そうです。 ちなみに、会社のロゴには、地球2周回るくらいにワールドワイドに行こうという意味があるんですよ。 せまい世界で物事を考えないで海外にいい技術、いい人材があるのなら活用したい。それくらいのフットワークの良さでやっていきたいと思っています。
株式会社engroo
- CEO:小坂忍(こさかしのぶ)
- 設立年月:2013年6月
- 事業内容:WEB/タブレットを活用したシステムの企画、開発、販売および、それらを活用した各種情報提供サービス等。パートナー企業に対するシステム導入、保守等の支援。
- 所在地:〒810-0001 福岡市中央区天神5-5-8 福桜ビル3B
- URL:http://engroo.com