進化しつづけることを約束。

福岡
株式会社西日本新聞メディアラボ 代表取締役社長 吉村康祐氏
株式会社西日本新聞メディアラボは、九州最大の新聞発行部数を誇る西日本新聞社のグループ会社で、新聞社のWeb配信やデジタルメディア業務を一手に引き受けるデジタル事業会社です。平成5年にラジオ番組の制作会社として設立し、その後は映像やWebを使った時代の流れを素早くキャッチした事業展開を進め、その成長スピードは今なお加速し続けています。今回お話を伺うのは代表取締役社長の吉村康祐(よしむらこうすけ)氏です。社長就任から約4年が経った今、吉村さんが見てきた会社の変遷、そして新規事業等、これからの展望について語って頂きました。

社長就任から4年。
最初に取り組んだのは、社員と一緒に社名を考えること。

株式会社西日本新聞メディアラボが現在の会社になるまでの変遷を教えてください。

弊社は今年で25期目を迎えます。設立時は主にFM九州の番組制作会社として『株式会社 匠塾』という社名でスタートし、テレビ番組を制作、そのかたわらイベント業務も始めました。その後、西日本新聞社のインターネットサイトの更新作業を請け負うようになり、社名を『株式会社 メディアプラネット』に変更して本格的にWeb制作と映像制作プロダクションの会社に移行。そして、約4年前に私が社長に就任し、同時に新聞社の業務を委託から自社事業に切り替えました。その翌年に現在の『株式会社 西日本新聞メディアラボ』に社名を変えて今に至るというわけです。

社長に就任した当時、どのような会社にしたいと考えていましたか?

もとからの正規の社員と新聞社からの出向社員の間に意識の隔たりがあったので、それを融合させることが当初の目標でした。委託だった業務を自社事業としてやっていくために、社員のベクトルを合わせてもらいたかったからです。そこで最初に取り組んだのが、変更する社名を全社員で考えることでした。他にも、企業理念や経営理念がなかったのでそれを考えるワークショップを開いたり、誕生月の社員をお祝いするランチ会を月一回のペースで開催したり。その甲斐あって、以前は親会社と受注会社という立場で会話していたのが、同じビジネスを同じ会社でやる仲間という意識に変わっていきました。

コミュニケーションを深めたことで効果がでたのですね。

社員同士の視線というか、見ている物が合ってきたという感じですね。実際に、以前は新聞社のサイトを制作しても広告部分の売上げは直接関係なかったので気にしていませんでした。それが、自社事業になったことで「ここのページビューが上がれば売上げも上がる」と意識し、ページビューを上げる工夫を考えるようになりました。頂いた金額の範囲内の仕事ではなく、どこまでも質を高められるし、目標も高く設定できる。そういう意識が社員に浸透したと思います。

良いビジネスモデルは積極的に取り入れる。
先見の明でビジネスチャンスを

現在の主な事業内容は?

Web制作、映像制作、デジタルメディア、クラウドソーシング、デジタルマーケティング、その5つの柱で事業を展開しています。以前からある映像制作とWeb制作という2つのセクションに加えて、ニュースサイトや電子版事業の運営、外部へのニュース配信といった、新聞社から移管したデジタルメディア事業があります。会社を急成長させるためには新規デジタルビジネスの拡大も重要と考え、社長就任後すぐに東京のランサーズ株式会社と業務提供をして、フリーランスの方と企業をWebサイト上でマッチングさせる九州版クラウドソーシング「九州お仕事モール(URL:http://cs.nishinippon.co.jp/)」というサービスも開始しました。そのクライアントでもある企業からもWeb制作の依頼が増え、ニーズに応じたものを作る必要性から分析やマーケティングもしっかりするようになったということです。

様々な事業を展開する強みは何でしょう?

グループに西日本新聞社があることで信頼してもらえる点と、コンテンツの質については自信を持っています。ニュースサイトを作るうえで何重もチェックして表に出すシステムをとっており、そのノウハウをそのまま他のクライアントさんの仕事にも適用しているため、フェイクなものはまったくないというが我々の強みです。

確かに信頼できますね。具体的にどのようなお仕事がありますか?

病院や大学や行政といった、一般的にしっかりしたイメージのクライアントさんのWebサイトを手掛けています。他にも、公共施設として一昨年にオープンした久留米シティプラザや、昨年オープンした福岡市科学館のWebサイトを手掛けました。また、最近では自治体の仕事としてWebサイト制作だけでなく、PR動画の制作も増えています。

Web制作と映像制作を行う御社の強みですね。きっかけは何だったのでしょう?

先行投資として「軍艦島アーカイブス(http://www.battleshipisland.jp/)」という映像作品を作ったことです。長崎県の軍艦島が世界遺産に登録される前の年でした。地道にフェイスブックで拡散したら3万いいね!が来たのでスペシャルサイトを開設し、英語、中国語、韓国語で表記すると更に視聴回数が伸び、クラウドファンディングを利用してBlu−Rayも制作しました。最終的に投資した制作費も回収できたのでプロジェクトとしては成功です。この映像がきっかけで自治体と映像制作の仕事をするようになりました。

その他にも新しい事業を展開されているようですね。

位置情報を基点にしたターケティング広告が技術的に可能になったことで、スマホ向けのモバイル広告事業を開始しました。簡単に言えば、特定のエリア内で位置情報をONにしている人を感知して広告を表示するというものです。これまで参入していなかったネット広告販売事業を新たな柱として取り入れていくつもりです。

「まだまだこんなもんじゃない」を合言葉に
一人ひとりが進化する会社へ

吉村社長が求める人材や、一緒に働く社員に求めるもの。そして会社の今後の展望は?

会社の成長スピードを上げるために、これからも積極的に人材を採用するつもりです。今足りないのはクリエイティブ力、マーケティング力、プランニング力です。なので、そういう能力を持った人材を求めています。また、西日本新聞グループということで安定成長の会社だと思われがちですが、リスクもとっていますし、順調に伸びている業績をもっと伸ばして、急激に成長カーブを上げていきたいと考えています。そのためには私を含めた社員一人ひとりに進化することを望みます。前年よりも3%から5%の成長を遂げることで会社も成長する。これから加わる社員にも同等の進化を求めていきます。

これからクリエイターを目指す方にアドバイスを。

やはり根底には物づくりが好きという気持ちであって欲しいです。以前に比べて企業に安定や休みの充実などを求める方が多くなりましたが、物づくりの楽しさや探究心はいつの時代でもクリエイターにとって大切な要素です。 社員と一緒に考えた弊社の行動指針の1つに「まだまだこんなもんじゃない」という言葉があります。この言葉には改善や進化という意味も含まれていて、私の好きな言葉です。これからクリエイターを目指す方達も会社に入ってからの成長が求められるでしょうから、最初は0でも翌年には1や2になることを意識して、いろんな見聞を広めてインプットすることが大切です。

取材日:2018年1月24日 ライター:井みどり

株式会社西日本新聞メディアラボ

  • 代表者:代表取締役社長 吉村康祐
  • 設立年月:1993年6月
  • 資本金:8,000万円
  • 事業内容:ホームページ制作・運営(PC、携帯)、ニュース配信事業、テレビ番組制作、ラジオ番組制作、テレビ・ラジオCM制作、DVD等映像コンテンツおよびCD制作、地域協働プロジェクト、広告代理業、その他受託業務
  • 所在地:〒810-0001 福岡市中央区天神1−4−1 西日本新聞会館15階
  • TE:092-731-2282
  • URL:http://www.medialab.co.jp/
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